感想『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』ギアの上げ方がすごい

©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS

決戦は劇場版で!

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を見てきたのでシェアさせていただきます。

バレーが好きな人と見たのですが、リアル寄りだったので夢中になって見ていました。

自分はというと、音楽の入れ方や魅せ方とかそちらの方にばかり目が行っていたように感じます。

まるで会場にいるような感覚、試合に参加しているのではないかと感じるくらいの臨場感、効果音やBGMを入れるタイミングなどスタートから一気に見るモノのギアを挙げる為の仕掛けを感じられ“これは製作スタッフの皆さん力を入れてるな~”と感じずにいられませんでした。

そんな熱い思いを感じ取ったレビューをどうぞ。

いきなりトップギア

この劇場版は上映時間としてはそんなに長くはないです。

しかしその時間を感じさせないくらいの仕掛けを感じました。

ネタバレをしない程度に紹介すると、この劇場版では主に『烏野高校対音駒高校』の通称“ゴミ捨て場の決戦”がフルで描かれています。

©「ハイキュー‼」製作委員会 ©古舘春一/集英社

まず試合が開始されるといきなりの熱い攻防となるのですが、ここでコート上の全員の魅力を最大限に出すためにアングルやキャラの魅せ方は勿論、音楽や効果音など、まるでクライマックスのような雰囲気をぶち込みます。

これでまず“さぁ試合が始まったな~お互い1セットずつ取り合ってからが勝負所かな~”と少し離れた感覚で見始めた視聴者側のテンションを一気に引き寄せます。

まるで製作陣の“はじめっから作画も演出もトップギアで行く!コートで戦っているメンバー同様この作品に悔いは残さねぇ”とばかりの意気込みを感じます。

試合開始すぐにその空間に吸い込まれました。





いくらか試合が動いて見る側が“ふぅ”と一息つく頃を見計らって、観客席の応援シーンが映し出されたりして、制作陣の意向を想像するとニヤッとしてしまいます。

“こっちが映画を見るペース・リズムも考えながら間を作ってやがる。凄いなこの映画…”とストーリーとは関係ない部分でも感心しきりでした。

もはや人間工学に基づいてアニメ作ってるんではないかと思うくらい、見る側の反応や間を考えた作りになっています。

こんな気持ちをうまく揺れ動かしながら表現している作品何て、『ブルージャイアント』以来です。

スポーツアニメあるあるの“途中で入る各キャラの回想シーン”みたいなのは勿論挟まれますが、その構成バランスも実に考え抜かれた入れ方をしていて、スポーツアニメの集大成みたいな造りになっています。

劇場版のうえに、ここまで多くのファンが期待していただけあって、その期待を裏切らないようなものに仕上がっています。

“アングル・魅せ方”という点では今まで見た事のあるものとは一線を画す(いっせんをかくす)ような魅せ方が合ったので、そこは是非視聴してみていただきたいです。

表現方法がどんどん豊かになり、この先のアニメーションでの表現方法はどんなになっていくのだろうかというワクワクが止まりません。

『ブルーロック』というサッカーアニメでも見られましたが、“目”や“耳”そして鼓動など集中力を極限まで高めた人間の感覚をかなりリアルに描くような描写が増えてきました。

描写の深みのレベルがこの映画で一段階上がったように感じます。

製作チームも大変だけど、日本のアニメのレベルは突出して高いと感じます。

人手不足で衰退とは言わず、アンタッチャブルな存在を目指してほしいです。

試合間近で見ているような感覚と時間

見せ場が多く、本当にアニメ表現のレベルの高さを感じた今作。

スポーツ漫画の金字塔に相応しい制作チームだったと感じます。

ハイキューの物語はまだ続きますので、この制作チームの変わらぬ情熱と共にどんな形でまた皆さんの前に作品がお披露目されるのか気になります。

今回劇場版という事で成程と思ったことがあります。

それはコンセプト云々の説明できるだけ簡潔にした点。

主人公日向君率いる烏野高校と音駒高校はそれぞれ戦っていく戦略もコンセプトも違います。

チームカラーも違います。

アニメ版ではその細かい戦略を時間を使って深堀りしていました。具体的な戦略を描くことでバレー玄人の人間も作品を楽しめたのですが、今回は劇場版。

あまり説明セリフが長いと“間”が悪くなってしまう。

そこでチーム戦略を“血液”だったり比喩的な表現にある程度抑えて、試合の臨場感の方にフォーカスさせていました。

おそらくこれからバレーを始めようとしている小学生や中学生を意識してこういうバランスになったのではないかと感じます。

まずは、バレーって楽しいもんだってコト。そりゃあ頭を使わないといけないスポーツだけど、まずはしバレーの魅力を前面に出して、ゆくゆくはコートに立ってもらってボールに触ってもらいたい…

止まらない少子化が叫ばれていますが、それでもバレー人口…増やしていかないとですもんね。





他にも印象に残ったのがキャッチコピー

“もう一回がない試合”

この言葉だけでワクワク感がします。

色んな点で最高のパーツが揃った劇場版ハイキュー。

待ち望んでいたファンからの反響も大きく、次回作も劇場版として公開されるのが決定しました。

『劇場版ハイキュー!! VS 小さな巨人』日向対星海の“小さな巨人”対決も今回の製作チームで描かれる事でしょう。楽しみですね。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。