感想『僕らが選ぶ未来』自然を重んじる心は世界共通

森から追い出された妖精達の冒険

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回レビューを書かせていただくのは『僕らが選ぶ未来』

制作会社が日本ではなく『北京寒木春華動画技術有限公司』という表記なので、中国で生まれたアニメ作品だというのが分かります。

作品を見てすぐに感じたのが、壮大な自然風景。そしてそこをスピード感というか躍動感溢れるくらい動き回るキャラ達。

自然を重んじる優しさと現代への閉塞感を同時に感じる作画に次第に引き込まれました。

アクションシーンが一つの見所です。とにかくせわしなくヌルヌル動く。ディズニーアニメのようです。
▼「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)ぼくが選ぶ未来」日本語吹替版 本編特別映像

自然から都会へ。それだけでも壮大な物語

主人公はシャオヘイという小さな男の子。始めは黒猫みたいな姿してるんですけどなんでしょうね。

サイトを見れば“妖精”という設定のようですが。

ムゲンという敵なのか味方なのかちょっと怪しいけど危害は加えない感じの大人と共に都会へ疎開するような感じで移り住みます。

疎開…というのもシャオヘイの故郷は森の中。ある時大規模開拓の為突然住処を追われます。

©Beijing HMCH Anime Co.,Ltd
そんな理不尽な状況から生き延びてきた森の妖精シャオヘイ

都会は住みづらく、適合していくためにも新たな桃源郷を目指して冒険が始まります。

それが『人と妖精が共存している場所』

そこへたどり着くのがとりあえずこの物語のゴールになります。

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冒険の最中、本当に景色が印象的で、作画班の方がかなり力をいれて描いてくれたのが想像できます。

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ひと昔前の中国というか、広大な大地、壮大な自然を愛していた方々がアニメという媒体に形として残そうとしたのではないかと感じました。
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それくらいこの世界を彩る風景はこの作品の魅力です。

今の北京や上海は、ビルが乱立し何とも自己主張の強い感のする土地になってしまいました。しかし中国で暮らす方々の何割かは昔から続く自然豊かな場所を愛しているんだなと感じます。

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ジブリの映画が中国でも支持されたように、自然を重んじる心は世界共通なんだなと。

逆にアクションシーンは派手さと爽快感こそあるのですが、急に交わったかと思うえば無言のままドンドン進んでいくような感じで、日本独特なのかどうかは分かりませんが、静と動の“間”というのが無かった。

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だからいきなりシーンが戦闘になったりして、見ている方からしたら気持ちの切り替えが難しかったです。

視聴者側に向けてもう少し描写の移り変わりまでに“咀嚼する時間”を取って欲しかったです。

アニメだけでなく、戦いの場に“間”は大事だなと感じました。





子どもでも考えた結論には尊重

黒猫の妖精シャオヘイ君は案内人のムゲンやその他敵対する人物の間で心情を揺らしながら子どもながらに成長していきます。

まだ小さい妖精だった頃、いきなり住処を奪われたのです。

そんな状態だと疑心暗鬼になっても無理はありません。

同じ妖精との出会いもあり、心を寄せる相手が見つかるのつかの間。

捕らえられたりしてどんどん環境が変わっていきます。そんな激動の環境下で子どもながらに誰を信じていけば良いか分からない…そんな心理状態でも必死に善悪のレベルからではありますが自分の進む未来を選択しようとします。

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会話シーンが少な目だったので、具体的な心情はまだ読み取り切れない部分はあります。

それでも子どもながらにも目の前の大人(大人のような存在)の背中を見ながら必死に模索していく様は余りセリフが無かったとはいえ感じました。

揺れ動く心情が上手く描けています。

この子がどんな大人になっていくのかという楽しみはありますが、どんな環境下でも必死に生きようとしている…悔いの無い選択をしようとしている所は是非視聴してみていただきたいです。

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人間は選択が出来る生き物です。

だからこそ、現状をよく見て、大人達の姿をよく見て本質を見極める目を育てるのは大事です。

中国の大自然が破壊されていく中で妖精をカメラ目線にした現地住民は何を感じたのか。その記憶を日本人にも知ってもらえたらと思いました。





今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。