感想「サマータイムレンダ」ただ観るだけより“参加型のゲーム”として楽しめる

なぜ私たちはこれほどまでにサスペンスに惹かれるのか

この度は閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回レビューを書かせていただく作品は『サマータイムレンダ』という「ジャンプ+」で掲載されていた作品。

作画も綺麗だし、恐ろしい世界観と緊張感ある演出の連続で放送当時は大反響でした。

自分は原作も読んだ事ない初心者勢で、当時は「SNSでえらい騒がれているし、試しに1話だけ見てみよう」くらいのノリで何気なく視聴してみたのですが、まぁエグイなぁと感じました。

エグイなんて言い方だとあまりにもざっくりしていますが、まず作品のキービジュアル(メインとなるポスター)を見れば分かります。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
離島の物語なのに、村民の各々が銃や包丁、金槌などを持ってるのが物騒です。

そして彼らは何と立ち向かうのか…

ジャンルはサスペンスド真ん中です。

『サマータイムレンダ』

まずSNSでの反響で感じたのは、なんでこうもサスペンスに惹かれるのだろうか…という所。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
死んだら巻き戻されるというワケ分らん設定はありますが、とにかく色んなケースで色んな人が殺されていきます。

そんな最悪を防いでいくために奔走する主人公…という構図ですが、物語に緊迫感を含ませるためとはいえ、人が死に過ぎです。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
途中、唐突に色気のシーンを入れてバランスを取ろうとしても焼け石に水です。

とにかく血しぶきのあがる場面が多かった…でも相変わらず反響はすごい…

心理学的に見ると、現実に命を狙われるのは真っ平ごめんですが“自分は安全な場所にいる”という絶対的な安心感があるからこそ、絶望的な状況を楽しむことができるようです。

何か嫌ですね。

疑似体験を通して、日常では味わえない「生への執着」や「極限の感情」を味わいたいという本能的な欲求から支持を得ていると考えられますが、あんまり“死”を軽く考えてほしくないものです。

個人的に少し嫌悪感を抱いたものの、話の構成は見事としか言いようがありませんでした。レビューを書いていきます。





最善の選択を迫られる緊迫感

サスペンスの多くは、理不尽な悪や困難に立ち向かう物語です。

この物語もそこは例に漏れず。

主人公の慎平君が何度も死を繰り返しながらも未来を切り拓こうとする姿は、己が困難を克服するための力をくれます。

勇気になります。

作品を通して無意識に心の中に溜まっている克服したい不安と向き合い、自分を鼓舞しているのかもしれません

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
それでも慎平君にとっては厳しすぎる現実…

あえて恐怖に飛び込み、それを乗り越えてハッピーエンド(誰も死ぬ事の無い結末)に辿り着こうともがきますが、これでもかと絶望成分を注入してきます。

相手側の容赦がなく、自分が慎平君だったらと思うとゾッとします。

それでも視聴者は物語から目を逸らさず没入する魅力…それは何なのだろうか…

それは慎平君の目が死んでいないからかもしれません。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
その表情を見て、自分事の様に応援したくなってしまうのでしょう。

他にも生物学的な見方をすると人間は“自分を脅かすものから目を離せない”という本能を持っています。

その心理を作品を通して意識づけさせることで、手に汗握る真剣さが生まれるのだと思います。

物語の緊張感を維持するための強烈なスパイスというところでしょうか。

視聴している時は一時的な興奮状態になっているのでしょう。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会

落差の演出が凄い

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
期待が最大になった瞬間にそれを打ち砕くのが最も衝撃を与えます。

そんな唖然とするシーンが中盤に出てくるのですが…

急転直下な展開があるからこそ、私たちは「次はどうなるんだ?」という強烈な探求の飢餓状態に陥り、さらに画面から目が離せなくなります。

見ていて、視聴者の意識を釘付けにする為なら何でもやるな~と感心するほどでした。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
そこで大事なのが「俯瞰」して見るということ。

実際、慎平君が絶望でパニックになったり闇落ちしないための“思考の防波堤”になっていましたし。

あえて自分を客観視することで、恐怖や怒りといった強い感情を一時的に切り離し、再度選択が出来るようになる。

現実でも、トラブルが起きた時に「今、自分は焦っているな~」と一歩引いて見るだけで、冷静な判断を取り戻せることがあります。

他にも自分だけの視点に固執していると、どうしても死角が生まれます。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
「俯瞰」は大事です。

相手に感情を揺さぶられているだけで、俯瞰すれば思考の軸は自分なんだと気付けます。

バラバラだった情報を繋ぎ合わせる事もできます。

問題の根本も見えてきます。(すぐにとは言えませんが)

このアニメを通して製作者が伝えたかった事かどうかは分かりませんが、少なくとも自分はこの作品がきっかけで、人生で「俯瞰」してモノを見る事の意識づけが出来るようになりました。

ただ、極上のサスペンスを前にドーパミンをドバドバ放出してスッキリして終わるだけでなく、この命のやりとりの中から教訓を得られたように感じます。

サスペンスは頭を使った最高の遊び?

1話での主人公の衝撃の“死”と巻き戻しから僕たちはこの作品に強く惹きつけられていきました。

毎週夢中になって視聴していた人が多いというのはSNSのコメントを見れば容易に想像できます。

ただ……“死”は誰にだって衝撃が大きいです。

現実は勿論、漫画やドラマだろうが…

“死”によってはじめて問題視される事があります。

現実でも“死”が原因で何かが大きく変わるケースは多いです。

それだけ行動のトリガーになるポテンシャルを秘めている“死”。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
でも自分はあまり物語を盛り上げる為や進行の為に人が死ぬ流れは好きでないです。

自分はコナン君みたいな物語を成立させるために死なないといけない設定は好きではない派です。

死ななきゃ分らんくらい人間は愚かではないと思いたいです。

“最後には正義が勝つ”ようなストーリーになれば良いと思いますが、こうもドンドン死の描写があるのはやりすぎのような気がしなくもないです。

良い悪いの問題ではなく、視聴している人間の中でだんだん“死”に対する意識が薄れてくるんじゃないかと…

命の尊さの対比が“死”なので、軽々しく“死”を語らないようにしてほしいです。

©田中靖規/集英社・サマータイムレンダ製作委員会
ちょっと最後は自分の主観的な感情が入ってしまいましたが、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

2027年は実写映画の公開が決定しました。楽しみです。