沈み行く国「ツバル」の体験記 ~違和感を感じた事・驚いた事
こんにちは。周作です。レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。
周作(twitter:DarvishShu)です。
今回から何回かに分けてツバルに行ってきた体験記を書こうと思います。
『ツバル』…国名の「ツバル」、「ツ」は現地語で「立ち上がる」。そして「バル」は「8つ」という意味で8つの島の人たちが立ち上がり国を作っていこうという意味が込められています。
現地で撮った写真も踏まえてお伝えしているので、プチ旅行にいってきたような感覚で読んでいただければ幸いです。
8つの島から成り立つ国・ツバル。
一番人口が多いのは空港もあるフナフティ。今回色々見て回ったのはここです。
それ以外の島にはそれぞれ600人~800人くらいの人口が暮らしているそうです。
ツバルに興味がある人はもちろん、どんな国か知らないという方も、違った視点で「国」というものを考えられる興味深い内容になっていると思うので、是非最後までお付き合いください。
“南国の楽園” ツバルに行ってきました
ツバルという国は今、温暖化が進んでいて、海面上昇によって沈むかもしれないといわれている国です。
そんな現地の様子をカメラ回そうと思っていたので、あらかじめ下調べをしましたが…
『島には海水が押し寄せ、土地が塩性化し、農地が汚染されつつある。人々は地元の作物より輸入食品を購入するようになり、これにより、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の増加等、新たな健康問題が生まれている。
逃げようにも行き場所のない人が多く。それらの人々は打ち寄せる波にただ怯えながら、生活している。
ツバルの人々はCO2をほとんど排出しない生活を送っているにもかかわらず、私達先進国が引き起こしている温暖化によって彼らの生活が脅かされている。』
……と、読んでいたら怖いなぁと思う反面、温暖化は僕ら先進国にも要因があるわけだし申し訳ないような気持ちも同時に湧いてきました。
島の人たちにはインタビューしてみようと思ってますが、上記のような深刻なことばかりではないはずです。
でもやっぱり現地の人は「いつ沈むかと恐怖感の中で生活しているのかなぁ」などと考えながら飛行機に乗り込みました。
これは日本ではアウトでしょう?飛行機トラブル
飛行機はすごく小さかったです!
日本の大型バス並みで、最大乗客数は44名。
チケットが買えずに行く予定がずれ込んでたのですが、確かにこれだけしか乗れないならすぐに満員になる可能性が出てきます。
そしてフィジーから約3時間ほどしてからツバルに着くんですが、ここで日本ではまず起こらないだろうハプニングが起こりました。
着陸前に、機長さんが急に英語で何やらしゃべりだしたのです。
“飛行機が下りるサイレン(サイン)を出し忘れた”というものです。
乗客はなんとそのアナウンスを聞いて爆笑。
飛行機は島の上空をぐるりと一回りしてから着陸に入りました。
「なんという雑な航空会社なんだ…」と感じました。日本だったらまずアウトでしょう…コレ。
着いたツバルの空港がこれまた小さい。
もちろん空港は民家と変わらないくらいの一階建てで、乗っていた飛行機が離陸したら直ぐに閉店となりました。(この日のフライト終了)
まだお昼過ぎくらいなのに…
滑走路前では飛行機を取り囲むように島の人たちが集まっていました。
後になって分かったのですが、この人たちは飛行機が着陸するまでの間、滑走路でバレーボールを楽しんでいたようで、飛行機が来たので一時コートを片付けて中断していたということが判明。
滑走路に飛行機が来るのは一日一回あるかないか位なので、若者の遊び場になっているようです。
信じられないけど「飛行場兼運動場」なのです。
そして”飛行機が下りるサイレン(サイン)を出し忘れた”ため、片付けの時間をかせぐ間に空中で迂回していたわけです。
ツバルにも日本人はいる
島に着いて、早速今回案内をしていただけるという女性の方に会いました。
話を聞いていると、自分と同じ高知県出身。世の中は狭いな~と感じました。
“まあ遠路ツバルまできたがやき、酒でものもうぜよ”ということで、一日目は飲みながら現地の情報を聞いていきました。
そして少し空港周りを散歩。
その中で、早速違和感感じる事がいくつかありました。
まず目に付いたのが、どの家にも貯水槽があるとうこと。
…なるほど。水道が無いから雨水をためて使うということか…
しかし、空港から程なくしてあるのですが、政府機関の建物(日本で言う国会)には水道設備が整っているようです。隣接するように高級そうなホテルが一軒だけありました。
政府が利用する機関だけ水道&下水道の設備が出来ているようです。
驚いた事もあります。
発展途上国とは思ってなかったのですが、道路がきっちり整備されていたということ。
後日分かりましたが、島の北の端から南の端までメインロードはアスファルトで舗装されていました。
これは説明すると難しいのですが海外の支援を上手く使って道路整備をしているようです。ツバルには天然資源がほとんどないため、多くは海外の援助に頼っているのが現状です。
まぁこの道路のおかげで、バイクで快適に移動ができます。
そして少し歩いて見つけた店が『ネットカフェ』だった事など…
田舎という見方をしたら驚きなのですが、国という視点で見るとネット回線やインフラ整備は必然なのです。
次の日に見て回ったのですが、消防署、港、病院、淡水化装置など日本企業が技術を提供している施設がいくつかありました。
国として考えると、必要な機関でしょう。
また、技術提供してくれた日本人に対する印象はなかなか良好のようです。
歩いていると出合ったおじさんの言葉に耳を疑った
ツバルでも一番人口が多いここフナフチは、細長い島で一日もあれば歩いて端から端まで行けます。
しかしながら、色々国内を見て回るにはとても時間がかかってしまうので、今回バイクをレンタルすることにしました。
今日のホテルをとりあえず出発
バイクのレンタルショップはあると聞いていたので、早速空港から歩いていきます。
道が独特で本当に印象深かったです。左手側はツバルで一番大きいホテルです。
そんな折、一人のバイクにまたがったおっさんと出会いました。
そのおじさんが僕に「バイク乗りたい?」と聞いてきたので、「YES」と答えると、そのおじさん「じゃあこのバイクを乗っていきなよ。」と言ってくれたのです。
僕は英語でお礼を言って、乗り終わった後、どこへバイクを返しに行かないといけないかを聞いてみました。
しかしその後のおじさんの返答に耳を疑いました。
「返しに来なくても、適当にどかに乗り捨てておいていいよ」
…僕は決して英語が堪能だったわけじゃないので、自分のヒアリング能力を疑いました。
乗り終わった後は、その場に乗り捨ててもいいって…まさか。
何度かおじさんに確認したのですが、間違いなく「乗り終わったらその場に置きっぱなしでもOK」ということでした。
よく考えて見ました。
確かにここは小さな国です。
だれのバイクがどこにあるかなんて、すぐに分かります。
日本じゃまず考えられないのですけど、この国ではそれが成り立つのです。
ツバル到着一日目の衝撃でした。
ツバルの北の端へ
道はきちんと舗装されているので、バイクだとスイスイ進みます。
海と太陽と風のバランスは、言葉で言い表せないくらい絶妙でした。
風も気持ちいいのでどんどん進み、あっという間に北の端まで行き着きました。
しかし、そこで目にしたのが溜まりに溜まったゴミの山。
燃えるゴミは土に返りツバル内で循環するのですが、そこにあったのは燃やせないゴミ、ビンやカン、プラスチックの製品など。
ゴミ処理場が無く、燃やしていないのなら何処かにもっていくしか方法が無いのです。
この時までは頭で分かっていたけど、やっと「ゴミは一つ捨てたら世界のゴミは一つ増える。一つ拾うと一つ減る」という意味が理解できたような気がします。
日本のように大きな国で無いので、大規模な焼却場が無いし、ごまかしがきかないのです。
ビールなどのカンは飲み終えたらそのままゴミとなって島のどこかに残ります。1つカンビール飲めば1つカンのゴミが増えます。そしてそれは燃やせずに島のどこかに残ります。
これが現実です。
いくら人口が少ないとはいえ、観光客も含め数年間の時間を経てとんでもない量のゴミを生み出していたのです。
北の端がゴミだらけというのはショックでしたが、国が小さいので焼却所が無いというのも分かりました。
そんなゴミの山に、2~3人の人がなにやら作業していたので、簡単にインタビューしてみました。
彼らは無職で、ゴミの中から使えそうな鉄などを採取して売っているということです。
それでもこの小さい島にこれだけのゴミ山は地球全体の問題の縮図だなと感じずにいられませんでした。
近所に住む人たちはどんな思いなんだろうか…いつかは近所にまでゴミが押し寄せてくるかもしれない。それにハリケーンなどでゴミが飛ばされてくるかもしれない。ビンやガラスの破片もあるし…
そんなゴミ山をじっくり撮影してその場を後にしました。
いきなりヘビーな風景を見てしまいましたが、まだほんの一部しか見ていません。
これから改めて南下しながら「国」の様子を見ていきたいと思います。
ツバルの北の端から南へ向かってバイクで走ってみた
北の端、廃棄物置き場(?)から南へ向けてバイクで移動していきます。
途中整備された港を通りました。コンクリートの造りがこの風景にちょっと合ってない感がありました。
後で聞いて分かったのですが、港は日本の企業が舗装に協力したそうです。
他の景色と比べてもやたら近代化しててキッチリしてました。
こんな感じでコンクリートで固めたゴミ処理場なんかも作ってあげたらいいのに…とか勝手な事を考えながらその場を後にしました。
しかし、それが実は良くない事だったというのは後になって分かったのですが…
人に出会うと、とりあえず話してみる。そして可能ならインタビューをしてみる。そんな感じで徐々に南下していきました。
ちなみにツバルに行った時、時期は雨季でした。
この日も例外でなく明朝あんなに晴れていたのに、突然激しい土砂降りになりました。
そんな時近所の家の人が「あまやどりしていきなよ。うちによっておいで(英語)」と家に入れてくれます。
そこで世間話などをするチャンスがあったのですが、家族の顔がとても明るい。
そして家の作りも特徴的です。
江戸時代の長屋のようなもんでしょうか。
広々とした空間を構える民家、殆ど部屋が仕切られたり区切られていません。広い空間に好きなように寝そべったり座ったりしている感があります。
これは決してデザインされた家ではないのですが、なんとなく自由で広い印象があり、狭さや貧乏な雰囲気が感じられないのです。
そして家の外には大抵雨水タンクがあり、屋根をつたって雨水を溜め込みます。
行政の施設でも無い限り、生活用水は水道でなく雨水仕様のようです。
雨が降っている間、大人たちとしゃべりながら雨宿りをしていたのですが、その間子ども達は上半身裸で外に出て、屋根の淵などで人口のシャワーを浴びていました。かわりばんこではしゃぎながら…
通り雨の多い印象がありますが、おかげでツバルの日常を見ることができてよかったです。
やがて程なくして雨が止み、再び移動。
ただ、ちょっと記事が長くなってしまったので、次回へ続きます。
さらに町の様子や学校、そして近くの離島にも出向き、深く見ていこうと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。まだ半分も回っていないですが、少しでも現地の雰囲気が伝われば幸いです。
次回の記事「ツバル町歩きをして見えてきたもの」も是非ご期待ください。
ツバルの国に関して、聞いてみたい事がればお問い合わせからメッセージお願いします。
件名に「ツバルに関して」と書いていただけると分かりやすくてありがたいです。
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