感想「ゾンビランドサガ」三世代が楽しめる 佐賀県民必須アニメ

宣伝力抜群のプロジェクトで蘇るサガ

特定の地域が舞台となって描かれる物語(作品)って増えてきてますよね。

以前上映されて空前の大ヒットとなったアニメ映画「君の名は」はその代表的な作品と言えます。

あの映画がきっかけて“聖地巡礼”なるムーブが流行り、岐阜県の飛騨高山や、長崎県の諏訪湖へ訪問する方が増え地域おこしにつながりました。

経済効果は抜群で「君の名はのツアー」なるものも大人気となりました。

今のアニメのレベルが信じられないくらい高くなっているのは以前の記事でも書かせてもらいましたが、そんなアニメ媒体を使った地域おこしの成功事例と言えるのが、今回紹介する「ゾンビランドサガ」という作品。

この作品は“アイドルもの”“ゾンビもの”なんていう狭い括りに収まりきらないくらい佐賀県の魅力を紹介してくれています。

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会
楽しく見るのも良し、佐賀の歴史や現地の様子などの結びつきを探求するのも良しの非常に幅広い層に楽しんでもらえる作品となっています。

現に、この作品に登場するモブキャラ(脇役さん)は年配の方から幼い子どもまで様々。

いろんな世代が楽しめる物語であるのがうかがえます。

「どうせご当地アイドルモノのアニメで佐賀県をPRしようとしてるんだろう」なんて単純な考えは一旦置いておいて、まぁ見ていただきたい作品なのです。

見ていったら気になる設定が多すぎて気が付いたら佐賀県に関する事も含めて夢中になっていると思います。

佐賀県の切実な問題にもコメディ交えて踏み込んでいます。
もう他のアイドルをテーマとした作品が作れなくなるほどの最高傑作かもしれません。

実際にSNSや口コミで視聴者がどんどん増えていった作品でもあります。視聴者の期待を良い意味で上回り続けた結果でしょう。

アイドルに関して無知だった自分もここまで興味持つとは思いませんでした。

そして佐賀県民であることに、誇りを持てる作品だと感じてくれているサガ人は多いと思います。

個人的にアイドルの世界はモーニング娘。くらいしか知らなかったのですが、今ならアイドルに夢中になって応援する人たちの気持ちが少し分かります。

今回はそんなアイドルの枠に収まりきらないくらいの三世代が楽しめる 佐賀県民は特に必見のアニメ作品の魅力をシェアしたいと思います。

まずはWikipediaより、この作品の簡単な情報を紹介。

ゾンビランドサガ(第1期)&ゾンビランドサガ リベンジ(第2期)

※画像をクリックすることでサイトへ移動します
原作/広報広聴課ゾンビ係
監督/境 宗久
製作/ゾンビランドサガ製作委員会
原作/広報広聴課ゾンビ係
第1期/2018年10月4日~12月20日
第2期/2021年4月8日~6月18日
引用:アニメ『ゾンビランドサガ』原作:広報広聴課ゾンビ係 アニメーション制作:MAPPA
 ゾンビとして生き返った少女たちがプロデューサーの巽君に導かれながら、存在が風前の灯火となっている佐賀県を救うべく、ご当地アイドルとして活動する様子を描いたオリジナルアニメ。
生前「伝説」を作った少女達をゾンビとして甦らせ、ご当地アイドルのブーム終焉のこの時期を逆に狙って新たな佐賀県ご当地アイドルグループとして佐賀県を救うという計画の軌跡を描いた物語。

▼オープニング・ムービーからぶっとんでます。癖になるメロディかも。

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会

佐賀県の方でこのレビューを見てくれた方は是非SNS等でシェアしていただければ幸いです。

とりあえず開始75秒まで見よう

「アイドルモノはちょっと…」と感じている方、とりあえすこのアニメ1期の開始75秒まで見ていただきたいのです。

それでこの作品を見るかどうかを判断してくれたら良いかと思います。

明るそうな女子高生が自己紹介をさりげなく語りながら元気に朝日を浴びて登校するシーンから一転「ファッ?!」ってなります。

そしてそこから物語はスタートします。

自分は予備知識なしで試し見したグループ(?)なので、いきなり画面にくぎ付けになってしまいました。

しょっぱなから主人公が死んでしまうお話なんて、自分の知っている限りあの『幽遊白書』以来です。

この衝撃のスタートに全く展開が読めず、この主人公であろう女の子と共に色んな降り掛かった事実を受け入れていくところから始まります。

あと1話目でまず「どやんす?」という言葉を覚えました。

▼ホラーものじゃないのですが、首や腕、そして目玉がポンポン飛ぶ様を見ると、一体どういう体の構造してるんだと感じてしまいます。ゾンビだけどご飯も食べるし涙も流すし…

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会

アイドル活動イケるんじゃね?

主人公を含め、ゾンビは7体。(7人と表記したほうが良いのか)

このゾンビ達と一緒にアイドル活動をして佐賀県を盛り上げていくという流れに無理やりなっていくのですが、ここで一旦冷静になってゾンビさんたちの経歴をHPで確認してみました。

▼ゾンビで実名はヤバいので、基本1号、2号、3号というふうに番号で名付けられています。実社会で活動する場合は一子、二子、三子という偽名を使って乗り切ります。

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会
キャラ紹介のページでプロフィールを見てると、“享年 ■ 歳”という表記が斬新なのか複雑~な気持ちになります。
しかしゾンビ達のプロフィール(特に前歴)を見ていくと、けっこう「コレ、行けそうな気がする!」と思うようになってきました。

だって、アイドル経験者でトップまで上り詰めた子が2名も初期段階で揃っているんです。

それも平成のトップアイドルと昭和のトップアイドル

アイドル活動始めるならこの2人を軸に戦略立てていけますよね。

その上、時代こそ違えど幕末の時代のトップアイドルならぬ最上級の花魁まで在籍。幼くして亡くなってしまった女の子(?)はなんと天才子役だったりするわけです。

周り逸材ばっかりですやん。

主人公がたとえアイドル経験がなくとも、周りはレアキャラ(今時の言い方で「SSR」)ばっかりいるわけです。

ドラクエでパーティ組んだ時に、仲間が上級職ばかりみたいな感じ。もしくはめちゃくちゃ課金した上でのスタートといったところでしょうか?

おじさん世代に分かりやすく説明すると…

野球チーム作って甲子園目指そうとメンバー集めていったら、ゾンビとはいえ伝説の選手ばかり揃ったようなイメージです。

自分がたとえただの野球大好き素人少年だったとしても、チームメイトに伝説の選手ベーブ・ルースジャッキー・ロビンソン、ハンク・アーロンなんかがいて、他にも伝説の捕手・野村克也さん。伝説の投手・金田正一さん、沢村栄治さんなどがいてるイメージです。

なんか自分は送りバントと守備をしっかり練習しとけば甲子園に行けそうな気がしませんか?

▼ものすごい課金した状態でスタート?!

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会

さて、この物語の舞台は2018年

群雄割拠の激しいアイドル業界が淘汰されて、地方アイドルは風前の灯になっていたこの年でも、これだけの逸材(時代のオールスター)が揃ったアイドルグループならなんだかやっていけそうな感じがします。

主人公格のさくらさん以外、アイドルとしてのアビリティに長けたメンバーが実は初めから揃っているので、きっかけさえ掴めば一気にブレイク~無双するんではないかと感じてサクセスストーリーを楽しみに見ていました。

主人公のさくらさんは、「オラこんなスゲェメンバーばっかいてワクワクすっぞ!」みたいに感じたのではないでしょうか?

時代によって違う価値観との摩擦も面白い

とりあえずアイドル活動やるなら即戦力になる2トップ。

昭和時代にトップを張った子と平成でセンターを張った子。

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会
先程も書きましたが、この2人を軸にして練習していけばリアルに大丈夫なんじゃないかと思ったのですが、ここで価値観のズレが生じてきます。

これは昭和のアイドル事情も知っている方からしたら実に興味深いエピソードになります。

昭和時代のアイドルは、大勢の観衆を上から見下ろすような感じで特別なアイコンみたいなイメージでした。

アイドルと気軽に触れ合えるなんて考えられない時代で、ファンとの距離に絶対的なものがあったのでしょう。

▼平成になってからアイドルのイメージは一気に変わりました。

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会
「会いに行けるアイドル」というテンプレをどっかの眼鏡かけたおっさんが築いてしまったので、ファンと一緒に写真を撮ったり、握手会をするなどが普通になってしまった平成の時代。

「ライブ」という言い方でなくて「コンサート」と言ってましたが、そういう細かい言い回しなどが忠実に再現されています。

当然、昭和のアイドルさんはそのギャップに嫌悪感を出してしまいます。

「客に媚びるような事をするのはアイドルじゃない(キリッ)」と。

セーラー服で攻めるファッションセンスもそうですが、時代によって「アイドル」というジャンル1つとっても価値観が違うのが感じられて、それがとても新鮮に感じました。
※彼女達の服のセンスも微妙に違うので、それを見るのも楽しかったりします。

時代によって、たとえ同じ年齢でも大人のような雰囲気を醸し出していたりと細かい価値観の違いが見え隠れします。

まさに昭和、平成、令和と三世代が楽しめる作品!

様々な葛藤を経てアイドルユニット(フランシュシュと言います)内の結束は強くなっていきますが、ライブとかイベントを通じて強くなっていくだけでなく、互いの価値観をぶつけあいながら団結していくのがまた違った成長ストーリーになっていて面白いです。

皆生きてきた時代や環境が微妙に違うため、それぞれの軸みたいなものはしっかり持っていて、そのスタイルは通しながらもお互いを尊重できるようになっていく…

これ、リアルな人間関係でも大事です。

主人公格のさくらさんはそんな皆を取り持つ潤滑油みたいな位置で活躍します。彼女たちと交流しながら自分自身のアイドル軸みたいなのを作り上げていくのでしょう。

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会
ゾンビという設定が可能にした奥深いドラマになっています。

プロデューサーも楽曲もクオリティが高い!

勿論アイドルユニットの楽曲披露がありますが、ロックなものからラップ、バラードなど多くの種類の楽曲が揃っていて、音楽を純粋に楽しみたい方にも十二分なクオリティとなっているのもポイントが高いです。

特にオープニングの曲とPVがぶっ飛んでいて、こんな嵐のようなオープニングは初めてでした。

ゾンビをテーマにした歌詞も生と死のコントラストを感じて印象に残るものばかりです。

音楽を通してこの作品を知り、アニメを見始める方も増えるかもしれません。

佐賀県の観光地を知りたい、PRしたい、音楽が好き、歴史を知りたい、アイドルの“今”を見たい等、この作品の切り口は本当に沢山あります。

▼佐賀のPR活動やアイキャッチ画像では、ほぼ佐賀県内の観光名所や名物が紹介されています。この辺は是非本編を見てご確認下さい!

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会
冒頭でも書いた通り、これ以上ない佐賀県のPRになっているのではないかと思います。

他にも、実際に開催される地域イベントや実在するライブハウスや物産館。情報誌も出てきます。

さらに昔、佐賀県自体は一度なくなってしまったけど復活したというエピソードで、ゾンビと掛けているのではないかと思うと色んなところに伏線を刷り込んでいるのに気づけてさらに楽しめます。

佐賀県は実は一旦消滅していたなんて知りませんでした。ゾンビとかけてますね。
サブカルネタや時代背景も知れるので、佐賀県民にとっては必須のアニメならぬ教材になる日も近いのではないでしょうか?

物語の中では、謎な部分が多くありますが、それらの伏線回収が絶妙なタイミングなので、視聴者を惹きつけて離しません。

特に視聴者の99%が思っているであろう謎中の謎!
未だに解明されていない彼女は一体何者なんだ?↓


ネットのカキコミでは様々な憶測が飛び交っていて、SNSなどでもかなり話題になっていますね。

2期 “リベンジ” も絶好調!

2021年現在、コロナ禍で自粛せざるを得ない状態が続きます。

それでも聖地巡礼などのイベントの盛り上がりもあり、経済効果を考えても地域密着アニメ作品として大成功したモデルケースになったのではないかと感じます。そのうち「ゾンビランド滋賀」みたいな派生モノが出てくるかもしれません…

なぜかというと、続編の2期も非常に人気が高いから。

▼特にライブシーンの演出やカメラワークがパワーアップ。まるでライブを見ているような臨場感があります。

Ⓒゾンビランドサガ製作委員会
気になっていたけど明かされずに終わってしまった部分もあるけど、主要メンバーのゾンビになってもひたむきに前を向いて進む姿は、感動します。

そのうえで、変わらないスタンスとして佐賀県の魅力もたっぷり発信しているので、佐賀県内の視聴率はかなり高かったのではないかと予想されます。

ストーリーだけでなく2期も楽曲のクオリティが高く、そして歌詞がとても切なさ交じりとはいえ前向きで、元気が出ます。

コロナが落ち着いたら本格的に聖地巡礼に訪れるお客さんが増えるのではないでしょうか?

これからの時代SNSを使って広報することの大切さなども遠回しに伝えてくれています。
広い世代、視聴者を引き付けてやまない「ゾンビランドサガ」

死んでも夢をかなえらえれるゾンビという設定で「チャレンジすることの大切さ」を伝えてくれます。諦めてただの動く屍になるというのは、チャレンジをやめた人間そのものです。

「未来なきゾンビィ」が視聴者である「未来ある私達」に、脈がなくとも突き進む彼女たちのチャレンジを通して伝えてくれるのです。

ゾンビィから学ぶ日が来るとは思いませんでしたが、ゾンビだからこそ説得力があったりします。

災害などで不安な時でも人々に勇気を与えるフランシュシュは今求められるアイドルの鏡!
ゾンビランドサガのようなアニメ作品を自治体が応援して良いムーブが生まれれば今後の観光に大いに効果があると思います。

放送が終わっても佐賀県民は勿論ファンの熱気は続いていくと思うので、これからの佐賀県のPRや誘客にどんな効果があるか楽しみです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。