感想『魔法少女まどか☆マギカ』過酷な運命に立ち向かうのにはまだ幼すぎる少女達


実は知ってたけど見るのが怖かった作品

AbemaTVのお陰でアニメを見る機会が増えたと同時に、以前から気になっていたタイトルがありました。

このアニメがすごい!」と推す評論家もいて、当時アニメを見ていない自分としても気になるタイトルでした。それが今回ご紹介するタイトル。

『魔法少女まどか☆マギカ』

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

一見、タイトルとイラストを見た感じだと、ちょっと変わった魔法を使う少女達の日常みたいなイメージ。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

ポケモンのアニメに出てくるロケット団みたいなカンジの、どこか間抜けでドジな悪役が毎回のように出てきて……町で悪さをしている途中で、魔法少女がやってきてこらしめたりする……みたいな、ほのぼのとした作品をイメージ…するでしょう?

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

ところが、作品の前知識としてレビューを見てみれば…おぞましいダーク系だとか“閲覧注意!”という感じの書き込みえらく書かれていて、こんな中学生くらいの女の子たちが恐怖のダークサイドに巻き込まれていくのか…と思うとなんだか恐ろしいイメージに変わっていきました。

「ホラー系が苦手!」と言うよりも、こんな無邪気でかわいい雰囲気の女の子達が残酷な運命に巻き込まれていくのはさすがに可愛そうだしそんなのを見るのは趣味じゃない…(哀)というのが正直な想いでした。

もう少し分かりやすく言うとですね…

国民的マスコットキャラのキティちゃん

あのキティちゃんが、どこぞの化け物に食べられて、頭食い散らかされて血だらけになった残骸を見たら子ども達はどう思うかってコト!

こんなあどけない中学生くらいの女の子が無残な運命を辿るのなら、正直見るのが辛いです。

もしそういう作品なら、同じくらいの世代の女の子がこの作品を見たらトラウマになってしまうのではないかと感じます。

しかし…なぜか劇場版やゲーム、時系列物の「マギアレコード」なる作品も出たりして、今も根強い人気があるのです。

「根強い」というか、10年以上前に封切りされた作品なのに未だに語り継がれている作品で、ファンの後押しもあったのか2期が発表されたくらいです。

パチスロでも見かけますし、関連グッズも未だに人気があります。

放送当時は相当な話題作になっていたようですし、芸能人の方でも議論がかわされるほどになりました。爆笑問題の太田さんがトークで話をしていたのを覚えています。

食わず嫌いするのもなんだし、勇気を持って見てみようか…ということで……恐る恐る見る事にしました。

何より当時は社会現象になったくらいの作品です。

きっと視聴者の心を動かすメッセージや時代に対しての風刺が作品に込められているに違いないと感じていました。

まずこの作品の詳細をWikipediaより紹介します。

魔法少女まどか☆マギカ

※画像クリックで公式サイトへ移動します

原 作/Magica Quartet
監 督/新房昭之
脚 本/虚淵玄(ニトロプラス)
総作画監督/谷口淳一郎・高橋美香
異空間設計/劇団イヌカレー
撮影監督/江藤慎一郎
音響監督/鶴岡陽太
音響制作/楽音舎
音 楽/梶浦由記
アニメーション制作/シャフト
発表期間 2011年1月7日~4月22日【全12話】

シャフト制作で2011年1月から4月まで放映されたオリジナルアニメ


@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

オープニング&第1話を見る限りでは、日常に少し魔法が入ったコメディみたいな印象はまだぬぐえません。

主人公は……名前くらいは知っています。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

「まどかさん」芯の強い子です。

見事に裏切られたマスコットキャラクターへのイメージ

先ほどは、キティちゃんを例にちょっとグロい話をしてすいませんでした。

でもそれにはちゃんと訳があって、例えばそんなキティちゃんみたいな可愛いキャラが傷を負ってしまい、「お願い…助けて…」と弱弱しく訴えてきたらどうしますか?

そのキャラを追い詰め殺そうとする相手に対してどう感じますか?

僕らはまず、「小さくてかわいい動物が弱っていたら助けたい」という思い込みからまず変えていかないといけないように感じます。

この作品のキーとなる生物「キュウべえ

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

このキャラは一話で見る印象と中盤から後半の方にかけての印象が180度変わります。
※以下のレビューではキュウべえと、この生物をとりまく流れでネタバレが含まれます。
まだこの作品を視聴していない方の閲覧はお勧めしません。
見た感じだと可愛い子猫みたいな癒し系のキャラクターです。

でも、僕らは『ハロー効果』なるものも手伝い、どうしてもこんなキャラを見たら、可愛くてモフモフしたいイメージを抱いてしまいます。
しかし、人間のイメージというものは勝手なものです。

このキャラが何を考えていて、我々に対してどういう見方をしているなんて人は考えません。

その盲点を突いたところから話が進んでいきます。

終始優しい口調で少女たちにお願いしてきます。「僕と契約して魔法少女になってよ」

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

もう意味が分かってしまった今だと、このセリフの声色がどんなに可愛くとも恐怖以外の何物も感じません。

そして、まだ精神もアイデンティティも成熟していない少女達に対してそんな残酷な契約を平然と勧めてくるこの生物。

後半登場の仕方がいちいち恐ろしくて仕方ない。トラウマレベルです


…でも人間は感情を持っています。

頭では理解できてもどうにもならない事があります。

でも感情があるのは人間だけでしょうか?

犬や猫は?…ありますよね。

ブタや牛は?…ありますよね。

僕らは家畜じゃないです。心ある人間は家畜じゃ…。

…でも家畜として育った牛さんや豚さんは本当はどうだったのか?

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

こういう激しい極論で攻められると少女たちは精神的にあっという間に土俵際に追い詰められます。

恐ろしい大人の世界に、何も持たずに放り込まれたような…ひどく精神的に不安定で、不安で押しつぶされて自分が保てなくて、出来るなら楽になりたい…

その絶望感がこのマスコットキャラみたいなヤツの欲している養分と判明した頃から、恐ろしくなってきます。

なぜこんな過酷で残酷な世界に幼い少女たちを巻き込むのだ……まだ人生経験も浅いこの子たちでは救いようがないではないか…

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

当然、物語は否応なくダークな方向へと進みます。当時の皆さんはどんな気持ちでこの作品を見ていたのでしょうか…

ある程度予備知識を持った上で見たとはいえ、キュウベイをはじめ夜の描写や独特のタッチで書かれた背景がおぞましくて大人が見てもゾクゾクします。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

「怖い」というより背筋がゾクッとする感じが近いです。

物語中盤までの感想としては、この作品はどう見ても子ども向きじゃないな…しかし、「絶望」は若いうち、早いうちに知っておいたほうが良いという声もあります。

これからの右肩下がりの日本経済において『絶望感』の耐性を持ってもらうために早いことワクチンを打ち付けておいたほうが、かえってうろたえずに生き抜く図太さが身につくんじゃないか…

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

作者さんはそんな狙いでもあるんだろうか?

対価を考えるのは現代社会も同じ

魔法少女になれば対価としてどんな願いでも一つだけかかなえる事ができます。

願いが叶う事自体はとても魅力的なのですが、その為の代償はあまりにも大きいわけです。

しかし、年端もない少女たちはその重さがまだ分かりません。

気付いた時にはもう精神が崩壊し、手遅れになっていたというのは絶望以外の何物でもありません。

どこぞのレビューでこの「契約して魔法少女になること」を分かりやすい表現で書いている記事があったので抜粋します。

的を得てると思ったし、自分が感じているイメージにピッタリすぎるので。

”いつでも便利快適にいくらでも電気を使えるようになる代わりに、家の裏に原発を設置するようなもの”

また、精神が崩壊したら、魔法少女は「魔女」となり、主人公たちの命を奪う敵となるのです。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

“想い”が強いほど凶悪な魔女となり立ちはだかります。

ヒロイン達魔法少女と相対するのは、以前歴代の魔法少女だった女性達

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

この事実も後々判明するのですが、明かされていく事実を知れば知る程、あのかわいいキャラクター「キュウべえ」の印象が恐ろしくなります。

1話で見たときは何も感じなかったのですが、意識が変わった頃には目が赤いのが恐ろしくて、画面にエフェクトを入れてなくとも、恐怖感が漂います。

自分のようないい大人が恐怖感を感じるくらいなので、小さいお子さんが見たらトラウマになるレベルではないかと思います。

実際にあった話として一つ紹介します。
劇場版の「魔法少女まどか☆マギカ」が上映された時、何も知らないお母さんが子どもと一緒に見ようと映画館に入ったのですが、途中で席を絶ち帰っていったケースがあるようです。幼い我が子にこんな作品は見せられないととっさに感じたのでしょう…

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

とにかく思考と見た目が違い過ぎて、見事に騙されたような感じが否めない…。

現代社会の比喩として「契約条件をよく調べずに、契約するとどうなるか。後で取り返しがつかないことになる事もある」みたいな部分はあるのですが、それよりももっと残酷に感じます。

大切な条件を相手方が意図的に隠しているのは同じですが。

“人間らしい感情を持った”ヒロイン達は次々と魔法少女になるものの、その代償に耐え切れず脱落していきます。

精神的にまだ自立していない少女たちが、追い詰められていくのは一体現代社会のどういった部分(闇)を伝えているのだろうか?

そしてこんな皆救われない流れで一体どういうラストが待ち受けているのだろうか…

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

心苦しい場面もありましたが、この作品の名作たるゆえんみたいなものが最後に集約されているものだと思い、また「救い」もあるかもしれないと感じながら終盤も見続けてみました。

余談ですが、次回予告に一切のネタバレを入れないのは徹底していて好感が持てました。作り手の狙いが感じられます。

印象に残った「劇団イヌカレー」

敵はどんな姿をしているのか?

そこも今までにない描写で、それがかえっておぞましく感じたものです。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

切り絵のようなアニメとは違った美容者の景色になり、アメコミに出てくるようなキャラクターや、子どもがクレヨンで描いたようないびつなお化けだったりと、違和感のあるものばかりです。

しかし今までに見たこともないような敵だからこそ異様な感じ、違和感、いびつさ、恐ろしさが出てくるのです。

人間は見たことないような形の生き物を見たら警戒心を感じてしまいます。

その生き物の正体が何かわかっていたら対処ができるのですが、何モノか分からない見たこともないものに対してだと、どう対処していいか分かりません。

そうなると不安感が出てきます。そしてその感情はどんどん大きくなります。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

見たこともない生き物だけど、どうやら我々の命を脅かす生物らしい。

そんな知らないものに対する恐怖感を引き出してくれるような演出も怖くて印象に残りました。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

いっそデカい巨人や龍みたいな生き物の方が分かりやすくて良かったと思ってしまうくらいです。

こういうエネミーの描写をした「劇団イヌカレー」は強烈に印象に残りました。よく人間の心理を研究してます。

そして人間の「理解できないものに対して抱く恐怖心理」をついたデザインとなっています。

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

ホントこんな世界に女の子たちを放り込む世界観もえげつない。

しかしです。ギリギリの精神状態でも光を掴もうと何度も手を伸ばし続ける姿に視聴者は息を飲み、心打たれたのではないでしょうか?

自分も「結果がどうであれ、みんな各々自分の気持から逃げずによくやったな」となんだかジーンときた部分がいくつもあります。

命をかけて自分中の葛藤と向き合い抗い続けた彼女たちは、イメージとしては西洋中世を駆け抜けたジャンヌ・ダルクを彷彿とさせます。

過酷な運命に立ち向かうのにはまだ幼すぎた少女たちの「美しさ」や「儚さ」を見たことのない絵画手法で描ききったような『魔法少女まどか☆マギカ』。

男性陣はどんな状態でも立ち向かう覚悟を持った少女たちの姿から強烈に勇気を貰えたのではないでしょうか?

自分の命を燃やして立ち向かえるものがあるのなら…彼女たちの姿が自分の根っこで支えになってくれるはずです。

現実から逃げずに…あきらめないで…最後まで生きていこう!

@Magica Quartet/Aniplex.Madoka Movie Project Rebellion

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ABOUTこの記事をかいた人

今まで国内だけでなく、世界を股にかけて幾多のチャレンジをしてきました。 そこで見たもの、得た知恵をレビュワーの皆さんに是非シェアしたい! …そんな想いでブログを立ち上げてます。 出し惜しみは致しませんので皆様、末永く宜しくお願いします。