感想『天穂のサクナヒメ』構成の難しさを感じた作品

ヒットコンテンツのアニメ化なのだが

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
このタイトルは以前より知っていました。

インディーズのゲームで注目されていたというのをYoutubeのゲームレビューで目にしたのを覚えています。

とにかくストーリー、キャラ、世界観、やり込み度全ての項目において高い評価を得ていた『天穂のサクナヒメ』のゲーム。

インディーズゲームでは異例の大ヒットだったということで、その後Steamなどへ移植されて大勢のユーザーに楽しまれています。

物語も魅力があり、これはアニメになっても不思議ではないだろうというファンの後押しもあったのか、高い期待値の中アニメ化されました。

ゲーマーからの鳴り物入りという感じです。

オープニング曲には“いきものがかり”を。エンディング曲もLittle Glee Monsterさん提供の和テイストの素敵な曲で、作画は勿論作品を彩る“陣営”にも力を入れています。

自分はゲームの方はプレイしていませんが、米作りの奥深さや鬼退治のアクションや、魅力的な世界観などがアニメになればきっと高評価を得て、この和風テイストが海外にも認知されるだろうなぁと感じていました…がなかなかSNSからの評価は芳しくなかったようです。

自視聴していて、この1クール(13話)という中に魅力をうまく詰め込むことの難しさを感じたのでレビューとしてお伝えしたいと思います。

良コンテンツをアニメにすれば必ずしも大ヒットするわけではないという難しい面です。





魅力が多すぎるというのも問題

個人的な事ですいませんが、自分は2019年からアニメを見始めました。

その中で、大体のルールでアニメは1クール(3カ月間)ずつという枠で作られています。

大作でも長くて2クール(6か月間)

この作品『天穂のサクナヒメ』の世界は魅力ある要素が多いので、おそらく2クール(6か月)かけてじっくり描いていくのだろうなと予想していたのですが、フタを開けてみれば1クール(3カ月間)で起承転結に持って行く流れでした。

そこで視聴前に少し考えてしまいます。

この作品の魅力はいくつかあります。

まず“米作り”そして“神々が住む「頂の世」人々が住む「麓の世」という世界観と住人達”“サクナ姫をはじめとしたキャラクター達”そして“主人公であるサクナ姫の成長”

©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
サクナ姫は初期段階では非常にグータラしていて、人間味があると言えばそれでいいのですがとても一から米作りをして生きていくような人間ではありませんでした。
©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
でも亡き父や母の想いを米作りを通して触れていくことにより少しづつたくましくなります。

そんなグータラ姫の状態からの成長模様を描いていくだけでも結構な“尺”がいるのですが、同じくらいこの作品の魅力として伝えたい“稲作”の部分もきちんと伝えないと姫の成長過程とリンクしません。

稲作は殆どのメンバーが素人という状態。

そこから失敗や試行錯誤を重ねて自分達でお米を作るという過程は丁寧に描いてほしい。
何より昔の日本式稲作文化を海外に発信する良い機会にもなるし…

ただ、そうなると13話という構成の中でどこまで稲作にフォーカスできるのだろうか…

10話くらいからもうラスボスに向けて姫達は意識して動いていかないといけないし…

©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
でも初めのメンバー紹介で3話分くらいは使うだろう…鬼たちの住む世界観も伝えないといけないし、姫の戦闘スタイルなんかも独特だし…サクナ姫が元居た宮殿での友達とのエピソードも必要だし…

アニメを見る前の段階から“これ13話以内に納まりきるんだろうか”という感じがしていました。

そして視聴していく中でそれはやっぱり感じました。

『天穂のサクナヒメ』のゲームをプレイしている方ならすんなりこの世界観に入っていけます。でも初見の人間にとってはやや説明不足のように感じたし、自分が一番期待していた“皆で協力してのお米作り”の部分があまりにもあっさり終わってしまったので残念でした。

©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
皆で収穫したコメを食べてみるのですが、いまいち感動が伝わらない…
©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
他にも海外にこの和のテイストがどこまで伝わったのかというのも気になっていましたが、海外からの視聴数はあまり多くなかったようです。
©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
13話まで見終わってからすぐに感じた感想が“魅力的なストーリーとキャラが揃ってるのに難しいな~アニメ化するっていう作業”というものでした。

何度も書いていますが、この作品魅力はいっぱいあります。

でもその全てを13話内に詰め込もうとすれば、やや説明不足で分かりにくい所が出てきたり端折らないといけない所が出てきます。結果窮屈な感じがします。

ゲームユーザーには分かる設定も初見の人間には置いてきぼりにされるような感覚を得るでしょう。

やや変則的な放送回数ですが、15~20話くらいにして魅力的な部分はもっと掘り下げてほしかったです。

最後の難敵との戦いもやや駆け足のように感じました。

この辺は、アニメになる前から楽しみにしていたファンやゲームをプレイ済みの方はどう感じたのでしょうか。

©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会




唯一無二の姫となれるか!?

アニメの続編の製作が決定しました。

個人的な想いですが、この作品は海外の方にも見てほしい作品です。

古き良き日本の魅力が散りばめられていて、歴史の教科書で昔の暮らしぶりを学んだりするよりよっぽど分かりやすいです。

©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
日本は昔こんなスタイルでお米作りに勤しみつつ生活をしていたというのを分かりやすく伝える資料として優秀だと感じるので続編では稲作の魅力なども前作よりも多めに織り込んでほしいなと感じます。
©えーでるわいす/「天穂のサクナヒメ」製作委員会
また、主人公でもあり姫である“サクナ様”彼女がなかなか魅力ある人物で唯一無二の姫キャラとなれるポテンシャルを持っているので、その魅力と成長過程ももう少し緩やかに描いていただけたらなというところです。

初見だと分かりにくい部分もあったけど、海外視聴者も意識してさらに良い作品を手掛けてほしいですね。





今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。