感想『東京リベンジャーズ』今と向き合え!行動しろ!

「リベンジ」ではなく、これからを生きる僕らの「在り方」

タイムリープというジャンルが随分認知されるようになった今日。

そのジャンルの良さを最大限に活かした作品が、この『東京リベンジャーズ』ではないでしょうか。

時間をさかのぼり“今”を変えるためにもう一度過去で奮闘する一人の男の子の成長物語で、アニメ~映画を通じて知名度が加速し、今では大人気になっています。

正面からこの作品を見れば、逃げていた過去の自分を振り返り、逃げずに立ち向かう姿に胸が熱くなる作品となっていますが、今…そしてこれからを生きる僕らの「在り方」という視点で見るととてもためになる作品だと感じます。

ぼくらは過去に戻ることはできないのですが、今後起こりうる未来に備えて“今”動くことは出来ます。

過去に戻るとかいう前に、「今」から目をそらさずしっかり生きるということを訴えてくれている作品ではないかと思います。

他にもヒロインの芯が通った姿は、今の女性にすっかりなくなってしまった“強さ”を描いていると感じます。

ヤンキーものの作品なのでどうしても男同士の抗争・肉弾戦が目立ってしまうのですが、視点を変えると色んな魅力がどんどん湧き出てくる『東京リベンジャーズ』

今回はそんな名作の匂いがプンプンするこの作品の魅力を紐解いていきます。

ネタばれは極力抑えていますので、これからアニメや映画を見る予定の方は勿論、見終わった方たちとも思いをシェアできれば幸いです。

まずはWikipediaより作品の概要を紹介。

東京リベンジャーズ

※画像クリックでサイトへ移動します
原作/和久井 健
監督/初見 浩一
音楽/堤 博明
アニメーション制作/ライデンフィルム
製作/アニメ「東京リベンジャーズ」
発表期間/2021年4月11日~

オープニング主題歌/Official髭男dism「Cry Baby」
©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会

逃げ続けてきた自分をやり直すのは結構辛い

ネタばれはなるべく控えますが、今作の主人公はとあるトリガーで過去に戻れるスキルを得てしまいます。

この作品の最大のポイント『タイムリープ』です。

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
後悔した過去に戻って、あの頃の悪循環にメスを入れていくってわけなのですが、わかっていてもなかなか「変える」ってのは難しい…

あまりに勢力が強大だから?違います。

理由は簡単です。

逃げ続けていた時の自分の「マインド」が変わっていないから。

だから、タイムリープさえしたら未来の記憶という強みがあるからイケる!なんてことはなく、同じような“つて”を踏みそうになります。

過去にたとえ戻れたとしても、今まで自分を形作っていたもの(マインド)が変わらなければ人はなかなか変われないものです。

序盤なかなかうまくいかない主人公を見ててやきもきした方もいると思いますが、自分は「そりゃそうだろう…」とリアルに感じてました。

自分より圧倒的に強い相手に喧嘩挑むのは普通なかなかできません。それでも動けたのは「それ以上のリスクを知っているから」

知っているだけじゃ変われないのです。知って動かないと!

そして動けば変わります。

動けば自分の逃げていたマインドにもだんだん向き合えるようになります。

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
でもその「行動する」ってのがなかなか難しいのが人間というもの。

難しいとはいえ、主人公には“強い動機”があったからかろうじて動き出します。そして物語もそれに呼応するように進み始めます。

実は女性に見てもらいたい作品かもしれない

主人公が「最悪の今」を変えようと強く意識したきっかけ、動機があります。

この芯の部分が弱いとタイムリープに軸がなくて物語としても面白みがなくなります。

まぁそこがしっかりしているというのがこの作品が人気ある理由でしょう。

芯の部分…それが「彼女を助けたい」というもの。

でも命を懸けてまで強いヤンキー君達に挑んだり、リスクのある抗争に巻き込まれるにはよっぽどの理由がないと出来ません。

自分よりも、命を懸けてでも守りたいと思える女性がいたからこそ主人公は動けたのです。

この女性がヒロインにあたるヒナ(橘 日向)という子。

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
この子が魅力的でまっすぐな子だから主人公はどんなにボロボロになっても動けたのです。

ヒロインが魅力ある女性だからこそ動機が固まったのです。

だからこの作品は、暴力的なシーンも多いですが、男性陣だけでなく女性にも見てもらいたいと感じます。

もし女性で今、この記事を読んでくれている方がいたら聞きたい。

「あなたの事を命かけてでも守ってくれるような男性はいますか?」と。

是非本編を見てもらいたいと思うのですが、ヒナは登場時は中学生。(主人公も同い年なので中学生ですけど…)

だからまだ色っぽさみたいな部分でプッシュができないのです。

でも本当に自分に芯があってしっかりしているので、容姿や色気を前面に出さなくても十分魅力ある女性に感じました。

簡単に言うと日本の“強い女性”のモデルだと思います。

そしてそんな魅力ある女性だったら男性は何が何でも守りたいと思うでしょう。

今日本で、若い女性の自殺が増えているというニュースを聞きます。

女性差別とか社会問題という見方もありますが、芯の通った魅力ある生き方をしている女性がほんとにいなくなってしまったのも原因ではないかと感じます。

そして、そんな女性に対して男性は勿論命がけで守りたいと思ったりしません。

「自分は守られるべき存在じゃない」と絶望した時に自殺を考えるのではないかと思うのです。

生き方を見失って希望が持てなくなって自殺する…そんな流れも原因の一つではないでしょうか?

中学生にして“強くて魅力的な女性”オーラを出している彼女の出で立ちは、今の女性の在り方に大いに参考になるのではないでしょうか?

彼女にそんな魅力がなかったら、主人公はここまで本気になって自分や過去を変えようと思わなかったはずです。

そんな絶対に守りたい、救いたい人は周りにいますか?

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
もうずいぶん昔とはいえ、戦争をしていた時代…男たちは命をかけて愛する人を守るため戦場へ赴きましたが、今はそこまでして守りたい女性はいますか?

年収やカッコよさで判断…選別する女さんに男は本気で守りたいと思わないでしょう。

だからって昭和の頃の「黙って付いていく感じの女性」が正解ってわけじゃないのですが、少なくとも自分の中にしっかり軸を持った凛とした女性は本当に少なくなってしまいました。

でもこういう抗争や戦争…有事の時、やっぱり女性は男性に守ってもらう必要があるんです。

自我を押し通したり、人にマウントとってる場合じゃなく、女性陣にはもっと自分(内面)を磨いてもらいたいです。

ヒナを見ながら、こんな凛とした女性…今の時代減ったなーというのを感じます。

見てる人へ「過去を振り返るな!今を見ろ!」

過去へタイムリープして、来るべき「最悪の今」を変えるべく奮闘する主人公・武道君ですが、ふとどんな層の視聴者が多いんだろうかと感じます。

週刊雑誌からのアニメ化なので、もちろんマガジンの読者の中心である学生が中心なんだろうと思うのですが、結構「昔辛いことから逃げ続けてきた思い出のある方」が見てるのではないかと感じます。

年代でいうと、30~40代でしょうか?

だから意外と広い層で認知されている作品だと思います。

でもどんな思いでこの作品を見ているのか…

▼タケミッチ一人じゃない。心強い仲間がいるってのも大事。

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会

おそらく昔の何らかの後悔を主人公と重ね合わせながら見ているのではないかと思うのです。

大人になっていく中、怠惰な生活を続けていくうちに、本当に忘れてしまう大事な仲間や思い出は誰だってあります。

昔の後悔を振り返って「あの時逃げずに□□しておけば…」と感傷に浸るのでしょう…しかし「後悔先に立たず」という言葉があるように、事をし損じたあとでは取り返しがつかないのです。

この作品は過去に戻ってのやり直し・リベンジを描いていますが、リベンジはしないに越したことはないんです。

実際にリベンジをしているタカミチ君はとてもしんどそうです。

まるで“逃げ続けて溜まってしまった負債”を体を酷使して返済しているかの如く…

だから物語としてこの物語を楽しむのは大いにアリなんですが、こんな難儀なリベンジなんてしなくても良いように、今できることを精一杯しろよって訴えているように感じませんか?

物語だから面白いのであって、“リベンジ”は決して楽でカッコいいものでもないんです。

下手したら殺されるような抗争に巻き込まれるリスクなんて背負いたくないでしょう?

だから「後悔無いよう今を見て今をしっかり生きろ」ってところに行きつきます。

芯のある人間はカッコいい

先程はヒロインであるヒナの見習うべきポイントを紹介しましたが、卍会のグループを中心に魅力的なキャラがたくさん登場します。

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
何が魅力かというと、やっぱりその人の生き方の軸がしっかりしているからという一言につきます。

そうでないと、見てるとなんだかとんでもなく暴力的に見えてしまいます。怖さの中に見える“男気”とか“面子(譲れないモノ)”が彼らを無茶苦茶カッコよくしてくれます。

ここまで知名度のある作品となれば、“推し”のメンバーもいるのではないかと思います。

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
頭タトゥーは勇気いりますが、生き様に見惚れ、彼らに敬意をもって真似る方も出てくるのでは…と感じるくらい『男特有の芯のカッコよさ』も前面に出しています。

古き良きカッコよさなのでしょうか?

あと、やっぱりケンカに武器(刃物)はご法度かなと感じます。

主人公がはじめの方はカッコイとは無縁の状態だったので、余計に回りが目立ったように思います。

対比みたいなものの見せ方も秀逸です。

今と“これから得ていくもの”を大切に

この作品はまだまだ本編は終わっておらず、これからますます魅力的なキャラが群雄割拠のごとく出てくるのではないかと予想してます。

©和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
そんな肉食獣だらけの中、どっちかというと草食系の主人公・花垣武道君はいかに立ち回ってハッピーエンドへ近づいていくのか…

その道が困難そうなのがもう予想できますが、彼も勇気をもって逃げずに立ち向かうことで少しづつ成長してます。

初めダメンズだった彼の成長を見守りながら、続編&伏線の回収を楽しみにしていきたいと思います。

皆さんも「彼みたいにタイムリープできれば…」なんて思いをはせずにしっかり今を全力で向き合いながら未来を明るい方向へ変えていきましょう。

僕らは失ってしまったものを取り戻すことはできなくとも、これから得ていくものを大切することはできます。

今、動けば未来は変わります!

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。