感想『リゼロ2期』これからの日本を生き抜くために必要なこと

世知辛い異世界から何を伝えようとしているのか?

今の日本はどんどん経済的にも衰退して住みづらい世界になっています。

「このままでは自分たちの未来は詰んでしまう」という危機感を抱かずにいられない今日、そんな絶望的な状況を打破する作品に出会いました。

それが今回レビューさせていただく作品。

『Re:ゼロから始める異世界生活』2期

何かのコラムで書いてあったのですが(うる覚えですいませんが)「異世界モノは現代社会の時代劇のようなものだ」というコメントがあり、これはかなり的を得ているなと感じました。

この作品も、タイトル通り異世界での主人公の奮闘を描いたドラマなのですが、その異世界の舞台がとにかく世知辛い

こんな詰んだ状態からどう活路を見出せと言うのか!?と絶望的な心境になる事があります。

それでもいずれ来る未来を見たくもないような世界にしたくないということで「変えるための行動」をするわけです。

「チャレンジ」するわけです。

日本人は失敗を極端に恐れる傾向がありますが、この主人公スバル君は、失敗に背を向け恐れることを“超えて”立ち向かっていきます。

これはアニメです。フィクションだと思う人もいるかもしれませんが、それでも失敗を恐れ、動くことをやめ、現状維持や保身をしている今の現代社会の圧力をぶち破るヒントがちりばめられている傑作なので、是非見て感じて、あなただけのチャレンジをやめないでほしいのです。

やや暑苦しい作品紹介になってしまいましたが、この作品から感じたことをシェアさせていたきたいですので、今回も是非最後までお付き合いください。紛れもない名作です!

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©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会

スタッフの本気度が伺える作品

アニメ作品を見る機会は増えてきたのですが、仕事もあるので普段タイムリーにアニメを見たりはしません。

でもこの作品だけは唯一放送時間(オンタイム)に合わせて見ていました。

それだけこの作品の1期に衝撃を受けた一人でもあります。

1期を見た時、始めはお恥ずかしいですがなんとなく“ながら見”をしていました。

しかし2~3話くらいまで進んだあたりで「これは真剣に見ないとヤバイな…」と感じるようになり、その後は夢中になって見ていました。

日本のアニメ界はここまでレベルが高いのか…そして今どきの若いアニメユーザーさん達はこんな作品を見ているのか…と、出てくるキャラクター達の魅力も勿論ですが、本当に作品の全てにおいて感心したのを覚えています。

原作者の長月 達平さんは鬼がかった天才クリエイターだと感じます。

そんな素晴らしい作品だからこそ、2期の放送でもアニメ制作会社や「Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会」の皆さんの本気度が垣間見えます。

まず、アニメの尺というのは大体30分の放送枠に対して24~25分(OPやED入れて)がセオリーのようです。

他の時間はCMや別作品の宣伝が入ります。

しかしこのリゼロの作品は、放送枠を29分くらいとっているのです。

ココだけ見てもスタッフの力の入れ具合が違います。

間に流すCMの時間なども全てカットして(買い取っているのでしょうか…)放送枠30分の中の殆どを使って放映しているのです。

この作品は小説からアニメ化されているのですが、恐らく小説からアニメを制作する中で「放送の尺の関係でこのシーンはカットしよう」とか「このシーンはキチンと時間取ってしっかり伝えたい」というような議論が何度もあったのではないかと思います。

そんな中で、情熱ある制作陣が“外せない・伝えたい”シーンが多いためCMの時間を潰して時間限界まで作品の放映に充てているわけです。

他の作品見てもCMカットしてまで放映している作品はまだ見たことがないです。

さらに、全話というわけではないのですが、オープニングムービーとエンディングムービーまでカットしている回もあります。

伝えたいシーンを時間いっぱい使って制作しているわけです。

制作者側の情熱・本気度が伝わってきます。

実際に見ていくと、29分があっという間に感じます。

キャラの表情やアングル(視点)、涙の描き方など秀逸なものばかり!

「昔」と「今」の主人公像

※初めに言っておきますがすべての作品に当てはまるわけではないです。

昭和や平成の時代の主人公は、始めこそレベルが低いけれど、ライバルの存在や訓練を経て実力をつけていきます。

そして最後に強大な相手を打ち負かすような流れの物語が王道というか多かったように感じます。

ところがこのリゼロの世界の主人公であるスバル君は、わりと普通の人間です。

いくら体を鍛えたり訓練しても「人間の範囲内」で計れるくらいしか強くなれません。

しかし出てくる敵さんが、ありえないくらい強いキャラばかり。

コツコツ努力して強くなり、ゆくゆくはそんな強大な相手を打ち負かせるようなレベルではないのです。

正攻法でなんとかなる相手じゃないんです。

©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
実際そういった敵さんは2期でもいきなり1話から登場するのですが、「こんなやつ一体どうやって倒せばいいんだよ…」みたいな絶望感が漂います。

圧倒的強者を前に「どう勝てばいいか」というよりも「どううまく立ち回るか」という考え方の方がしっくりくるのかもしれません。

話が少しそれましたが、先ほどの“敵さんを見て”の感想。
「頑張ってなんとかなる」ケースじゃないんです。

頑張っても無駄…

これって今、我々の現代社会でも多くの人が使っている言葉ではないですか?

置き換える事ができませんか?

『頑張ってもなんともならない。』…でもそんな現状に向き合って最善の解決方法を模索し、動いていかないと光が見えてこない今の現代社会に似ています。

絶望的な強さの敵さんは、現代でいうところだと恐らく“絶対的な権力で国民を理不尽に押さえつける政治家ならぬ政治屋”に当てはまるようにも感じます。

敵のグループ名は「魔女教 大罪司教」と言いますが、政治屋のバックに付いている利権団体のようなイメージがします。

©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
原作者・長月さんは、自分の力ではどうにもならないような相手を考えた時点で、今の巨大国家の圧力(中国やアメリカの理不尽さ)をモチーフにしたのではないかと想像しています。

実際ヒロインのエミリアさんは、王選に立候補している身。

現代社会だと要するに政治家として世の中を変えたいと立候補しているようなものです。

彼女が立候補した途端、反対勢力がツブしにかかってきたというイメージがしっくりきます。

そんな時に反対組織に襲われないようなんとか立ち回ろうとしているのがスバル君。

今の政治や国の派閥に巻き込まれていくようなイメージで考えると、彼がどれだけ危険な橋を渡りながら皆を守っているのかが良く分かります。

始めの方はどうなんだろうかと不安げに思っていたのですが、彼は本当に勇気ある立派な青年なんです。

だから彼の気持ちに寄り添って見ていくと、彼だけが辛い思いをしてほしくないと感じます。

でも根が良いやつなので最善の道をあがき続けるんです。

そんな彼を見ていると、失敗する事を怖がってチャレンジをしなくなってしまった我々にもう一度勇気と喝を入れてくれるような気がします。

失うことを恐れて未来に絶望する前に、彼の姿勢を見てもらいたい。

©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
「死ぬこと以外カスリ傷」なんですから!

さらにヤバいのやってくる

現代の話ですが…権力と言うのはとても恐ろしいもです。

自分たちが「白」だと言っても権力者が「黒」だと言えば「黒」になります。

国民か「中止にしてほしい」と言っても権力者が「開催」と言えば開催されます。

僕らはそんな不条理(筋道が通らない事)な現場を沢山見てきました。

そんな言葉一つで真実を捻じ曲げてしまうような恐ろしさを超えたような権能(能力)を持った人物が、物語後半に登場します。

「言ったことが現実になる」という、聞えは素晴らしいのですが、悪用すればえげつないことになる権能。

SNS界でも「こいつが多分物語のラスボスだろう…」と囁かれている「虚飾の魔女」パンドラという少女。

©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
魔女教の中ですら口に出すことを許されないような禁忌の存在の彼女は、戦闘力がすざまじいわけではなく、言葉一つで相手の人生を狂わせたり死んだことが“無かったこと”にされていたりと『物事を全て思い通りに書き換える』という力を持っています。

こんな神様みたいな存在にどうやって挑めばいいのか見当もつきません。

そしてそのキャラが権能(能力)のお披露目みたいな感じで登場してから物語(2期)は未解決な部分を多く残して終幕へと向かいますが、世の中にはつくづく自分の力ではどうにもならない世界があるんだということを思い知らされます。

…でもこんなアニメ作品を若い子が見てどう感じているんだろうかと不安になります。

だって戦って(強く訴えて)どうにかなる相手じゃないのです。

今まで出てきた魔女教 大罪司教もなんとかなるような相手じゃないのに、さらにどうしようもない相手がやってきたら我々ばどうすれば良いのでしょうか?

ただ黙って自粛に耐えるしかないのでしょうか?

国が……パンドラが「緊急事態宣言が発令されます」って言えば、そうなってしまうわけです。

理不尽だって憤ってもどうする事もできないのです。

©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
こんな状態の中でスバル君は活路を探して皆を導いていかないといけない図式になっています。

これからの時代を生き抜くためのモデルになるべく、頭をフル回転させ、死をも恐れずチャレンジを敢行するスバル君……すごい主人公です。

昔のヒーローみたいに特殊能力もずば抜けた力はないけれど、感服せずにいられないスバル君の「選択と行動」を自分たちの生き方に活かしていきたいです。

彼を応援してくれる仲間や動物もいるから、なんとか心折れずにやっていけるものの彼のメンタルは当初とは比べ物にならないくらい強くなりました。

©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
明確なパラメーターみたいなものはないのですが、見てて感じます…「強さ」を。

「強さ」っていうモノサシが何も「戦闘」だけで計るものではないというのもこの作品の魅力です。

以前は感情に訴えるしかできなかったスバル君も「何かを始めようと思ったらそこがスタートラインだ!」なんて仲間を励ますくらい精神的に成長しています。

1期の頃と比べたら驚くほど強くなり、もう以前の引きこもりだった面影はまったくありません。

▼両親の愛情を再認識できて、精神的に成長できたのも大きな要因です

©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会
だから、これからも…
相手は国家並みに強大な勢力だけど…負けないでほしい!

そして理不尽な力にもうまく立ち回るヒントがほしい!

ちなみに登場する魔女達は、当たり前のように各々権能(能力)がエグいので、ルックスだけは可愛くデザインされています。

必ず来る明日を一緒に生きよう!

スバル君の行動は僕らのいろんな行動に対する心のブレーキを外して背中を押してくれます。

2期の扉絵が前半と後半の2種類あるのですが、まさに心のリミットをブレイクするようなイメージ通りのキービジュアルとなっています。

それでも僕らは失敗を恐れ、ついリスクを考えてしまうあまり行動できずに立ち往生してしまう事もあるでしょう。

そんな時にスバル君の名言(というか説得)がとても心に響いたので、紹介してレビューを終えたいと思います。
※この部分はマジで感動した視聴者が多かったみたいですね。


「力のない俺は、お前の助けになってやれない。それでもお前を一人にしたくない俺が出来ることっつったら、もう縋り付いて頼み込むしかない。

いずれ来るかもしれない別れの時間を怖がるより、必ず来る明日って日々を俺と一緒に生きよう。

一緒にいよう。一緒に生きてみよう。一緒にやっていこう。楽しかったんだって胸張って笑えるくらい、思い出を積み重ねていこう。お前がここで過ごした、寂しい四百年を取り返して、お釣りがくるぐらいに」

「ずっと一緒にいよう(生きよう)」ではなくて、「あした一緒にいよう」という言い方をしているのが彼ならではの言葉。

言葉一つ一つを噛み締めて聞いていたら、特殊な経験をしていきた彼にしか言えないセリフだと……望んだ明日が必ず来る訳じゃないって知っているから出る言葉だと感じます。

是非本編を見て、その言葉の本質を味わっていただきたいです。本当に良いシーンです。

長くなりましたが、読んでいただき大変ありがとうございました。

感想「Re:ゼロから始める異世界生活」脳が震えるほど心揺さぶられる作品