Chapter1 自分の正義感なんてあっという間に潰される、激動の社会人一年目

自分の正義感なんてあっという間に潰される、社会人一年目

とにかく昔の自分は無気力な人間でした。

高校まで常に誰かに尻叩かれながらやってきたような感じで、将来自分が何をしたいかなんてあまり考えなかった。

いつも「やらされる感」ばかりだったから、大学生になって自分一人になった途端何もしなくなりました。

何もやりたくなかったからよく寝てました。

振り返ってみて親には本当に迷惑をかけたなーと思うけど、何の目的もないのに世間体で大学に行ったのは本当にまずかったです。

そんなクソガキみたいな大学生の卒業あたりから話を始めさせていただきます。

とにかく自分は、今考えても不思議なくらい見栄っ張りでプライドばかり高い「超面倒くさい」学生でした。

あの高すぎるプライドは一体どこで培われたのかと今でも不思議に思います。

自分だったら絶対にあんな人間とは友達になってなかったなーと感じるほど…

そんな自分一人だと何もしようとしない人間も、ギリギリカリキュラムをパスして大学を卒業します。

就職活動は、しないとまずいからという意識の元、世間体に引っ張られながらやっていたと思います。

時代は就職氷河期のまっただ中

「グローバル」がどうだこうだと、やたらとこの言葉ばかりが良いイメージとして横行していた時代でした。

2月くらいから職を探して、なんとか会社に入社できたのはラッキー以外の何ものでもなかったと思います。(契約社員からのスタートですが)

しかし社会に出てからの日々は自分の想像とまったく違っていました。

仕事がキツイとかじゃない。このシステムはおかしいんでないか?!

大学生時代、勉強もバイトも殆どしなかったとはいえ、人に喜んでもらう事が結構好きだった自分は、施設で子ども達や年配の方々のお世話をしたり、イベントの設営・企画などのボランティアには積極的に参加してました。

ゴミ掃除のお手伝いにも積極的に参加しました。

暇だったからやったというのもありますが…これはあの頃の自分の唯一の長所だったかもしれません。

しかし、会社という組織下ではそんな善意の心を馬鹿にしてくれます。

DSC04319

自分がまず入社したのは食品を扱う仕事でした。

業務は色々ありますが、大まかな仕事は注文が入るまで食品の仕込みをして、注文が入ると同時に厨房で簡単に準備して配達するという現場の管理でした。(お弁当屋やレストランではないです)

仕事というのはきついのは当たり前なんだから、しっかり時間内は頑張ろう。

へタレなりに社会人として一歩を踏み出そうと決意して働き始めました。

しかし一日目、仕事が終わって最後の片づけに入った時、衝撃的な光景を見てしまいます。

日本の食料自給率は5%…とか言ってる場合じゃない!

その日の注文が締め切りになったとたんに現場では一斉に片づけが始まります。

その時の先輩社員の行動に目を疑いました。

注文が入るのを待っていた食品をまとめてゴミ袋に「ザーッ」と片っ端から放り込んでいくのです。

ここで皆さんにイメージしてもらいたいのです。

デパートの地下(通称デパ地下)の食品館を歩いて回った事はあるでしょう。

あのショーウィンドウに並べられているお惣菜やケーキ、和菓子の数々。

煌びやかでどれも美味しそうですよね。

▼イメージしやすいように写真を掲載してます。

あの綺麗に並べられた食品を……です。

賞味期限が過ぎたわけでもないのに、「受け付け時刻を過ぎた」という理由だけで全て生ゴミとして捨ててしまうのです。

まだ全然食べれるのに…

ケーキ屋さんのショーウィンドウに並べられているケーキを想像してみて下さい。

あれを時間が来たら全部ゴミ箱に放り込むのです。

全て!

………

世間を知らない僕は、内心「食べ物を何だと思ってるんだ!日本の食料自給率が何パーセントか知ってるのか?もったいないにも程がある!」

こんな気持ちで憤りの感情が駆け巡りました。

しかしここは職場です。

早く帰りたいアルバイトさん達もいるので、最後の片付け業務を終わらせないといけません。

自分は気持ちを押し殺しながら、上等のケーキやロースとビーフなどをゴミ箱にドンドン放り込みました。

あの時捨てた食べものは今でも覚えています。

日本はなんてもったいない事をするんだ!食料を自国でろくに自給できてないのにこれは酷過ぎる!バカ過ぎる!!

やりきれない気持ちでいっぱいでしたが、当時の自分は新卒の22歳、クソガキです。

会社に対しての権限なんてありません。

自分の良心なんてものは会社の利益には何も直結しないのです。

俺は間違った事を言ったのか…社会への失望

働き始めてから10日目くらい経った頃。

業務内容は慣れてきたのですが、理不尽に新鮮な料理を捨てまくる会社のマニュアルに我慢できなくなりました。

今までボランティアとはいえ、美化活動に参加したり“もったいない運動”なるイベントに参加してきた自分としては、この行為に慣れることがなかったのです。

そこで、次の日が休みということもあったので、仕事を終えて着替え終えた自分は会社の本部へ乗り込みました。

そして、入社10日目のクソガキは、食料担当の代表の方を呼んで交渉を始めたのです。

内容はざっくり言うとこうです

『マニュアル通りに仕事はこなせていますが最後、食品を無造作に捨てるのはあまりにももったいない。

これは仕事としておかしい。

もったいないにも程がある。

余った食材は何か別の措置を取るなどして廃棄しないようなシステムを作っていただきたい。』

さすがに上司をつかまえて「日本の食料自給率は~」とかいう話はしませんでしたが、今思えば、よくこんな事言ったもんだと思います。

世間を知らぬ強みなのか…アホやったんか…

その料理配膳の担当をされている方は黙って僕の話を聞いてくれました。

そして「検討をお願いします」という自分の締めくくりで話を終えた後、そのまま会社を後にして家に帰りました。

「俺は良いことを言った」…そう感じてたと思います。

次の日は仕事休み。

家でゆっくりしていたら会社から電話がかかってきたのです。

『君は明日から会社に来なくていいです。今までの給料分は振り込んでおきますので。』

一瞬「?!」と思いましたが、「分かりましたお世話になりました」と言って速攻で電話をきりました。

なんでこうなるんだ?

俺間違ってたのか?

そんな怒りに近い感情を抱いた後、やや放心状態だったのですが、社会って言うのは自分が「間違っている」と思っていても利益さえ出しているのなら、まかり通ってしまうものなのだというのを初めて思い知らされました。

まぁ今考えると当たり前です。

こんな講義しても会社にとっては何の利益にもならないし、足手まといになる人材です。

即クビになっても仕方なかったと思います。

ただ、この時の自分はあまりにも世間を分かっていなかったのです。

かくして、社会人になって一ヶ月も経たないうちに自分は世間の出世競争からつまみ出されてしまうのです。

そして、そこから自分の描く想いとは裏腹に悪夢が次々と待ち構えていたのです。

WP

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

より分かりやすく読みやすい記事を心がけていますので、気になった点や分かりにくい部分があれば是非コメントをお願いします。

個人的なコメントでも結構ですので宜しくお願いします。