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周作(twitter:DarvishShu)です。
映画監督として熟年期に入った(?)とか言われている新海監督の作品で、災害や神話が物語に組み込まれている事で、スピリチュアル系から考古学系、そして海外からも幅広く注目され大ヒットとなった「すずめの戸締り」
今回はこの作品のレビューをお伝えします。
主人公はすずめという女子高生で、ガールミーツボーイの流れではじまります。
新海さんという神話を巧みに使う監督さん
この映画にフューチャーされている日本神話に関してはYoutubeで沢山考察動画がUPされているので、ここで色々説明する必要はないと感じますが、神秘的なものや昔から伝わる伝記、伝承のたぐいは結構ウケがいいものだなと感じました。
まぁ普通日本人なら「かしこみかしこみ…」とか唱えていたら気付くでしょう。
それにしても驚いたのが「ミミズ」の表現。
これは神話のイラストや新海監督のイメージをしっかりとアニメーターの方と打ち合わせした上で描いたものだと感じます。
こんな悍ましい作画は、個人で思いついてこんなにリアルに描けるようなモノではないです。詳しくは是非、映画を見てもらいたいのですが、見てて一発で厄災の元凶みたいなイメージにピッタリのデザインしてます。
物語序盤。この空に浮かび上がる大きなミミズのような現象で一気に視聴者を子の世界観へ引き込ませることに成功したというか、物語のつかみは大成功というところでしょう。
そんな緊張状態の後は、かわいいネコや歩く椅子(ネタバレにならないように)が追いかけっこしたりして、視聴者側の気持ちを落ち着かせるような自然散策の旅が始まったりして、世界の大ピンチだけど、ポップな部分も入れたり、見知らぬ土地での助け合いのシーンを入れたりとバランスよく進めています。
大きなミミズと戸締りのシーンの連続だったら、視聴者も気持ちが落ち着かないでしょう。
物語の世界のバランスに合わせて強弱入れながら物語を構成しているのを感じます。あのネコをかわいい感じにしたのも狙ってデザインしたのかなと感じます。
おぞましい化け猫よりもこちらの方が結果バランスとれてたかも。
あと、物語は色んな地域を旅するので冒険している感が出てて、ワクワク感を感じた方も多かったと思います。
大震災の想いを馳せて
映画の冒頭でも注意書きが出ていましたが、この映画は震災の頃の思い出を彷彿とさせるシーンがあります。
そこを乗り越えて歩いていくというテーマは、被災した方にとってはなかなか一筋縄ではいかない、理屈では割り切れない所です。
この映画が不快に感じた方もいると思います。
だからご都合主義で済まさず、癒されていない心や、家族の葛藤などもそのままに表現しています。この辺はきちんと描き切ったという点で評価が高かった要因ではないかと。
決してみんなが前向きに進んでいるわけでない。受け止めきれずにいる“今”より急に好転するなんてこともない。失ってしまったチャンスもあるけど、もうそれはどうにもできない。
実際に見ていて、「こういうやりきれない思いを抱えた人はまだまだいるんだろうなぁ」と感じる部分あります。誰が悪いとかいうのは無いけど、誰かに吐き出すとかしないと苦しいわけで。
それでも“今”大切な人は失いたくない。そんな衝動で勇気を出して打開していく彼女の姿が描かれます。
そんな覚悟を持って“戸締り”をしていく彼女の活躍を是非見ていただきたいです。この人はモブキャラかな~とか思って見てた人も、人間として意外といい味を出していたりします。
忘れてはいけない事を共有するきっかけ
震災がテーマの一つになっていますが、震災から今に至るまで暗黙の部分で切り込みにくい所を描いた作品ではないでしょうか?
決して物語が暗くならないような調整もしているし、話のテンポも丁度良いと感じます。(早いと感じるくらいの人がやや多かったみたいですが)
何よりも震災の記憶を共有できるツールとして、今後もこの映画は色んな人に視聴されていくでしょう。
今後も震災から□周年くらいのスパンで金曜ロードショーで放送していくかもしれません。やっぱり忘れてはいけない事はあります。そしてその思いをきちんと共有する機会も設けていきたいですよね。
1年に1回くらいでもいいですから。
この作品はそんなきっかけになっていくでしょう。
個人的ですが、先日「みやぎ東日本大震災津波伝承館」へ行ってきました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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