感想『金の国 水の国』平和を維持する為に奔走するって素敵

レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。

周作twitter:DarvishShu)です。

今回はアニメ作品「金の国 水の国」のレビューを書いていきます。

この映画を見る前に、上映背景やPVを見たのですが、見た瞬間「これはすぐにでも見たい」と思えなかったのが正直なトロコです。

魅力を伝えるのって難しい

この映画の魅力の伝え方…

ここをまずシェア。

まずレビューを皆さんに伝えるうえでこういう言い方は失礼かもしれませんが、物語はとても良かったのです…でも今どきの映画のような刺激的な宣伝映像では無かったわけです。

実際アクションが物凄かったり、派手さのある作品ではないです…でも素晴らしい作品なのです。国同士の交流を実に上手く描いているのですが、今流行りのファンタジー的なものではない。丁寧な作品。

PVというとどうしても「鬼滅の刃」とかコナン君などを思い描いてしまいます。

ああいう映画のPVは、キャラドアップからのアクションやら爆発シーンや銃声シーンなどとにかく派手です。PV動画なんて30秒から60秒くらいの癪なのでいかに視聴者の目と気を惹くかが大事で、そういう部分があまりないこの作品は良さを伝えにくいのではないかと感じました。

素晴らしい作品だから必ずしも予告編も目を惹くものになるとは限りません。そういう点で損してるなぁと。映画の宣伝って難しいよな…というのをまず始めに感じました。

上映間近のクライマックス予告もありますが、ここではやや過激な部分を切り抜いていますね。宣伝側にもそういうのを感じたのでしょう。

でも作品は素晴らしい出来なので、その内容に切り込んでいきましょう。

余談ですが、背景もこの作品の世界観が分かるようにとても綺麗に美しく描かれていたのは印象的でした。アニメの作画のレベルは20年前と比べても比べ物にならないくらい高くなっています。そこも作品を通して見てほしいポイントの一つです。





国同士が争わないようにするのは難しい

まず、主人公格に当たる2人が、今どきの作画ではないのが意外でした。

キャラとしての魅力はありますが、意外だと思ったのも一つの狙いではなかったのではないか?ぽっちゃりしているお姫様は今までにないパターンで新鮮でした。

物語の舞台としては、一歩間違えたら戦争になるかもしれない瀬戸際の状態。

平和を望む人々と、戦争して侵略してしまいたい人が国の中に居て、それぞれの想いが危ういバランスでなんとか保っている状態。

ここを緊迫した状態で表現するなら、アニメにしなくても良いと感じるわけです。子どもたちにもこの世界観を分かりやすく伝えて物語を楽しんでもらうためにうまく笑いやキャラでバランスを取っているように感じました。

(C)岩本ナオ/小学館 (C)2023「金の国 水の国」製作委員会
決して美男美女ではない彼らの存在もその一つです。

彼らは結構賢くて、戦争になるかもしれない可能性を察知して、自分たちでなんとか平穏な流れに持っていけないか模索していきます。尺の関係で、双方の国へ犬と猫が贈られてくる所から結構緊迫している状態だというのをあくまでシリアスにならないようにしつつも上手く伝えています。

でもさっき“尺の関係”と書いたように、双方の国の平和の為に歩もうとする中、お互い惹かれ合っていく部分が駆け足に感じました。この辺の心情の変化や魅力の気づきなどはもう少し時間をかけて子どもたちにも分かりやすく描いてほしかったところです。お姫様のとっさの“優しさ(気遣い)”なども子どもには少し伝わりづらいのではないかというのも感じます。

伝えたいテーマが他にあるので、そこばかりにフォーカスしきれなかったというのもあると思いますが、だんだん主人公の二人の魅力が見ていくうちにアップしていくのを感じます。

でもそんな二人の“想い”で突き進むにしても、障害があります。プライドを捨てきれない層の人達の存在です。

戦争を起こさない世界づくり入門

このレビューを書いた2024年。

ウクライナ侵攻を始め、イスラエル問題やミャンマーでの内戦…そして台湾有事の火種も燻っていて世界中いたるところで戦争が拡大するかどうかの瀬戸際外交が続いています。

「戦争は外交の失敗」という言い方がありますが、戦争が起きてしまえば連鎖的にどんどん火種が広がっていきます。
この物語に出てくる二人もそのことをしっかり理解していて、戦争が起きてしまわないように奔走する姿が描かれます。

この緊迫した内容をせっかくアニメという子どもたちでも見て楽しめる作品にしてくれているので、是非家族や友達で戦争という火種を広げないためにどうすればよいか…一人ひとりがどう考え行動すればよいか?そんな事を考えてもらえるきっかけとなるようなこの作品を多くの世代の方に見てもらいたいと感じます。

戦争というテーマは重いものです。(※戦争寸前の世界ではありますが)

重いテーマだからこそ「命」や「平和」の尊さなど伝えたいものが伝わりやすいハイリスクハイリターンなジャンルです。しかし、あえてそこに踏み込んで、コミカルさも忘れずこのテーマを題材にしているので、これからの未来を担う世代に見てほしいという想いを込めて制作したんだなと感じます。

実際戦争というテーマが盛り込まれているのに、見終わったら不思議と幸せな気持ちになります。これはクリエイター陣の技量の賜物です。

重いテーマでも分かりやすくエンタメに落とし込む日本のクリエイター陣は本当に天才ばかりです。この勢いで素晴らしいアニメを世界にどんどん発信していけば良いですね。

そして実際に紛争が起っている国の方々にも見てもらいたいです。先が見えない世の中に光を当てる物語です。

ついでに海外での感想やレビューも見てみたいものです。





偽りの夫婦?

 戦争は起こってしまうともう後戻りは出来ない。だから主人公たちは“難しい道”でも選択し、進みます。そんな姿を世界中の子どもたちにも未来を平和に生きるヒントとして、見てもらいのですが、なんだか『SPY&FAMILY』が頭をよぎりました。

子どもはまだ登場していないものの、偽りの夫婦という設定は似ていますし、何より戦争を事前に防ぐという任務を敢行する姿はなんか似ていますね。

こういう平和(平凡)を守るための挑戦というテーマは今の時代に必要なエッセンスではないかと思います。

未来を明るくするための作品が、現実の未来を変えていくきっかけになるかもしれません。

▼映画『金の国 水の国』特別映像

どんな想いで制作しているのか…クリエイターさん達の思いをもっと聴いてみたいですね。「なんのために作品を作るのか」「何を伝えんがために制作するのか」というのはどんな物語を見てても気にしているテーマです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。