「極振り」感想 ~運営側の盲点を見事に突いた女の子


大人の視点で読み解く「極振り」

レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。

周作twitter:DarvishShu)です。


今回は、こちらの作品のレビュー(感想)をシェアさせていただきます。

「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」という何とも長いタイトル。

最近はこういう文章をそのままタイトルにしている作品が多いみたいですね。

自分が作品を見る前に必ず意識するのが
●簡単な作品背景を把握

●作品の背景を知ったうえで、物語の内容を予想してみる

●この作品を通して作者や製作委員会は何を伝えようとしているのか?
この3つ。

映画やドラマ、小説なども必ず意識して見るようにしています。

特に、「原作者がこの作品で何を伝えようとしているのか?」というのを考えながら見ると、奥深い見方が出来ると思います。

では、この作品の対象年齢より自分はだいぶ上だと感じましたが、この主人公のような独特で異端なレビューをお楽しみ下さい。

まずはWikipediaより、この作品の簡単な情報を紹介します。

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。

※画像クリックでHPへ移動します

著者/夕蜜柑
イラスト/狐印
出版社/KADOKAWA
放送期間/2020年1月~3月
製作/防振り製作委員会

「痛いのが嫌だ」という理由で不人気の「大盾」を選び、ステータスポイントも全て防御力に振る「極振り」をしてしまう。それがトンデモナイ性能を生み続け、ゲーム制作元である運営側を大いに困らせる流れに…

カラオケで人気出そうなオープニング曲をどうぞ。これを見るだけでもほんわかした作品をイメージすると思いますが、実際その通りです。


©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

「痛いのは嫌」そりゃあ誰だって嫌ですよ!

作品を見る前に、どんな物語になるのか自分なりに予想してみました。

せっかく見てみるんだからということで、まず予想したストーリーを見ていただきたいです。
誰だって痛いのは嫌です。

だから守りに入ってばかりの主人公はおそらく防御を上げるという「傷つかない方向」に特化していくのはタイトルからしても容易に想像できます。

しかし、仲間達が痛い(傷つく)のを恐れずに色んな難敵にチャレンジしているのを見て、自分ばかりが傷つくのが嫌だなんて……そんなやり方はダメだ!自分も痛いのは怖いけどみんなと一緒に冒険(チャレンジ)するんだ!

…という感じで、常に保守的だった自分から脱皮して、仲間と一緒に成長するストーリーなのではと感じました。

要するに…この物語を現実世界風に言えば—

ひきこもりの子(女性版)が、周りの友達の社会(学校)で傷つきながらも奮闘する姿を見て、勇気を持って社会(学校)へ復帰していく様を、アニメという形で比喩的に描いた作品ではないか?
これが自分がこの作品を見る前に予想したIFストーリーです。

どうですか?

まったくカスリもしてないでしょう!!


逆に製作者はもう少し冒険しようよ~!と言いたいくらいのノーダメージなストーリーでした。

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

想定外の事態に苦悩する管理者達

『NewWorld Online』というVRMMOを制作した管理者達。仮想空間のオンラインゲームです。
ゲームは大盛況なのですが、管理者側が「まさかこういう設定はしないだろう」という盲点を突いたのが、『NewWorld Online』の新規参加者でこの物語の主人公となる本条 楓さん(多分中学生?)。

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

ゲームを始めるときに、決められたパラメーターを振り分けるシーンがあるのですが、初心者でもない限り大体均等に振り分けるのが、ゲーマーのセオリーです。

しかし主人公の女の子は、痛いのが嫌だという理由で、パラメーターを全部VIT(防御力)に注ぎ込んでしまいます。
これを『極振り』と言います。この「極振り」がこの物語のポイントになっています。
※ネタばれにならないように書いていきますので、ご心配なく。

当然スタート時からノーダメージ。
攻撃を受けても効かないばかりか、どんどん攻撃への耐性がついていって無敵へとひた走る感じで物語は進みます。

しかしノーダメージの主人公はもはや歩く要塞みたいな状態になってしまい、途中から管理者達が苦悩し始めるシーンが出てきます。

運営の困惑するシーンが新鮮で面白いです

「まさかパラメーターをはじめから極振りするやつがいるとは思わなかったから、それが元凶でゲームバランスがおかしくなってしまった!えらいこっちゃ~」

でも「NewWorld Online」を利用するユーザーが増えてきた今、もうゲームを一回リセット(初期化)することなんて出来ないので、この崩壊状態のバランスをどうしたものか…と悩むシーン。

始まってしまった世界をニュートラルにするワケにもいかず…対処にお手上げ状態

ここのシーンが他の作品にはない、新鮮で面白い発想でした。

開発者がリアルに頭抱えて悩んでいる描写だと絵的に重いから、わざとぬいぐるみみたいなのを代行キャラにしたのかな…?

とにかく現実にこんな事態になってしまったらクソゲー扱いされてしまいます

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会


友達と楽しくVRMMOをして友情を育んでいくだけの作品なら、このアニメの対象年齢はやや学生向きなので途中で見るのはやめようかなと考えていたのですが、この運営(管理)側の登場と困惑するシーンは見ものでした。

要約して言うと、管理者はゲーマーの感覚はよく理解してゲームシステムを作っていますが、普段ゲームをやらないようなズブの素人の“常識外れの感覚”に関しては想定が出来ていなかったということです。

ゲーマーの「セオリーや心理面まで見越して製作する」努力は間違っていないけど、例外もいるという難しさです。

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

マニュアルに沿ってモノづくりをして提供すれば必ず万人に支持されるとは限りませんし、使い方を提示してもその通り使ってくれるとは限りません。

例えになっているかどうかは分かりませんが、パスタなどを食べるフォーク

殆どの人が食事の為に使いますが、ごく一部で凶器にしたりする人もいます。髪を繕う櫛代わりに使う器用なのかアホなのか分からん人もいたりします。

運営側が意図したものとは全く斜め上の方向へ活路を見出す輩もいるってコト!

運営側の予想の斜め上の思考を行く主人公・楓ことメイプル

▲ネタばれにならない程度に紹介しますが、【5話】ここでこの後ボスっぽい敵が出てきます。しかし、運営側の意図とは全然違うムチャクチャな戦法であまりにもあっけなく倒してしまいます。

運営側から言わせたら、「もうちょっとこっちのイメージした戦法で戦ってくれよ~そんなやり方ないわ~ていうかふざけんな!設定メチャクチャにしてからに!」と感じたのではないでしょうか?

「作り手はあらゆるケースを想定しないといけない。そうしないと素人に足をすくわれることだってある」…とまぁこういう事を言いたかったのではないでしょうか?

ゲーマー的な発想でないというのが思わぬ方向へ転んでいきます

考えすぎでしょうか!?

「VRMMO」のお披露目と時代の先取り

仮想世界のオンラインゲーム、VRMMOの世界はある程度認知度が上がってきました。

自分も少し前までは知識がほとんど無かったのですが、知人から勧めてもらって見てみた「SAO(ソードアートオンライン)」のおかげで今のVRMMOが今後どんな感じで進化していくかなど、未来の仮想空間の世界にとても興味を持つようになりました。

オンライン仮想世界のテンプレートを作ろうと試みた作品『ソードアート・オンライン』の魅力を紹介

2020.05.05
なので、すんなりこの物語にも入っていけました。

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

このVRMMOのシステムを使った今回の作品。

美術担当の方は本当に頑張ってくれたと思います。

写真に残したいくらいゲーム内の景観がどれも奇麗です。

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

しかし色んなマップやゲームシステムを見ていくうちに、なんだか「VRMMO技術が発達した暁にはこのアニメを是非ゲーム化してくださいね♥」と言わんばかりに感じます。
「ソードアートオンライン」は確定としても、この「極振り」も技術が追い付いていない今のうちにプロモーションPVという意味合いも含めてお披露目をしているのでしょうか?

キャラもかわいいので、好感を持つ女性ゲーマーが増えるかもしれません。
一時期栄華を誇っていたポケモン達も、時代の流れを察知してかこの作品に引っ越してきたのかな?と感じるようなキャラもいます。

▼あくまで『ゲーム内の発生イベント』というのを感じさせられる面白いギミックもあります。

「普通の黒髪ショートヘアーの子」をどう際立たせるか

主人公の容姿にスポットを当ててみます。

基本的にバグと気づかず素で楽しんでます

なぜかというと、飽和状態のルックスを突破する必要があるからです。

もう少し丁寧に説明しますと、「黒髪のショートの女の子」なんてキャラは、アニメが誕生して、今現在まで生まれてきた数々の作品達を見ていくともう数えきれないくらいいます。

初見でキャラを分かりやすく見分けられるように、アニメなどの世界では、髪の色や特徴ある部分の色を変える「カラーリング」という趣向を用いていますが、もうそれでも黒、茶色に始まり、赤やピンク、金髪、銀髪、緑、青など髪の色も多種多様になってきました。

世間では「青色」の髪の毛のキャラは人気が出るとかいう迷信もありますが、そんなのはどうでもいいです。

最近はカラーリングだけではキャラの差別化が無理だと感じたのか、女性キャラは特に髪留め(ブリーチ)のようなものをワンポイントアクセサリーに加えることで特徴を出すようにしています。
▲そんなに数見てないのですが、最近見たアニメの女性キャラは殆どが髪に何らかのアクセサリーをつけていました。

今回の主人公、楓さんも、ただの黒髪のショートヘアーだとありきたりなので、クロス調のヘアピンを髪留めとして装備しています。

彼女のコスプレをされる方は、「髪どめ」と「アホ毛」が必須となります。

他にも最近流行り(?)なのかどうかは分かりませんが、「アホ毛」というポイントも入れています。

これでだいぶ彼女の特徴が出てきました。

でもまだ弱いように感じます。

それくらい歴代色んなキャラクターが乱立しているので、「違いを出す」というか「差別化する」のが難しくなっています。

キャラの差別化って難しいなぁと感じます。

こういうピンと出た毛「アホ毛」も結構認知度が高くなってきました

彼女の様な優しくて素朴な感じの子は結構いるので、この作品を広げていくには、彼女が群雄割拠のアニメ界で存在感を出していく必要があります。

「ワンポイントの髪留めとアホ毛」だけではなかなか厳しいと感じていました…が、この子は予想に反してどんどん形態を変えていきます。

▼取得したレアスキルの効果でサイボーグにだって形態を変えます。「おへその露出」はお約束なのでしょうか?

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

この素朴な普通に居そうな女の子がどんどん存在感を増していくというのがこの作品の終盤に見られます。

本気でこの作品の看板ヒロインとして続編作りを狙いに行ってるのでは?と感じました。
※続編はなんか出るような雰囲気なので、ファンの方は良かったですね!

▼全体的にほんわかしたストーリーですが、最後はなぜかこんなカオスみたいな地獄絵図になります。興味がわいた方は是非その目で見てみてください!

©2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会

VRMMOの認識を沢山の人に持ってもらいたい…という狙い

 はじめに自分が予想していたストーリーとは全く違う、心温まるほんわかモードの作品でしたが、近い将来仮想空間のオンラインゲームがかなりリアルに発展していくと予想されるので、そうなる前に皆さんがこういうジャンルのイメージにすぐに“入って”行けるように作られたというのもあると思います。

この作品は恐らく小学生から高校生くらいの学生さん達をニーズに、まずVRMMOの基本的な認識を持ってもらいたいと感じて製作したのではないかと感じます。

「女の子同士でも、お一人様でも気軽に仮想世界に入って遊べるんだよ!」といのを視覚的にプレゼンしたような作品でもあります。

特に少子化が進んでいる昨今なので、男性だけでなく女性ゲーマーもVRの世界を今のうちに知ってもらえたら、ジャンルとしての人気が確立したときに社会的にも有利に働くと感じます。

僕は個人的に日本のVRMMO技術は将来、世界に発信していける優良コンテンツだと感じています。

そう考えると、これから若い層の人口が増えそうな東南アジアへ市場を広げていくのは確実ではないかと思っています。

そう、こんなかわいいキャラクター達とストーリーを引っ提げて。

日本経済は今後どんどん下降していく事が予想されますが、この仮想空間オンラインゲームのジャンルは世界をうまく巻き込むことができれば明るい兆しになると思います。

SAO(ソードアートオンライン)の世界で言うと2025年くらいの実現になるのかな……

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2020.05.05
そこに無理に間に合わなくとも、近い将来実現して世界中の人と繋がれる日が来るかもしれません!


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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