感想『その着せ替え人形は恋をする』ニュータイプのヒロインがやってきた

ミスマッチでもない組み合わせ

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回紹介&レビューを書かせていただくのは『その着せ替え人形は恋をする』という作品。実写化にもなっている話題作です。

人気ゆえファンからはタイトルもうまく略されて“着せ恋”と言われています。

扉絵を見ればラブコメ系の話なんだなというのは分かるのですが、この作品の最大のテーマが“コスプレ

アニメなどの憧れのキャラになりきって写真を撮るなど、コスプレイヤーという世界を描いた作品であるという事。

自分はコスプレに関する知識が殆ど無かったので、まずは衣装作りなどの面で大変勉強になりました。

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
今、コスプレ業界というのはジャンルとしてかなり確立していて、楽しむプレイヤーさんも多いという事。

そしてメディアに出たり、コスプレを職業として生計を立てている『プロコスプレイヤー』さんなるツワモノがいるということも知りました。

知らなかった人に対しては新たな世界の開拓になったし、ファン含めコスプレの世界を知っている人からしたら“私たちの業界がこの作品を機にもっとニッチなものから沢山の人に認知されるようなジャンルになってほしい”という歓迎の声があったりと、既に放映が始まった段階でSNSでは賑わっていました。

コスプレ界のファン層がかなり拡散してくれたのが伺えます。

この手のジャンルを取り上げてくれた作品はまだそんなにはない筈ですから。

後に“2.5次元の誘惑”という作品がかなり話題になりましたが、この“着せ恋”の反響があったからこそというのもあると思います。

それくらい新規ファンと古参ファンを納得させてくれる素晴らしい出来栄えでした。

視聴する前の自分はというと、コスプレには無頓着だったもののSNS内の異様な盛り上がりを見ていて“えらいこのアニメ、話題になってるな~何だか変わったラブコメなんだと思うけど”くらいにしか思っていませんでした。

そんな放送開始から大反響だった“着せ恋”のレビューに是非お付き合いください。

新しいタイプのヒロイン像


今までいろんな作品が世に放たれてきました。

日本のアニメだけでも数えきれないくらい作品が生まれました。

そしてその作品の数だけ…というか数以上に生まれてきたヒロイン達。

作品のヒットの行方は登場するヒロインの出来次第によるといっても過言ではないと感じます。だって、その子が支持されたら、2次グッズなどで売り上げが指数関数的に増えていきます。

▼事実この子なんか相当のグッズやゲーム、パチンコ等あらゆるジャンルで稼ぎまくってます。10年以上前に登場しても未だに…

© 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会
ですので視聴者の記憶に鮮明に残るヒロインを生み出すことができれば、その作品は成功したようなものです。予算的な面でも次期作品の為の足掛かりになります。

そういうこともあり、これまでいろんな方々が知恵を振り絞り、様々なタイプのヒロインが生まれてきました。

昭和~平成~令和と支持をえるヒロイン像も少しづつ変わってきたのではないかと思います。

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
そんな中、今回これは新しいタイプかも…と思えたのが今作に登場するヒロイン・喜多川海夢(きたがわ まりん)さん。

高校1年生にしてはスタイルが良すぎるので、それはそれで大きな手持ち武器として運用(?)できるのですが、彼女の本当の魅力はそこではなく、別の所にあります。
※色気だけで人気が出来るくらいヒロインという世界は甘くありません。

それは自分の“大好き”をきちんと飾らない姿で伝えられるところ。

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
この作品の原作漫画が連載されている頃のコスプレ市場はどうだったかは分かりませんが、まだまだコスプレというジャンルは名が知られていない世界(ニッチな世界)だったのではないかと思います。

例え自分がアダルトゲームなどが好きでも、誰かに公表するのは恥ずかしいということで、自分の中だけでしまい込んでいるヒロインなども昔は居ました。

女の子がみんなの前で「私コスプレするのが大好き!」と言うのはまだ気が引けるかもしれません。

それでもこの喜多川さんは、自分の“好き”の気持ち隠すことなく伝えます。

その声・表情には曇りが無く、大切な想いを告白するようなまっすぐな姿で。

この初見での自らの趣味のカミングアウトシーンと、朗らかで飾らない姿が視聴者の心を一気に掴んだのではないでしょうか?

そして彼女はオタク気質な男性に希望の光を注ぎ込んでくれるような名言も残しています。

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
「自分の気持ちは、自分のために言わなきゃダメだよ!」
「ていうか好きなものに男とか女とかって、関係なくない?」

自分の“好き”を恥ずかしくてどうしても言えない時、女の子に言ってもらいたかったセリフをドーンと言ってくれます。

このコンボで一気にファンになった視聴者もいるのではないでしょうか?

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
そこからSNS内の動向ではありますが、あっという間に大人気のヒロインとなっていきました。

そしたら予想通りというか、原作漫画の売り上げも急激に伸びて、2次的なグッズもネットショップなどでどんどん目にするようになりました。

ヒロイン戦略として大成功を収めた作品と言っていいのではないでしょうか?

さしずめお相手の五条君は刺身のツマみたいな感じになってしまいましたが…

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会




©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
あれよあれよと大反響に押されて2期も決定したようですし、想像した通りになりました。

勿論コスプレというジャンルを扱ってくれたことによるファンからの後押しもあったと思います。

でも喜多川さんは“着せ恋”のアニメをきっかけにかなり世間に認知される存在となりました。

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
コスプレ界からのニューヒロイン誕生です。

好きを後押ししてくれる言葉達

ヒロインの喜多川さんの支持が高かったのが一番の要因だと推測していますが、放送が終わるにつれてロスを悲しむファンのセリフが多く見られました。

それだけこの作品を気に入った人が多かったんだろうなと…

そして喜多川さんを演じる声優さんも、彼女の魅力を十二分に伝えるためイメージ合わせを入念にしたんだろうなぁというのを感じます。

あと、この作品は女性ファンも多いのではないかと感じています。統計データを見たわけではないのですが、怖がらずありのままで飾らずに“好き”を貪欲に追求している喜多川さんと自分を重ねながら、自分の“好き”に自信を持てた人も多いのではないかと予想しています。

©福田晋一/SQUARE ENIX・アニメ「着せ恋」製作委員会
喜多川さんの発するセリフがとにかくパワーワードばかりなんです。

言葉だけ見ても彼女の熱い想いを感じられるくらい。

その言葉を少しだけ紹介します。

➡お勧めのアニメを勧める時
「マジ面白いから、一瞬で見れちゃうよ。126話しか無いから」

➡お気に入りのキャラを聞かれた時
「あたし一番好きなキャラ50人はいるから!」

「あたし、基本趣味だったり、なんでもいいんだけど……好きなことして楽しんでる人めっちゃ好き。なんかキラキラしてるじゃん!」

飾らないで本心を真っすぐ伝える子は魅力的なんだなとアニメを通して客観的に感じます。

コスプレイベントに参加している時、表情を輝かせながら発した喜多川さんのセリフ
「マジで“コス(コスプレ)”の全部が楽しすぎる!今、最高に楽しい!」

このセリフの“コス”の部分をあなたの好きなものに当てはめてみて下さい。そのうえでこのセリフを思いっきり言えたら…素敵だなって感じませんか?

どう感じるかはさておき、今回作品と共にブレイクした喜多川さん。

物語を作ったりするクリエイターからしたら魅力的なヒロイン作りとしての教材となりそうですね。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。