感想『アキバ冥途戦争』毎回想像を軽く越えてくる唯一無二の作品

メイドが冥途を行ったり来たり

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回レビューでお伝えしたい作品は『アキバ冥途戦争』というメイドの任侠モノという何とも不可思議で訳の分からない作品。

©「アキバ冥途戦争」製作委員会
正直この作品が酷評を受けても不思議だと思わないし、人に勧めようとも思わないのですが、作品のインパクトという点をフォーカスすれば他の作品の追随を許さないくらいの勢いがあります。

すさまじい展開は万人受けするものではないかもしれません。

狂気の中に新人としてメイドの世界へ飛び込んだ女の子の運命を描いていますが、まぁ先が読めない。

でも面白い部分もあります。と思えば途端にシリアスになったりとミサイルみたいに次々と衝撃展開を打ち込んでくる作品。

…最高です。

『アキバ冥途戦争♪“メイド大回転”』
このオープングからして何か禍禍しさを感じていたのですが、1話目からフルスロットルという感じでした。

気になった片には迷わず視聴してほしいので、レビューを書いていきます。





息をするようにメイドが死んでいくのだが…

メイド喫茶というのはご存じですか?

自分も行った事は無いのですが、10年くらい前に秋葉原を中心に流行ったものです。

そんな秋葉原に位置するメイド喫茶から物語はスタートします。

©「アキバ冥途戦争」製作委員会
まずは主人公でヒロインのなごみさん〔17歳〕

“カワイイ”メイドを夢見てメイドカフェ「とんとことん」へやってきたところからスタート。

同じタイミングでメイドの面接に来たのは嵐子さん〔35歳〕美人ですが目つきが鋭くて怖い。

この辺でもうなんかおかしいです。

1話目ではまずこの世紀末の時代のメイドカフェとその背景、お店の仲間が描かれます。

だいたい1話というのは、作品のチュートリアルに使われることが多いのですがさっそく後半他のメイドカフェに乗り込みます。

そして嵐子さんと他店のいざこざから銃撃戦へと発展…

街中に無数に横たわるメイドたちの亡骸……

その余韻を残しながらエンディング曲が流れます。

▼この曲です!是非聴いてみて下さい。

アキバ冥途戦争『冥途の子守唄』

なんか1話目からえらいもん見てもうたなという感覚が頭を支配してしまいました。

萌えと暴力…滅茶苦茶だ… 

超武闘派のメイドさんの生死をかけた毎日。

勤務地はメイドカフェなのに滅茶苦茶です。

©「アキバ冥途戦争」製作委員会
主人公のなごみさんは始めの方こそこの狂った世界に脱出を考えていたのですが、うまいこと巻き込まれていきます。

部隊はカフェというよりカジノや地下核搭乗などのヤバイところばかり。

先が見えないのでそのワクワクは感じますが、なごみさんはこの先大丈夫なんだろうかと気になります。

途中メイド教育のスペシャリストなる人間が派遣されるのですが、またその教育の仕方がとんでもない。

…というか“ケダモノランド”って何?

©「アキバ冥途戦争」製作委員会
命令に対しては“オッケーだもの”と声をそろえて返答する決まりなのですが、これが回数を重ねていくうちに笑いのツボに到達してしまいました。

10秒前にメイドが一人死んでるのに笑いが込み上げてきます。自分の感覚が狂ってきてるのを実感します。

人死ぬのがノルマみたいなアニメなのかこれは?!

そして引き続き、なごみさんの感覚も心配になります。

ビンタくらいなら可愛いもので、ビルの屋上から放り投げられたり、脳天にバットで叩かれたりと気合で乗り切れる命令ではないのです。

それでも命がけで敢行するなごみさん達。

だんだん感覚がマトモでなくなってくる過程が分かります。

©「アキバ冥途戦争」製作委員会
後の方で“野球回”があるのですが、この時くらいで完全になごみさんの感覚が麻痺というかあっちのほうにいってしまったんだなと感じられるようなシーンがあります。

そんな超を飛び越えたようなカオス展開が続く中、お店の店長はしれっと逃げてます。

そうです。もう一つこの作品のポイントであるのが……店長がびっくりするくらいクズなこと

そんな店長もボスから自分の信頼を勝ち取るモロ保身のために誠意を見せる為に全裸になるのですが……

…あまりにも貧相な体で「これ誰得やねん!」と笑いが込み上げてきました。

こんなに笑えるヌードは後にも先にもこの店長しかいないです。

まぁとにかくクズでした。

店長の言葉を抜粋します。

「予算を使わず頭を使え。」
「夢があるんです!ハワイのコテージで、イケメンを囲って、働かずに暮らしたいんです!だから、チャンスを下さい!」

特にクズなのがこれ。
「ひと山当てるのも、地道な一歩から」
このクソ店長の元、なんで皆仕事辞めないんだ…

信じられないのですが、逃げ出すというより逆に順応してたくましくなっていきます。地獄のような空気感も慣れればどうってことないのか?

皆メイドとしての仕事は普通にこなすけど、どこか狂ってる。

途中加入のメイドさんはなんと外国人。それでも無理やりカタコトの日本語を駆使して順応していきます。日本語の棒読み感がすごくてしゃべるだけでめっちゃ面白い。

こうなったら話の終着点が気になります。

危険なパロディですけどそのうち「とんとことん」陣営にも死人が出ます。

大丈夫かこれ…という感じで見るようになりました。





広島弁が死ぬほどカッコいい!

ヤバいメイドはどんどん登場します。

全員バリ立ちのキャラですが、途中“これは!”という人物の登場で一気にその人に視線が釘付けになりました。

ボスキャラではないのですが、まるでラスボスの雰囲気を醸し出す人物。

愛美さんという「赤い超新星」の二つ名で呼ばれる武闘派メイド。

余りにもカッコよくて問答無用で惚れてしまいます。

何がカッコいいかというと…“威圧感抜群の広島弁”

ゴリゴリの広島弁がこんなにカッコイイなんて知らなかった。

演じている声優さんの技量もあると思いますが、広島弁でまくしたてる様は何度でもリピートして聴きたいくらいです。

とにかく実際に聞いたら即惚れそうなくらいカッコいいセリフばかりなので、これは是非視聴してみて下さい。

度肝を抜かされた作品

着地点も分からず地獄のような世界が繰り広げられる日常。

でも人間は慣れの生き物です。

終盤に進むにつれ、なごみさんのネジが切れてたくましくなっていきます。その様を見て人間の適応力の凄さを感じます。

“昭和の任侠映画みたい”というコメントも散見されましたが、任侠モノ自体よく知らなかった自分は衝撃を受けました。女だらけの世界とはいえここにいたら1分も生きていないような感覚がします。

店長はじめメンバー全員キモが座り過ぎています。

でもどんなに強靭な精神を持ったとしても凶弾にはあっけなく倒れてしまいます。

人の人生って何だろう…

この作品はそんな事をしみじみ考える暇すら与えてくれませんでした。

総評というか、こんなにインパクトの強い作品はなかなか出てこないのではないかと思います。野球ですら狂気にまみれてるのでメイド喫茶が平和なわけありません。

自分はもう感覚がマヒしてしまいましたが、息をするように死んでいくメイド達を見ながら何を皆さんは何を思うのでしょうか?

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。