感想『チェルノブイリ1986』世界を救う英雄は身近にいる

事故の拡大を防ぐために尽力した者たち

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

現在映画の脚本を制作していますが、やっぱりドキュメンタリーから感じるエネルギーは強いものがあります。

今回は歴史的な学びの意味も含めてこの映画を閲覧。『チェルノブイリ1986』

レビュー記事を書かせていただきます。

物語自体は史実を題材としていますが、登場人物などフィクションを入れた人間ドラマとなっています。

作品が公開された2022年には批評家から様々な賛否の声が色々出たようですが、制作会社より世界中の多くの人にこの出来事を風化させずに伝えたいという思いは感じました。

世界の歴史から見ても大きく影響を与えるほど重要な出来事だった1986年のチェルノブイリ原発事故。

自分はこの事件がきっかけでソビエトが崩壊したと学んでいます。隠ぺいの反動でここまで問題と混乱が広がっていったと。

なんだか今の日本(2025年度)を見てて遠い国の出来事のように思えません。

まずは映画予告編をどうぞ。

映画『チェルノブイリ1986』予告編





史実を題材としたフィクション

平和な日常から“その時”…チェルノブイリ原子力発電所の爆発より主人公達のとりまく風景が一変します。

爆発事故が過去に例を見ないほどの重大事故であることが分かり、病院は大混乱。

市民にはまだ過去に例を見ないほどの重大事故ということが明かされず、意味も分からないまま避難を余儀なくされる状況。

混乱と不安の街へと変わります。

この時、飼っていたペット達の描写がとても印象に残りました。動物は連れていけないということで動物達はどうなったのか…余韻が残りましたし気になります。

事故対策委員会の説明より、この先の状況によっては放射性物質がヨーロッパ全域に飛び散る危険性があると知らされる主人公。

危険性の高い作業ではあるが爆発を防ぐために尽力してほしいと頼まれます。

あなたならどういう判断を下しますか?

発電所内に入るので当然放射能をモロに浴びます。

まず被爆するでしょう。命に係わるミッションです。

そんな指令を専門分野だからということで協力してくれと言われても普通は恐怖感が勝つでしょう。

危険性が極めて高く、死にに行くようなものです。

主人公も例外なく拒否します。

誰だって命は大事です。

それに命を懸けるほどの大切な事ならまだしも、誰かの不注意で起きた事故です。なんで命をかけて尻ぬぐいせにゃならんのだと感じますよね。

しかし後ろ髪を引かれる思いは拭えません。

“何のために”というものがなければそのまま次の勤務先のキエフなり遠方に逃亡して物語の中での事態は最悪な方向に展開されるでしょう。

そうはならなかったのがこの町で暮らす1消防士である主人公の決断だったのです。

ヒーローたちの生きた証

どんな事故にも影で奮闘した人間は必ず居ます。

消火活動や病院での対応、疎開の手配など目立たない所で必死に活動する大人達。

そんな街に暮らす大人達にスポットを当て、チェルノブイリからの脱出の為に命がけで奔走する姿が描かれますが、彼らは決して町の重役やお偉いさんではないのです。

街に生きる市民の1人です。

身近にヒーローはいるものです。

所々で事故に対しての社会の動きなどの描写もありますが、この映画のメインではそんなヒーローの生きざまを描いています。

その方が見ている一人一人に身近に感じてもらえると思ったのではないでしょうか?

「あなたはどう生きてどう選択する?」

この事故を何か別の世界での出来事として捉えるのではなく、自分達の身近な所で起こった出来事として捉えてみてほしい…そして事故が起こった時、あなたならどうする?

そんな訴えも感じます。

主人公の同僚は、事故の後原子力発電所で被爆しながらも命がけで消防の仕事を全うしました。

そんな自分達の暮らす街を守ろうとする彼らの姿も印象的に残ります。

ヒーローの生きた証をまさに描いています。

いま日本で起こっている様々な問題を、自分事として捉えられないなら、こういった映画を通して感じてもらうのも良いかと思います。

自分達の住む治安を守るのは金を払った誰かではない。

住んでいる皆の心意気です。

▼チェルノブイリ立入禁止区域は現在どのような状態なのか?





この映画作品の製作国はロシアではありますが、収益の一部はロシア軍事侵攻の被害を受けたウクライナへの人道支援活動のために寄付しているとのこと。

未だに続くウクライナ侵攻も気になりますね。ウクライナ側に納得する形でという条件ではありますが、まずは一刻も早い終戦を願ってやみません。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。