ドラゴンが共存する“日常のような”物語
京都アニメーションの事を知ったのは昨年の事です。
それまで、この会社がどんな作品を世に出す、というか作っていたのかなどよくわかっていませんでした。
「京都アニメーションってどんな作品残しているの?」と業界にある程度詳しい知り合いの方に聞いたら「CLANADを見ろ!話はそれからだ!」とだけ言われました。
話を戻します。
日本のアニメ文化が実は世界に誇れるくらいすごいコンテンツというのを実感してからは、積極的に作品を見るようになりました。
どんな作品かはまったく知らないけど見ることにしたこの作品。
12話構成のお話で、日常が舞台のようです。
まずは作品紹介をWikipediaより作品の概要を紹介…
小林さんちのメイドラゴン(第1期)
小林さんちのメイドラゴンS(第2期)
原作/クール教信者
監督/武本康弘(第1期)
石原立也(第2期)
シリーズ構成/山田由香
キャラクターデザイン/門脇未来
音楽/伊藤真澄
アニメーション制作/京都アニメーション
製作/ドラゴン生活向上委員会
発表期間
第1期:2017年1月12日~4月6日
第2期:2021年7月7日~
「ほのぼのした癒し系の作品だ」というレビューが多かったこの作品ですが、生き方というか生活スタイルの自由さを感じました。
「こういう生き方でないと」というものから、「もっと自由に自分のやりたいペースで生きていく」という提案の一つとして見ていくと、心が温かくなります。
そういう意味では色々な日常の物語ですが、芯が一つ通っています。エンディングの曲の歌詞がそれを物語っています。
現代人は生産性が低いのに働きすぎて心をすり減らしています。
そんな“働きすぎの荒波”を生きていたOLの小林さんのふとしたきっかけから始まる物語です。
▼この方こそトールの慕う小林さん(下の名前は最後まで不明)
2期に入る前からショートムービー『ミニドラ』がYoutubeで公開されたりして、ファンのを中心に大変話題になっているようです。
ドラゴンをすんなり受け入れる視聴者の皆様
▼この物語の主人公にあたるこの女の子(左側)。
トールという名前のドラゴンです。個人的には髪結ばずにストレートヘアにしたほうが良いんでないかと思うのですが…
ドラゴンと言われてもしっくりこないと思いますが、目元はなんか“それ”っぽいです。
この作品を見たことがない人は、「ドラゴンです」なんていう説明ですんなり理解できるのでしょうか?
ドラゴンのイメージは色々ありますが、僕はおっかないイメージが強いです。
大きいのになぜかミニマムな翼で飛び回れたり、どういう原理か分からんですが口から火をはいたりとラスボスの側近みたいなイメージでした。
この作品はそういうドラゴンのイメージはあくまで引継ぎつつも、ほのぼの路線を走ってみようとする新しいジャンルのように感じます。
まず、巨大なドラゴンから可愛い人間サイズに代わることが出来る点。
他にも便利な機能が満載です。イメージした衣装を勝手に装着したり、壊れたものを全て元通りにしたりという便利なスキルを持っています。
はっきり言ってメイドに必要なスキルを超えています。
他にも便利なスキルがあります。
アンパンマンのように自分の体の一部を分け与えるようなスキルも持ち合わせており、しかもアンパンマンみたいに体の一部が欠けてもパワーダウンしない体を持ち合わせています。ついでに言うとすぐ再生します。
しかしこの申し出は断りつづける小林さん…
歴代のサポーターキャラのスキルのいいとこどりをしたようなのがこの万能ドラゴンの女の子「トール」。
ちなみにコミュ力も高く、大型スーパーではなく商店街を使って買い物をするというのもポイントというか適応力が高いです。
この子が仕事で超多忙な小林さんのサポートをしていくような感じで話が進んでいきます。
仲間のドラゴンも個性的
物語が進むにつれ、トールだけでは話の筋が弱いのか、類は友を呼ぶというのだろうか、仲間のドラゴンもやってきます。
メインのドラゴン人間(?)は4匹で、それぞれ全く違った特徴をしていて個性豊かです。
2期の“S”では、「イルル」というドラゴンが加わり、さらに混沌としていきます。
トール入れてこの5匹ならにぎやかで面白い日常を見せてくれるのだろうなと感じながら見ていたのですが、根っこはドラゴン…。
どうしても一般人との持っている力に明確な差が出てしまいます。
それでもそんな人間を見下す(マウントをとる)ことなく、同じ目線で社会になじもうとする彼らの姿はまったく嫌味が無く、親近感を感じてしまいます。
「かわいい」のパイオニア
白黒テレビの時代から今まで、いろんなアニメ作品が世に排出されてきました。
その中で「かわいい」という定義はある程度固定されてきたように感じます。
しかし、この作品に出てくる「かわいい担当」のドラゴンさん・カンナはちょっとかわいいの表現方法が今までのセオリーと違います。
カンナは幼女なので、幼い表情でニッコリ笑ったりするしぐさが基本的に「かわいい」と予想すると思います。
でもこの子はそんなに笑わないです。
どちらかと言うと眠そうな声でぼそぼそしゃべる…。
こうやって書いたテキストだけだと、とても「かわいい」というイメージは想像できないですよね。
でもこの子が表現するしぐさが、視聴者に向けた新たな「かわいい」の表現方法を開拓してくれたのではないかと感じます。
恐らく、京都アニメーションのスタッフさん達が「ただ笑うだけでなくこういうしぐさも“かわいい”の表現技法としてはアリなんじゃないか?」みたいな話を入念にしながらキャラを作り上げていったのではないかと思います。
芸が細かいな~と思わせる部分があるので、(是非見返したりして探してみて下さい)日常という風景だけど見てくれている視聴者を楽しませようという工夫が随所に見られます。
思いやりのようなものを作り手から感じられます。
日常の中の「非日常」
日常を描いたアニメですが、やっぱりこの作品のアクセントは「ドラゴン」という非日常の部分。
火をはいたり、姿を消したり(認識阻害の術)とチート級のスキルを所々見せてくれるので、そんな非日常と日常のコントラストがコメディ部分になっています。
凄いスキルを持っている癖に、食べ物に驚くほど従順だったり、ドラゴンズスキルとまったく関係ない日本の会社に就職したりと、非日常が日常に溶け込むのがなんとなく面白いのです。
一話ごとのタイトルも凝ったものと言うより、視聴者に問いかけているような感じになってます。
ドラゴンさんたちから学べる事
この作品に出てくるドラゴンは、姿こそおっかないですが、人間社会に溶け込もうとしている姿がとにかく印象に残りました。
相手の気持ちも考えずに「自粛」とか価値観で人間を押さえつけるくらいなら、力を有しているドラゴンにだってできます。
でもドラゴン達は人間の文化や暮らしを尊重して、共存していこうと努力しています。
そうやって国民(※あえてこういう言い方をします)に寄り添いながら一緒に思いを共有していく生き方は、強者や権力者に見習ってもらいたい姿勢です。
(色んな意味で)強いからといって決して横暴な態度を取らず、相手のスタイルを尊重して溶け込もうとする、歩み寄る生き方が視聴者から支持を受けているのではないかと感じます。
だからアニメの二次商品(グッズなど)の売り上げが良いのは決して「かわいい」って部分だけではないと思います。
そんな親近感湧くけどドラゴンな彼らの新たな活躍を心待ちにしていたファンも大勢いると思います。
第2期が2021年の夏からスタートしました!
京都アニメーションの、視聴者を楽しませるための細かい仕掛けなども探しながら、楽しんで視聴されていると思います。
間違いなく今の日本を元気にしてくれる作品です!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
②頼まれごとや挨拶をする時「はい」や「うん」ではなく脱力感を込めた感じで「おぉお~」と言う。
③『ミニドラ』SP1 偽装工作※期間限定配信動画
カンナの偽装工作がバレた時の苦し紛れに出す声「あぁぁうぅぅ~」
※熱心なファンの方ならどのシーンか分かると思いますが…