一度見ただけでは見えてこない戦争の時代を生きた物語
「この世界の片隅に」…映画としては非常に秀逸ではあるものの、テレビという業界の闇を垣間見る一因となった作品です。が、家族で是非見てほしい戦争の時代を伝える貴重な資料になっています。
今回はこのアニメ作品のレビューを書きたいと思います。
8月……終戦記念日に観ました。
AbemaTVのお陰で見る機会が多くなったアニメ作品。
アニメは2019年くらいまで殆ど見てこなかったのですが、この映画の存在は知っていました。
主人公の“すずさん”を、女優の能年玲奈さんが担当されたという事。
それが原因でワケの分からん制約など起きて、TVのロードショーで上映できないなどの切り口でこの作品を知ったのですが、実際に見たのは今回が初めてでした。
感想としては、一度見ただけでは見えてこない描写や心情があるので、戦争・戦時中という時代を知る上でも、みんなで見ながらお互い感じたいろんなことをシェアしあうような見方が良いのではないかと思います。
そして、日本の戦時中を伝える貴重な資料です。
「この世界の片隅に」
監督/片渕須直
脚本家/片渕須直
プロデューサー/真木太郎
映像ということで、歴史の授業を受けるなどするよりもずっと頭に入ります。そして戦争をするという事がどういうことかをきちんと理解するツールとして大いに勧めたいと感じました。
戦争を知らない世代が増えてきています。
だからこそ戦争が良いか悪いかはさておき「知る」ということの重要性が高まっていています。
日本が誇るアニメ産業
ジブリアニメなど日本のアニメ作品を見て感じることとして、日本の歴史や良さをPRするのにこの「アニメーション」というジャンルは非常に優秀だと感じるようになりました。
僕自身、最近までアニメは見る事がほぼ無かったのですが、とある知り合いをきっかけに見るようになった作品数点。
見終わってから、作品に対するクオリティの高さに驚くばかりです。
3Dやモーションキャプチャー描写など、時代はどんどん作画スタイルから違った方法に移行しつつあります。
でもこの「この世界の片隅に」の中の描写技法は、見ている側に伝える情報以外に温かさや人の手で表現する上で染み出る「想い」のようなものも感じられて、風景一つとっても昔の良さが感じられます。
この作品の風景も戦争の時代とはいえ、どこか昔のなつかしさや古き良き時代の魅力を出してくれています。
これはCGでは出せない魅力ですね。
決して戦争の悲惨な物語を描くという流れではなく、どこからともなく新しい出会いが始まり、手を取りあってまた生きていくという流れが、優しさ漂う風景にマッチしています。
この映画は続編が公開されるという事で、この絵柄のまま時代をたくましく生きるみんなの姿が見れたら素敵ですね。
戦争映画を見るときは、この作品が言わんとしているテーマは何だろうかとややガチガチに構えて見る癖があるのですが、そう気負いしてみる作品ではないと感じました。
主人公のすずさんやその家族は、戦争であっても持ち前の明るさで元気に片隅に生きていきます。
どんな時代になっても、今出来る方法で精一杯生きる事の大切さを感じます。
だからあまり今の時代と戦争の時代を切り離して見なくても良い。
何かのせいにして卑屈にならず、自分の軸をしっかり置いて生きる事。
現代の自分たちのほうが意外と情報過多に振り回されて、自分軸で生きていないのではないでしょうか?
「戦争反対!」とただ叫ぶのではなく
作品を見終えて…哀しくなった部分もあるけど、人間本来の強さを感じる事ができました。自分がどう生きるかというのをしっかり芯に置くことの大事さ…ここに行き着きます。
この作品にはいろんなレビューが書かれていますが、感じ方は色々あっていいと思います。
冒頭にも書きましたが、是非「あなたが感じたこと」を皆で、家族や友達に話してみていただきたい。
映画って一人で楽しむのも良いですが、シェアする(自分が感じたことを話してみる)のも大事です。この作品は特にシェアしてもらいたい。
皆見てるもの感じているものが違うし、この映画は意外と情報量が多いので、分かち合いしてみると自分では見えていなかった思わぬ発見があると思いますよ。
またこの作品は、様々な地域で今も自主上映会が行われています。戦時中を生きた貴重な記録を語り継いでいきましょう。
最後まで読んでいいただきありがとうございました。
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