レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。
周作(twitter:DarvishShu)です。
今回レビューさせていただく作品は、よくこんな設定を思いつくもんだと感心した作品。クッソ面白くて自分の中ではイチオシです。
その名も『異世界おじさん』
今までにない異世界モノに感動
自分は2019年ごろからちょくちょくアニメ作品を見るようになったので、まだそんなに数を見ていませんが「異世界モノ」「異世界転生モノ」というジャンルがいつの間にか確立され、そのジャンルが読者の支持を得てどんどん広がっているというのはYAHOOニュースなどで知っていました。
異世界に転生したら…違うキャラになって(人間だけでなくスライムみたいな魔物でも)そこから人生を切り開いていくというものが増えていく中で、今度は命を宿ったものではない無機物(剣とか自動販売機など)に転生して、だれかに使ってもらいながら生きていくものがあったり…
自分の狭い視野で見ていたら、もう異世界モノは出し尽くされているのではないかというくらい数が出ているように感じます。
視聴者の支持を得て、大衆にとっつきやすいジャンルになってきたのは良かったけど、思いつく限りいろんな異世界モノが世に出過ぎて、文字通り“飽和状態”になっているのではないかと感じていました。
だって、異世界にあったらいいな…と思っているものも、投稿小説などを検索したら既に話がUPされていて「なんでもござれ」の状態です。異世界……食堂や医療、介護、遊園地、居酒屋にはじまりキャバクラや風俗、著名人まで。
今の時代、自分で現実に切り開いていくのは難しいけど、異世界に行けばこんなことできたらいいなという作品がこの4~5年間で爆発的に増えたような気がします。
『異世界枠』ということで、このジャンルの作品も沢山アニメ化されてきました。
だから異世界モノは、これからはもうそんなに爆発的なヒットはないかもしれないと感じるようになっていました。そう感じはじめた頃に鳴り物入りで出てきたのがこの『異世界おじさん』という作品。
“鳴り物入り”と書きましたが、放映前から前評判が大変良かったので、「また異世界モノか~」と思いながらも気になっていました。
主人公はおじさんというのが既に異例です。主人公設定で一番メジャーである若い男性や女性ではないです。
そして異世界には既に行ってきました経歴を持っている設定。
異世界で魔法が使えるようになったので、その魔法を駆使したモニターに異世界での体験談を上映するというもの。その魔法モニターを主人公の甥であるたかふみ君、そして女友達の藤宮さんが見ながらツッコミを入れていくという構図になっています。
おじさんの過去の異世界でのドキュメンタリーを視聴者と一緒に見る二人。(全員メガネ)
この説明だけを聞いても、面白さがピンと来ないかもしれませんが、主人公であるおじさんのゲーマーだった記憶と異世界が妙にマッチして滅茶苦茶面白いのです。
視聴しながら、「よくこんな魅せ方や構図を思いつくな~」と感心しきりでした。
異世界モノの映像を見ながらツッコミいれたり感動したりする3人を見る自分たち視聴者という構図…
異世界モノ一つとっても見せ方ひとつでこんなに面白くなるんだなぁと…ここら辺は是非直接作品を見てもらいたいものです。
ヒロインにはわかりやすい弱点を
個人的には、この年のアニメ作品では覇権を取るくらいの面白さを誇っていました。
しかしコロナの影響などで、完成が追い付かず、放送が大幅に伸びたりして話と話の間が長くなってしまったという世の中の事情に流されてしまった時期もあります。
自分も昔、実は少しサターンユーザーだったというのもあるので、ひいき目にこの作品を推したいのですが、セガサターンを知らなかったとしても、この作品は十分に楽しめるものでした。
異世界に行けば、お約束のようにかわいいヒロインが登場するのはこの作品も例外に漏れずというところなのですが、その女性キャラ達の弱点(イタい部分)が非常にわかりやすく描かれていて、妙に親近感が湧くのです。
ヒロインさんは全員で3名います。
その3名が実に印象的。
作品の良しあしを決めるのはヒロインの振る舞いは必須だなと感じました。
1クールの中(12話くらい)でいろいろ詰め込み過ぎたら、キャラの印象が薄れてしまうので、初めは3人のうち誰かに絞って描いていくのではないかと想像していましたが、結果3名とも墓穴を掘る形で深堀して非常に魅力的なキャラクターとして印象に残りました。
簡単にヒロインさんたちを紹介します。思い出しただけで笑えてくるようなエピソード満載です。
まず一番初めに出てきたのがこのエルフの女性。
エリートの経歴を持ち戦闘も滅茶苦茶強いのですが、頭が弱すぎてあまりにもチョロいのです。この子は社会に出て一人でやっていけるのだろうかと心配になるくらいのチョロイン。
しっかりめかし込んだうえで計算したように近寄り「奇遇ね…」➡「奇遇の意味知ってんのか!」と思わずツッコみたくなります。
初めは間抜けな事をして盛り上げるか、お色気担当みたいな立ち位置に成り下がっていくのかなと感じていたのですが、女にはやらねばならぬ時があるとばかりになりふり構わず振舞う根性を見せます。でもとにかく不器用でそれが視聴者と“おじさん以外”の二人にはわかっているので笑えてしまう。
周りには気丈に振舞うのですが、実はメンタルが非常に不安定だったりと、弱点というかスキを見せるところは逆に魅力に感じたりします。
ちゃんとヒロインレースから振り落とされないように最後までしっかり噛みついてきて、とても印象に残りました。
他にはこの水色の髪の毛の女の子。
この子は、大人しめの普通の少女かなと思っていたらビックリするくらいクズで、引きこもりを地で行くようなグータラ娘でした。
でも妙にマウント取ったり、働かなくてもいいのなら恥も女もかなぐり捨てるような子で、そのギャップにインパクトがありました。ギャップは大事です。
この可愛げに微笑むシーン。この時ビックリするくらいクズなこと言ってます。
一番最後に登場したこのヒロインは、3人目ということで二人よりインパクトは弱かったのですが、それでも持ち前の間抜けさを前面に出して魅力アピールしてきます。ほかの二人がとにかくクセが濃かったので、中和してもらうような立ち位置だったのでしょうか。
でも見ていくと、この子も癖が強いので、おじさんとこの先どうなっていくのか非常に気になります。
3人が非常にどこかのテンプレにはまらないような型破りなキャラクターだったので、常にどんな絡みになるのか新鮮で、ヒロイン同士の絡みも非常に面白いです。
また、おじさんを演じている声優さん(子安さんという大ベテラン)だけでなく3名のヒロインを演じた各声優さんも、魅せ方をよく分かっているようで『どういう演じ方をすれば視聴者にウケるのか?面白いと感じてもらえるか』というツボをよく把握されているように感じます。
これはアドリブで演じているのかと感じるほど、わざと声を裏返らせたり英語口調になったりしていて、笑いのポイントをよく熟知しているなぁ~と。声優さんたちの面白演技もこの作品の面白さのポイントになっています。
物語に少しの余韻と謎を残しながら「異世界おじさん」は終わりましたが、これは是非とも続きが見たいものです。「イキュラスキオラス」とか呪文も少し覚えてしまったくらいハマりました。
異世界の魅せ方はアイディア大賞
レビュー初めにも書きましたが、「よくこんな魅せ方や構図を思いつくな~」と感心しきりの作品で、セガサターンの懐かしさもあり、自分の中ではここ2~3年くらいで一番お気に入りの作品になりました。
自分の中では「覇権」と言ってもいいレベルです。
飽和状態になってると思いこんでいたジャンルをこういった魅せ方をしてくるあたりはアイディア大賞モノです。
おじさんと3人のヒロインはインパクトが大きかったので、半年経っても未だに覚えていますし登場人物のテンプレに収まらないタイプなので、もっと活躍の場が見たいです。
絶対に続編は見るし、作者がどういう一風変わった魅せ方をしてくるのかも興味深々です。
見始めたときは「こんなおじさんが主人公でこの話1クールも“持つ”のか」とか感じていたのですが、見終わるころには、もう終わってしまうのか…と哀愁を感じたくらいの作品。
原作者の名前は「殆ど死んでいる」…。期待してますので死なずに頑張ってください。
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