楽しみ方は無限にある。だからプロレスは面白い
レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。
周作(twitter:DarvishShu)です。
コロナも治まり、プロレス観戦も賑わい始めてきました。映像配信も盛んです。
プロレスリングNOAHさんが映像配信を率先して敢行していますが、いくつかの団体はライブ配信を駆使して現在の彼らの“生き様”を配信したりして視聴者に響かせようとしています。
しかし、どうしても一度現地でそのすごさ&素晴らしさを感じてしまった人は、リアルタイムでその場で感じる自分自身の心揺さぶられる感覚から離れられなくなるようです。
名勝負、名作と呼ばれるものには必ずどこかで「心揺さぶられる部分」があると言われます。
最近は時間を作ってはプロレスに限らず様々なジャンルの人気コンテンツの“心揺さぶられる場面”をむさぼるように探しています。
今回は一ファンとしても、このプロレスの熱心なファンから「どこに心揺さぶられたか」を聞くことが出来たのでシェアしたいと思います。
彼らの話から、どこで人は感動し、夢中になっていくのか?というのを紐解いていきたいと思います。
三人の事例を書いた後、自分のケースも最後に書かせていただいてますので、少し長いですがみなさん是非最後までお付き合い下さい。
ではよろしくお願いします。
どんなパフォーマンスであれ、その人の心を強く突き動かすものを見せられたら勝ち
先ほどの要約になりますが、プロレスの興行に限らず、舞台公演や伝統芸能のようなパフォーマンスでも、いかに見る側の感情を揺さぶるか…心に響くものを残せるか?というのが大事だと感じます。
そこからコアなファンへと変貌を遂げるわけです。
心響く何かを感じられるから、お客さんはそこへ足を運ぶわけです。
それがコンサートのようなライブであったり、演劇のような舞台公演であったりと形式は様々です。
ただ、彼らの共通する意見としては「生で見る」方が映像よりも臨場感があり、心に響きやすいということ。
生のリアル感に勝るものはないという事でした。
説得力とは?
はじめに結論を言うと、オーソドックスな意見は1人しかいませんでした。
コメントをくれた3人が、観戦歴が10年以上の猛者ばかりだからかもしれません。
観戦ビギナーの頃は、強くて魅力のある選手に憧れるのようですが、だんだんその周り(ナンバー2といわれる選手やヒールの役を背負った選手)に魅力を感じていくようです。
勿論今どきのイケメンのベビーフェイスの選手のファンになって、帽子とかのグッズを買って応援するのも大いに良いと思います。
でも見ていくうちに、全体を通してこの団体を本気で思い、盛り上げようとがんばっているのは誰なのかという部分に意識を向けていくのではないかと思います。
それがトップの方だけとは限らないわけなので。
そこがプロレスは特に魅力的でもあり奥が深い部分なのです。
前置きが長くなってしまい、すいません。
※顔出し&名前公表は出来ませんが、意見をいただいた3人のコメントは創作ではないという事は約束いたします。彼らの話してくれたことをできるだけ忠実に書いています。
感動事例1/杉浦選手のエルボー
まず1人目はAさん(仮名)
一番心揺さぶられたのは、「間近で見た打撃とその音」だそうです。
比較的小さな会場に観戦へ行った時の事だそうです。
この時点で何も大きな会場でやるビックカードだけがお客様の心を動かすわけではないというのが分かります。
試合の途中で場外戦になり、流れで選手がリングから場外へなだれ込み、そのまま場外でのしばきあいが始まったそうです。
その時にリングサイドの次に良い席を取っていた彼のかなり近くまで選手がやってきました。ホントかどうかは分かりませんがその距離1mくらい…すごい近いです。
その乱闘時に杉浦 貴選手が相手にぶち込んだエルボーの“生音”が忘れられないそうです。
「エルボーって普通顎にぶち込むものだと思ってたんですが、違うんです!
首根っこにぶち込むんです!
もう首の骨を折らんとするくらいの迫力で、しかもエルボーを首筋にぶち込んだ時リアルでゴキゴキと骨がきしむような音がして恐ろしかったです。
もうあれを間近で見て、杉浦選手のエルボーに勝るものはないという確信が湧きました。後の試合はあまり覚えてないくらい凄かった…
他にもすごい打撃の選手はいるにはいるけど、あれを間近で見たらホント震え上がる。
映像ごしで見るのとはわけが違うくらいのエグさを感じた。
首の骨を本気で折らんとするあの殺意気味のエルボー…ありゃ強いなんてもんじゃない。もう彼が最強!
…というかあの殺人エルボーを耐えきらないと彼を倒す活路が開けないんだから相手選手はマジ可哀そうだよ。
と、まくしたてるように話すAさんは、もうすっかり彼の魅力に心奪われてしまったようです。
凄い打撃を間近で見るというのは、シンプルに観る側の心を鷲掴みしてしまうようです。
余談ですが、
この場外乱闘が収まった後の、お客さんのだまって静かに椅子をまた同じ配置に戻して何事もなかったように観戦を続ける様を見て、彼は「まるで細胞のようだ」という言い方をしています。
感動事例2/あべ みほの乱(?)
説得力があったという点で、予想と反対側を突っ走るコメントをしてくれた方がいました。
Bさん(仮名)としておきましょう。
Bさんが心動かされたのは、レスラー…ではなくそのお供に使えているようなオプション的な女性でした。
プロレス用語で「ディーヴァ(DIVA)」と呼ばれるそうです。
彼女の名前は「あべ みほ」さんといって、調べてみるとモデルをやっているタレントさんということ。
スタイルは抜群です。スポットライトを浴びた時の魅惑の動きがその魅力をより引き立てます。
※著作権上、画像がなくてすいません。
Bさんが暑苦しく語ってくれたのは、とある大会であべ みほに起きたアクシデントの話でした。
その大会に彼は現地観戦していたそうです。
リングでは、屈強な体の男たちが互いのプライドをかけてぶつかりあう暑苦しい世界なのですが、(当たり前です)そんな男臭いリングだからこそ、そこにリングインしてくる彼女はめちゃくちゃ目立つそうです。
回りが強面の男ばかりなので、何をしても目立つそうです。
これも映像を見るよりも生で見たほうがはるかに説得力があるとのこと。
いつものようにタイチ選手と一緒にリング上へ。
セクシーな衣装で魅惑の動きを見せながら入場を果たし、その後相手サイド側の男を誘惑する「あべ みほ」。
その最中に急に背中のブラのホックが取れてしまうというアクシデントが起こります。
いつまでも試合が始まらない妙な間が出来たそうです。
敵味方関係なく、リング上の選手たちもどうやら気付いたようで、なにやらただならぬ雰囲気…
状況を理解したB男爵は、もうそのアクシデントの事で頭がいっぱいになってしまい、後の試合の結果など何も覚えていないということでした。
ただでさえ目立つからこそ、そこでのアクシデントは他のアクシデントとは比べ物にならんくらい目立つのです。
興奮気味に話してくれたBさんはますます饒舌になります。
「もうあれからあべ みほ のいない会場には観戦に行く気がしなくなった。彼女の存在が全てと言っても過言ではない!
メインイベントとかで、タイチがピンチになった時、もっと体を張った何かをして欲しい!
それを想定して、タイチがメインの試合、俺はリングサイドの席を取るつもりだ!札幌の時はダメだったけど…とにかくリング内の動きだけでなく、リング外の彼女の動きも楽しめて最高だ!
カメラマンは試合中選手ばっかり映すから(当たり前です!)つまらん!もっとあべみほを映してほしい!
もうあべみほのいない新日(新日本プロレス)なんて、エビのないエビフライみたいなもんだ!
彼女の存在が男だらけの暑苦しい世界を癒してくれる…あぁ、自粛が解けて再開したらまた会いたい…あぁあ…というかちょっとトイレ行ってくるわ。
そう言って彼はお手洗いへに籠ってしまいました。
なんだか求めてるものが違うような…危険技の応酬よりはいい…のか…
でも彼はあべみほがきっかけで、ポケモンみたいに普通のファンからコアなプロレスファンへと進化を遂げたわけです。
彼女の存在(&なんらかのアクシデント)がファンの心を引き付ける原動力となっているのなら、それも一つの心揺さぶられるカタチです。
現に彼はあべみほの現れる会場には頻繁に現地観戦しに行ってます。
アニメでは結構鉄板の手法ですが、重苦しいストーリーや戦闘シーンなどを緩和するために大体7:3くらいの割合で女性の登場人物が多いです。
女性はいるだけで場を華やかにしてくれます。
北斗の拳みたいな硬派なアニメでない限りは、かわいい女性キャラを沢山使っている傾向があります。
感動事例3/レスラーも1人の「サラリーマン」
Bさんはほっておいて知人Ⅽのエピソードです。
彼は3人の中でも一番社会的なところからプロレスを見ているようにも感じました。(観戦を嗜んでいるという感じでしょうか…)
というのも、プロレスラーも一人の社会人なわけです。超人的にタフでガタイが良いという特徴を除けば、会社の社員・サラリーマンなわけです。
毎年選手契約をするわけだし、契約を解除してフリーになる選手もいます。そんな一社員としての視点で心揺さぶられた選手を挙げていただきました。
今のプロレスって日本で作られたものなんで、どうしても日本人感がでてしまうようです。
そして今のレスラーたちを見ると、良くも悪くもプロレス団体は企業経営なので、サラリーマンレスラーばかりになっているとのこと。
レスラー達も、僕らと同じ1人の社会人である事は事実なのですが、彼(Cさん)の切り出し方は自分に無いものがあって新鮮でした。
「今のプロレスは“閃き”がないと思う。
武藤や天龍が人気あったのは、閃きのプロレスをするから。
もっと、プロレスラーは馬鹿になってほしい。
常に80点100点の試合はするけど、120点の試合が見れないという…
ドラゴンストップ(詳しくはこちら)とか、乱入で本気で病院送り決める飯塚選手《現在は引退》とか、そういう冒険ができる人間、リスク覚悟でハチャメチャやれる人間がもっといたら楽しくなる と思うとの事。
「プロレス界でも今の日本社会同様 イノベーションを起こす人間が減ってきている」ということなんでしょうか?
Cは補足します。
「まぁ、そんな無茶したら一般受けしないから間違ってるっていうバッシングがあるのも事実だから、リスクを取りたがらない気持ちも分かりますけどね」
「プロレスとはこうでなければいけない」という原理主義者もいるので、型破りなことをすれば必ず反発はあります。
でも批判のネタになりやすい行動にも意味と駆け引きはあります。“所属選手”が敢行するには難しいのかもしれませんが、支持してくれる人(ファン)が居たら、きっと会社はその選手の気持ちを尊重して責任とってくれると思うんですけどね。
感動事例4/試合が終わってからの一言
長い記事になってしましたが、最後は自分の中で一番心が震えた瞬間を書いて終わりにします。
1995年10月25日に日本武道館で行われた 三冠戦「三沢 対 小橋」
この試合とその後の勝利者インタビューです。
勿論試合も素晴らしいですが、その後のインタビューで相手に向かって投げかけた言葉が何よりも感動しました。
なかなかお互い分かり合えない現代社会…
こうやってプロレスを通してお互い分かり合えるっていうのがとても素敵で心揺さぶられました。
なんか胸が熱くなって「もうこれから先、一生プロレスを見続けよう…」そう感じた試合でした。
そこに理屈なんてありません。
この試合は僕がプロレスの世界を知る前に行われた試合なので、見たのはビデオ。
現地で見ていませんでしたが、あの日、日本武道館で生観戦したお客さんたちはどれくらい心が震えたのか計り知れません。
当時怠惰な学生だった僕は、こんなに胸が熱くなるような感情を抱いたことが無かったので、ビデオ越しとはいえ強烈に印象に残りました。
プロレスに出会えて良かったです。
早くまた生観戦できるのを楽しみにしています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
開場は2020年2月の大阪城ホール大会(新日本プロレス)。
ホールへ向かう途中でした。
試合開始が迫っていて少し遅れ気味でした。開場時間5分前くらいだったと思います。
別入口の方へマネジャー2人を引き連れて、「ピーター」さんが移動していてすれ違ったのです。
「ピーター」さん…10人中10人が振り向くくらい(暇でモテないプロレスファンの男性陣に限る)黒を基調とした刺激的なコスチュームで滅茶苦茶目立ちます。
こんな際どい衣装で、男だらけのリングの上で踊ったり愛想を振りまいたりしたら、開場の視線を釘付けにしてしまいます。
遠目からでも「アイツ、やたら目立つな~」と感じてました。