感想『ATRI -My Dear Moments-』最後まで感動させてほしかった…

涙腺がやられたという声多数

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回レビューをお伝えするのは『ATRI -My Dear Moments-』(アトリ マイ ディア モーメンツ)という作品。

ノベル形式のゲームからアニメ化となりました。

ノベルゲームの段階で沢山の称賛コメントがあり、作品の評価が非常に高かったのを覚えています。

具体的なコメントはというと…(引用という程でもないですが)
“もう号泣しっぱなしでした”
“ATRIの過去が分かった瞬間、涙が止まらなくなった”
“物語が進むほど胸が熱くなって時間を忘れて見入ってました”
こんな感じでとにかく感動のあまり“泣いた”というコメントが多数。

これはかなり感動的な近未来のお話なんだなという予備知識を得た上で、視聴をスタートしました。

©ATRI ANIME PROJECT
ちなみにこのタイトルの“ATRI”というのはヒロインの名前でアンドロイドという設定です。設定がやや古い感じを受けたのは自分だけではないかもしれません。かなり昔ですが1997年あたりまではアニメを見ていましたが、こんな感じのアンドロイドっぽい子が居たようないなかったような…不思議な感覚になりました。
とにかく訳アリ男性主人公とヒロインの“ATRI”との出会いから物語は進んでいきます。

“ATRI”はアンドロイド

序盤は主人公を取り巻く人間模様に、プラスワンでアンドロイドの女の子・ATRIが加わった感じで丁寧に描かれています。

だからなのか、皆との絆が少しづつ固まっていく様子が分かりやすくてこのメンバーの雰囲気にすんなり“入って”いけました。

そしてATRIもアンドロイドながらもメンバーに溶け込んでいくことが不自然に感じませんでした。

序盤の掴みというか下地はとても分かりやすく、ゲームをプレイしていない視聴者にも物語の世界観を少しづつ感じて楽しんでもらいたいという配慮を感じます。

ATRIも超優秀なアンドロイドというわけでなく少々ポンコツ仕様なところがあり、それが視聴者や登場人物との距離を近づけてくれます。

©ATRI ANIME PROJECT
この表現の仕方が何となく古さを感じる…
突然出会った女の子がアンドロイドとか言われても初めはすんなり受け入れる事もできません。そこを円滑にした“ポンコツ”という設定は良かった。

でもこの作品の舞台は謎が多い世界。

なにせ大陸の大部分が水没している世界です。

地下に潜って地下資源を回収して生計を繋ぐというなんとも複雑な未来を描いています。それでも明るいタッチの作画やATRIのおかげで暗い感じにはなりませんでしたが…





学校が半分水没しているのは“これ…温暖化が進んだ未来に実際に起こる景色なんだろうか…”というふうに考えさせられてしまいます。人間はどんな状況になっても知恵と技術を駆使して生き延びていくものではありますが、こういう未来図にはたどり着かないでほしいですね。
©ATRI ANIME PROJECT
海を中心に景色の作画が奇麗なのですが、原画スタッフさん達はどんな気持ちでこの世界を描いてくれたのか気になります。今人口はどれくらいになってるのだろうか…沈んだっていう街は主要都市だとどこになるんだろうか…など考えだしたらややナーバスになります。

でもこの部分が実はラストの伏線と繋がっていたりします。

物語は突然に…

“アンドロイド”と“人間”は違うのか?など恋路が絡むと必ず沸き上がるテーマ。

©ATRI ANIME PROJECT
この作品もATRIに対して恋心を抱いた頃からこの問題にぶち当たります。今までのアニメだと“そこ”を解決させてからお互い分かり合える存在になり、エンディングへーという流れです。

そんな流れのストーリーを過去に見たような感覚があります。

しかしそこで終わらないのが令和式アンドロイド

©ATRI ANIME PROJECT
ATRI出生の秘密などが明かされていき、一気に物語が急展開で流れていきます。

ここの展開がやたら早いのです。

©ATRI ANIME PROJECT
一通り見ただけでは理解が追いつかないくらい…

序盤のゆったりした海に囲まれた港町で、仲間達と交流を深めていくリズムから急にアップテンポになったイメージで、ラストシーンは勿論感動的なものではあるのですが、そこに至るまでにもう少し前置きがほしいというか…

©ATRI ANIME PROJECT
視聴者さん達がラストの主人公達の心情を想像したりする間もなく…描かれた物語を咀嚼している途中で足早に終わりへ持っていったというイメージでした。

物語には“尺”というものがあります。

©ATRI ANIME PROJECT
でも最後のエピソードは広告をカットするなりして30分フルくらいかけてじっくり描いてほしかったところです。

物語の最期に繋がる部分…選択をゆっくりを噛みしめるシーンは急がずに“間”を使ってほしかった。

©ATRI ANIME PROJECT
ゲームでは“泣いた”というレビューが多かったように、この作品は感情をゆさぶる物語なんですから。

ノベル式のゲームだとプレイヤーのペースで進められます。でもアニメだと1話24分という制約の中で構成しないといけません。

ここがゲームとアニメの違い…難しい所ですね。





今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。