感想「アポカリプスホテル」人間が居なくても世界は回る

しょっぱなから衝撃展開…だが

この度は閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回レビューを書かせてもらうのは『アポカリプスホテル』というトンデモ作品。

タイトルからして「!?」です。どうなってるんだ…
作品のキービジュアルを見れば言いようのない違和感を感じます。

だって従業員が女の人だけなのです。

正確には代行ロボットさんたちもいるのですが…

©アポカリプスホテル製作委員会
まずアポカリプスという意味がいまいち分からないので検索。キリスト教の「新約聖書」で出てくる専門用語みたいで、現代風に雑に言うと“世界の終わり”という感じ。

相当ヤバいです。

©アポカリプスホテル製作委員会
そんな状況で運営しているホテルでは何が展開されているのだろうか…
©アポカリプスホテル製作委員会
ややポップで明るい作画に少し警戒を感じながら視聴を進めていきました。

オープニング映像だけでも見る価値あります。aikoさんが曲を手掛けているというので力の入れようが分かります。

オリジナルアニメという事で、Cygamesとサイバーエージェントさんが奮起して製作してるのが伺えます。

作画や音楽はもちろん、演出など全てのクオリティが高かった。





人間はいずこへ…

ホテル(銀河楼)が舞台となっているのですが…

©アポカリプスホテル製作委員会
まず冒頭で地球上でとんでもない事が起きて人間が住めなくなった過去が紹介されます。
©アポカリプスホテル製作委員会
この辺は物語を重たくしないように駆け足で説明していますが、ウイルスによる大気汚染が原因のようです。
©アポカリプスホテル製作委員会
生き残った人間は地球を脱出…そして年月だけが過ぎていく…
©アポカリプスホテル製作委員会
でも今回の物語の“核”は、そんな荒廃した地球を取り戻す事じゃない…
©アポカリプスホテル製作委員会
人間が住めなくなった地球でもずっと運営を続けているホテルの日常を描くのがこの物語の主軸です。
©アポカリプスホテル製作委員会
たった一人の人間とロボットさん達。

でもその人間だと思っていた身なりの女性も人間じゃなくてアンドロイドでした。

喜怒哀楽激しいうえにいろんな仕掛け満載のヤチヨさん
人間の女性を模したホテリエ・ロボット、ヤチヨさん。ホテルでの立ち位置は銀河楼支配人代理の代理という感じ。

少しずつお掃除ロボットさん達が劣化していき、廃版になっていく中何年も客が来ないホテルを運営し続ける…オーナーの帰還と客の来訪を待ちながら…

©アポカリプスホテル製作委員会
こんな人間の感覚だと気の遠くなるような世界はやっていけないでしょう。

物語は人間が地球からいなくなってから実に100年後。地球外の生命体とはいえお客がやってきたという所から物語は少しづつ動き始めます。

紹介文だけだと“重い設定だなぁ”と感じるのですが、アニメの見せ方やヤチヨさんのポンコツぶりなどが物語が暗くならないような調整弁になっています。

©アポカリプスホテル製作委員会
ですので“ブラックコメディ”とは言い難いかも。

特にヤチヨさんの内部には“やったことない事にチャレンジした”ことで“レベルアップして呪文を一つ覚えた”的な仕掛けが施されていたりして面白いです。
※「イースターエッグ・プログラム」と言います。物語のアクセントとしてはナイスなギミックです。

エラーが起こったらヤカンみたいに癇癪を起したりするのも仕様なのでしょうか?

ヤチヨさんを造った人の遊び心に感服。

©アポカリプスホテル製作委員会
史実だけを追っていくとアポカリプスの世界なのですが、そんな世界など知った事かとヤチヨさんと愉快な仲間達はホテルを盛り上げていきます。
必要性を感じなければグレたりします。

周りがどうだろうが自分達がどうあるかが大事

物語の舞台は終末をとっくに超えたその先の世界なのに、ホテルの従業員たちは粛々と業務をこなします。

100年間誰も訪れる事の無いホテル…

そんな状況なんて想像できなかった。だからこの作品は新鮮に感じました。

このアニメはそういった普段は考えもしない所に想像をめぐらしてみませんか?抽象度を上げて遥か未来を想像してみませんか?世界の見方が変わりますよ。という提案をしてくれているように感じます。

人間は己が想像できることは対処したり叶えようとします。でも想像できない事は実現しようとは思えないので“その先”へ進めません。思考がその先へと広がっていきません。

戦争をしている国のトップの思考は、恐らくですが、我が国が勝利し、繁栄していくせいぜい4~50年くらい先の世界くらいしか想像していないでしょう。

でも100年後200年後と考えると、どんなに大国だろうが国の存在なんてちっぽけなものです。

抽象度を上げることで、全ての悩みや問題なんかちっぽけに見えてしまいます。

僕らが学生の頃…自分達の老後や死んだ後に展開される家族や世界の事など考えが及びませんでした。せいぜいどこの大学に行ってどんな仕事に就くかという辺りにイメージが終始していました。

視野が狭かった…

©アポカリプスホテル製作委員会
アポカリプスホテルを楽しむには一旦自分の視野を広げる事が大事です。

どこか異世界での出来事と捉えてしまうのも悪くはないですが、未来の一つの形として見ていけば、今我々が固執しているものなどが急にくだらなく感じたりします。

そんな抽象度が広がった状態で、それでもあなたが大事だと感じるものはありますか?

モノや情報が溢れている昨今ですが、恐らくそれが自分が一番本質的に大切だと感じているものです。

©アポカリプスホテル製作委員会
製作者側の狙いはそこではないとは思いますが、抽象度が上がったおかげで気づけた部分はありました。

なんでもやります

環境チェックロボさんという対話が出来る相手のおかげで、一人語りが続く物語ではなくなりました。

話し相手がいるって大事です。

相手は人間ではないものの口コミ(?)のおかげなのか、少しづつ宇宙人のお客様がやってくるようになり、ホテルが回り始めます。

©アポカリプスホテル製作委員会
でもお客様の要望を聞くためだったりホテルをPRするためとはいえ、ヤチヨさんはわりとなんでもやります。
©アポカリプスホテル製作委員会
それが時にはホテル業務の範疇を越えた型破りのミッションだったりするので、この作品の最大の魅力はそういう部分なんだろうなと。
©アポカリプスホテル製作委員会
地球に巣食う生命体を食用も兼ねて退治しにいったり…時には宇宙にまで行ったり…職場放棄して暴走したり…

もうホテルの代理の従業員ではなく、このホテルという城の化身みたいです。

©アポカリプスホテル製作委員会
そんな時には派手なアクションに呼応するように、ホテル内にはワケ分らん仕掛けが数えきれないくらい施されていたりします。
©アポカリプスホテル製作委員会
「ホテルも未来のあらゆる事態に備えてノリノリやなぁ」と。

この先大気が安定して人が住めるような地球になったとしても、果たして人間達が戻ってくる世界線は訪れるのだろうか。

©アポカリプスホテル製作委員会
そんな前向きな“未完了の課題”を残したまま、期待と余韻を残して作品は終わります。
©アポカリプスホテル製作委員会
我々の抽象度を上げてくれた素敵なオリジナルアニメ、ありがとうございました。
©アポカリプスホテル製作委員会
終盤、ヤチヨさんが休暇のような形で街を散策したりするのですが、その時の景観が印象深く見入ってしまいました。
最後に少し紹介しますが、夢中でスクショを撮っている自分が居ました。大都市もいずれはこうなるのだろうな…
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。