感想『かぐや様は告らせたい』マウンティングしてる人を客観的に見るとこうなる

口コミでじわじわ広まり、今では世界中で大人気に

現在1期2期と続いている作品で、3期も制作が進行中。

シンプルながら奥の深いような浅いようなストーリーでクスッとくるような絶妙的な面白みが魅力の『かぐや様は告らせたい』

この作品を見るきっかけになったのは、「海外、特に中国でえらい人気が出て注目されている」というニュース記事。

海外からの評価が高いという事。(もちろん日本でも大人気です。)

特に中国の若者は日本のアニメが大好きなので日本アニメ界の中では大きな収入源というのは知っていましたが、一体どういうアニメが好好まれているのか気になっていました。

勿論「ドラゴンボール」のような王道の作品は国境を越えて人気がありますが、この作品はその人気の出方(上がり方)が良いです。

一部コアなファンからは猛烈なプッシュがあったそうですが、放送当初実はあまり注目されていなかったそうです。

放送された当時は、まだ国内でも中国内でも認知度が低かったみたいなのですが…。

回が進むにつれ口コミやSNSを通じて日本国内は勿論、海外でもじわじわ人気が加速していき、今や大人気の作品となりました。

1期の放送が終わり、2期が始まるころにはその開封を楽しみに待つファンが大勢いたようです。

本当に面白い作品だからこそ、じわじわ人気が高くなっていくワケで、今回はその人気の理由&エッセンスを皆さんにシェアしたいと思います。

ますはWikipediaで簡単な作品紹介を。

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜(第1期)
かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜(第2期)

※画像クリックでHPへ移動します
作者/赤坂 アカ
監督/畠山 守
シリーズ構成/中西 やすひろ
脚本/中西 やすひろ、菅原 雪絵
累計部数1500万部を超える大ヒット漫画よりアニメ化
放送/
第1期:2019年1月12日~3月30日
第2期:2020年4月11日~6月27日

見れば分かりますが、非常に分かりやすいけど今まで出てこなかったシュチュエーションです。まずこの目の付け所に脱帽。

こういう切り口のラブコメは発想として思いつかなかったなぁと感心します。

あと感じたこととして、この作品はシンプルで分かりやすい設定故、どのアニメよりも実写化しやすいと感じました。

調べてみたら既に実写化されていました。

初見の方だと間違うかも?かぐやさんを

物語のスタートと共に仰々しいナレーションで、メインとなる二人の人物紹介が始まります。

この人物紹介は1話と2話の冒頭で1分以上かけてまるまる説明が入ります。

なぜこういう人物紹介から入っているのかを自分なりに考えてみました。

まず、物語のメインパーソン1人目。

イケメンだけでなくやさしくて面倒見も良い思いやりがある白銀君という寝不足男子。

白銀君(※かぐやさん目線)
基本的に口だけじゃなく努力家なので好感持てます。

…そしてもう1人がこの作品のメインキャラでもあり、何かとめんどくさいヒロインである「四宮かぐや」さん。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
自分は初見だったのですが、まず「え?この子がかぐやさんなの?」と感じました。

そう感じた方って他にいませんでしたか?

今までの作品のセオリーに反した人物設定だと感じませんでしたか?

▼この子が「かぐやさん」じゃないのか?

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
…というのも、大体ラブコメのヒロインというのは、明るくて少女漫画特有のぱっちりしたおメメをしていて、ちょっとドジな感じの子が王道でした。
こういうぱっちり目の方がヒロインイメージの人多いのではないか?
そういう路線で考え、この作品のアイキャッチ画像を見た感じだと、このピンク色の髪の子がかぐやさんじゃないかと思っていました。
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
「この子がかぐやさんで、この吊り目で細身の女性はかぐやさんの恋路を邪魔するライバル的な感じの人なんだろうか?」と思ってました。

この作品が非常に人気があるというのは知っていたので、主人公とヒロインさんはきっと王道的なキャラではないかと踏んでいたのですが、ふたを開けてみると、『目つきが鋭く、成績優秀な御令嬢。声も厳しい感じで一緒にいると恐らく必要以上に気をつかってしまい多分しんどいやろうな~』というキャラ。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
今までの作品のセオリーで見ると、パッと見た感じこの子は…
常に高圧的な態度と札束でヒロインの女の子を苦しめるライバルキャラのような位置づけを想像してしまうのですが…
©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
そういう先入観がある方に誤解受けないよう「皆さん、こっちの方がかぐやさんですよ~!」という表記付けの丁寧な解説から始まりました。

これが天才たちの恋愛頭脳戦なのか?!

何かとめんどくさいヒロイン・四宮かぐやさんは、自分のプライドが邪魔して「自分からお願いするのは立場が下に感じるから」という理由で、相手から仕向けさせようと色々仕込みをします。

「そういう気分」にさせる様に誘導させたり、心理面で追い詰めたりして…

このマウンティング思考が最高に事をややこしくしています。

血筋の良さからはじまり、勉学、芸事、音楽、武芸など何をやらせても高いレベルでこなる天才ゆえなのか?

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
エリートたちが集う名門校の生徒会副会長という立場上、うかつに下手に出れません。

「“自分から”申し出るのは負け」という変な思い込みがマウンティングの慣れの果ての思考なんでしょうか。

傍から見たらコメディに見えるのですが、本人からしたら自分の尊厳を守るため必死なのでしょう。

映画館に誘ってほしいケースや相合傘に入れてもらいたいケースなど様々な仕掛けで相手に行動を起こさせるよう念入りに仕込むのですが…とても“天才の思考”に思えません…

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
控えめに言ってアホです。(かぐやさんファンの方はすいませんが)
表情を悟らせないようにとっさに舌を噛んで誤魔化そうとするのはテクニックでもなんでもないです。もう度を超えたアホ!
しかし、この物語の魅力の一つがこのバカな仕込み戦略になります。

そのエネルギーをもっと他の事に使えばいいのに…と感じながら最後はしっかり笑いに持って行くオチを楽しんでいます。

この作品のサブテーマが『天才たちの恋愛頭脳戦』なのですが、とても天才の思考には見えず、なぜここまで回りくどいバカなことをしているのだろうかと笑えてきます。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
それに拍車をかけるようなナレーションもこの作品を面白くしてくれます。

都合の良い時に「四宮家の名に懸けて」なんて言うのですが、結局はプライド以外の何物でもないです。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
作者の赤坂アカさんは、マウンティングの愚かさを笑いを交えて分かりやすく伝えているのかなと感じる事もある反面、かぐやさんの今までの家庭事情ゆえの「生き方やマインド」を変えられず、ちょっと可哀そうだなというエピソードも交えてくるので、不思議と嫌いになれないかぐや様。

▼エンディングムービーを見れば、かぐやさんを取り巻く人間関係が非常にわかりやすく描かれています

しかしそんなスルメみたいにじわじわ魅力が染み出るかぐやさんだけでなく、周りのキャラがもっと魅力的だったりするのがこの作品のすごいところ。

主役を食う脇役の存在は良作の証拠

名作と言われる物語は、時には主人公よりも魅力的な脇役達でサイドを固めているのは今も昔も変わらない法則のようです。

少し古いですが、スラムダンク幽遊白書など。主人公以外の人物も負けないくらい魅力的で、それが作品全体の評価を押し上げてくれます。

こういう主役よりも人気のキャラがいるのって“名作あるある”ではないでしょうか。

物語の前半で登場した彼、「石上君」は、はじめはかぐやさんたちの状況に均衡状態が続いた時、崩すために出てくる藤原さんみたいな便利キャラだとばかり思っていたのですが、物語後半に彼の評価が爆上がりしました。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
キャラクター人気投票などをしたら、彼はおそらく白銀君やかぐやさんよりも上位に行くのではないかと感じます。

他にもかぐやさんの侍女の金髪の子も何気にキャラが良くて主役を喰うくらいの魅力を秘めています。

これから3期と続いていく中で、主役との人気が逆転していくのではないかと感じるくらいです。

▼課金したらこんな感じにパワーアップするかも?!

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
また名作の特徴として、作品の雰囲気の切り替えが本当に上手いのですがこの作品も笑いと感動する部分のコントラストが非常に丁寧に描かれています。

魅せ方一つをとっても、往年のゲーマーが喜びそうな描写や、少し昔のドラマで使われたような感じのBGM(東京ラブストーリーや冬のソナタもどきのようなBGM)を使っていたりして、見ていて思わずニヤッとさせるところがあります。

作り手はおそらく狙ってやっているでしょうし、あとノリノリで作品を作っているように感じます。

この辺の構成の魅力は是非作品を見て確認してもらいたいです。

制作陣は恐らく1990年代から2000年代のドラマを見てきた方が多いのではないかと。

▼少し話が飛躍しますが、彼女が「」とかになったら物凄く嫌な感じのキャラになりそうです。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

詐欺的な声質に驚き

この作品のカラーを左右すると言っても過言ではないかぐやさん。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
彼女の声はまるで百貨店の受付嬢やキャスターみたいな鍛錬された清楚な感じで、声だけで人物の雰囲気を作り出しています。

しかし、ふとしたきっかけで、かぐやさんを演じている声優さん(古賀葵さんと言います)のラジオ番組を聞く機会があったのですが…驚きました。

地声がまったく違うんです!

どちらかというと子どもっぽいキャラクターを演じるイメージがある無邪気な声をしています。

▼Youtube消されていなかったら是非声を確認してみて下さい。

地声がこんな声なのに、あんな高貴な尖った喋り方もできるのか…とそのギャップに感動しました。

実際「かぐやさん心の中劇場(勝手に命名)」では3種類のタイプの声を実にうまく演じ分けています。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
声優さんと言うのは本当に声をあやつる天才だなと感じていますが、本当に様々な「声」でキャラクターに命を吹き込んでいます。

ナレーションの方もしかり、皆さんのプロ意識の高さを感じます。

ここはやっぱり男の方から告ろうよ

ゆずれないものもあると思うけど、なかなか一歩が踏み出せない白銀君とかぐやさん。

コメディとして非常に面白いのですが、いつまで延ばすんだというもどかしい思いも感じます。

「何やってんだよ!」と苦笑いしてしまうシーンも多々…

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
不謹慎ですが、もう「交通事故」みたいなイベントでも起きない限り二人が本当に歩み寄るチャンスは無いんではないかと感じるくらい…

こんなに毎日に近いくらい顔を合わせているのに…

夏休み時期…仰々しいナレーションで「何もないまま半月が過ぎた!」なんていう語りがあるのですが、『自分の方から動いていかないなら(チャレンジしようとしないなら)有限の時間だけがただただ過ぎていくだけだぞ!』という今の僕らに訴えかけているようなメッセージにも感じます。

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
自分も告る事ができなかった学生時代の情けない自分を思い返しながら見てますが、やっぱり好きという自覚があるなら男性の方から告るべきかなと感じます。

理由を書くので少し持論にお付き合いください。

二人とも告白してもフラれたりスベったり、そして蔑まれれたりする可能性を想定しているわけで、そこが告白にブレーキをかけているわけです。

でもそこで“天才”と言うのなら、天秤にかけて考えてみてほしいのです。

「自分が下に見られる&傷つくのが嫌だから告白できない」ってことは、相手よりも自分の方が大切だと思っているってことじゃないですか?

それなら今のまま変わらず自分を大切にしてあげてほしいけど、相手に告白する資格はないと思います。

例え蔑まれた可哀そうな自分になったケースの自分よりも相手が大切だと思えるなら、告白はできると思うのです。

男性は経済面や有事には女性を守ったりエスコートするケースが多いのだから、相手を大切に想うのならば男性側から告るのが良いと感じます。

彼らはプライドとか御家の名誉とか色々言いますが、まだまだ自分が可愛いだけなんです。

有名高の学生服でパリッと決めていますが、考え方が子どもです。

▼高すぎる「頭脳偏差値?」の陰で、低すぎる「恋愛偏差値」が垣間見えます

©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会
自分を捨ててでも本当に相手を何より大切に想える境地にたどり着いたその時、物語は進みだすのではないかと思います。

進むというかこの物語で言うと終わりに向かってしまうのでしょうか? 続きは本当に気になるところです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。