感想「Summer Pockets」夏休みという幻想的な時間をループする旅

夏を何周も繰り返す視聴者たち

この度は閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回レビューする『Summer Pockets(サマーポケッツ)』

タイトルが複数形になっている通り、夏を何度も繰り返していく不思議なファンタジー要素の強い物語になっています。

この作品はアプリで購入してノベル版のほうをまず読んでみました。

内容を完全に把握したうえでのアニメ視聴になります。

アプリの方は小説形式です。フルボイスとちょこっとアニメーションありで、とにかく大ボリュームです
自分は小説を手掛けているのですが、今作の様に映像化しようと考えています。そこで、そのロールモデルとしてはこの作品が一番イメージに合っていると感じました。視聴の理由です。

まずアプリで購入し、作品を読み進めていったのですが、とにかくギミックを織り込ませた重厚なストーリーに圧倒されました。

各ヒロイン毎に夏のストーリーがあり、読み進めていったのですが読み終えるまでに何日もかかりました。
本当にボリュームのある物語です。ひと夏の出来事なのにエライこすりようです。

だからまず内容云々よりも2SEASON(26話)という尺の中で話がうまく納まりきるのだろうかという構成面の部分が気になっていました。もしかして誰かにエピソード絞るんだろうか…とか。

以前、大ヒットゲーム『天穂のサクナヒメ』がアニメ化されたので、視聴してみたのですが、1クール(13話)という尺の中に作品の魅力をうまく構成して詰め込むことの難しさを感じました。

どういう構成でこの名作「Summer Pockets」をアニメという媒体に落とし込んでいくのだろうか…

自分自身も作品を実際にアニメ化するイメージで視聴してみました。

そんなクリエイター視点でのレビューを書かせていただきますのでお付き合い宜しくお願いします。

▼オープニング曲の映像から力の入れ具合が分かります。夏の日差しの描き方は鳥肌が立つくらいのクオリティです。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会

▼未視聴者の為の分かりやすいプロモーションビデオが沢山ありますので、まずサイトとPVから覗いてみるのもアリです。





5人のヒロインさん


1~2話目の構成は、まぁ登場人物のお披露目みたいな感じのオープニングアクト。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
ここはアプリ版と同じ流れでした。
©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
この作品はなかなか特殊な構成をしています。
さぁ長い夏の…始まりだ!
特殊な構成になっている理由はヒロインのうちの1人が影響しているのですが、その仕掛けなどは割愛します。

ここは視聴することで楽しめる部分なのでレビュー記事とはいえここで種明かしをするのは野暮というもの。

でも3話を視聴した段階で分かる人には分かるのですが、「コレ、ヒロイン全員分やるつもりだ…誰かにストーリーを絞ってとかは無しなんだな…」というのを感じ、物語構成が楽しみになってきました。

この物語にはヒロインは5人。

そして物語のメインは15話からになります。

ちょっとワケ分からんですよね。

書いていて思います。この作品、ネタバレ無しのレビューが難しい。

展開や仕掛けによって見えてくる謎解きみたいな要素も含まれているので…

男側の主人公・鷹原君が祖母の遺品の整理を手伝うために鳥白島を訪れたところから話が始まるのですが、このシーンが何度も繰り返されるのです。

そこから鷹原君の選択と視点で物語が進んでいくという感じで、それぞれが分離したエピソードでもないのがだんだんわかってきます。

ちなみに鳥白島のモデルは、香川県にある離島(直島・男木島・女木島)だそうです。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
個人的に訪れた事があるのでピンときました。恐らく宮之浦港辺りはモチーフにしているんでしょうね。

ちょっと検索を掛けてみたらスゴイ事実が判明しました。以下のサイトです。

この素敵な鳥白島で色んなドラマが繰り広げられます。

キーポイントは「記憶」と「時間」

派手な事件やバトルはほぼありませんがふとした出会いや少しだけ不思議な出来事が起こります。

これは誰もが一度は感じた事あるのではないでしょうか?

それがなぜ起こったのか?なぜ出会ったのか?

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
ストーリーを追っていくうちに“なぜ”がリンクする瞬間が面白いのです。

だから視聴するというより“一つの夏を擬似体験するという感覚”に近いですね。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
作品の見え方がだんだん変わるという魅せ方は他の作品では出来ない不思議なポイントです。

視聴を終えてから改めてタイトルを見ると、本当によくできてるな~と感じると思いますよ。

Keyはそんな素敵で幻想的な物語を作るプロ集団というイメージです。
あとサブキャラのおっさん達やガキんちょもいい味出してます。
©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会

できれば見たかったシーン

作品を通して不自然だったシーンもあります。

ヒロインの一人、紬さんの口調について。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
“むぎゅ”という言い方をする女の子はこれまで見た事がないので、リアリティがなかったという部分。

他には空門姉妹の眠り姫状態について。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
寝ているわけなので息もしているし血も通っているけど起きる事はない…という状態はどうしてもイメージしづらかったです。それが何年もとなるとどういう構造しているんだとか考えてしまいます。

ま、リアルに考えてはいけない部分ってのは物語を楽しむうえであると思います。

紬タイムスリップや写真消失の件などはわりとすんなり受け入れられたのですけど…

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
そして、物語を視聴し終わった後で感じた“アプリ版にもなかったシーンだけど出来れば追加で見たかった部分”

それは、野村さんや良一君、天善君たちの、後日談や彼らのサイドストーリーだったりします。

仲間の後日談も見てみたかった。
やや個性の強い脇役として盛り上げてくれた島の住民である彼らにも、ストーリーがあると思うので付け加えてほしかった。

天善君なんか癖があって、もっと絡めば面白くなりそうなポテンシャルを秘めていると感じたし、治安維持隊(?)の野村さんなんかは今後どんな恋愛をしていくんだろうとか気になっていました。

彼女はどんな恋をするんだろう…
アニメ版になればその辺の追加ストーリーの期待はあったのですが、まずは物語を奇麗に26話以内にまとめる方を優先させたのでしょう。

エピソード毎に何度も出演してくれる彼らに対し、労いと愛着がだんだん湧いてきたので、できれば彼らのアフターエピソードも覗いてみたかったです。

ボーイミーツガール的な所は王道ですが…
後半の山場はペースを不自然に上げることなく描ききってくれています。
仲はいいんです。この3人
終盤のネタバレは伏せておきます。是非視聴してみて下さい。よく出来てます。
幻想的で素敵な夏をあなたに!

令和のKeyの活劇は幻想成分多め

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
原作の『Key/VISUAL ARTS』の皆様には本当に素敵なエピソードを届けてくれて感謝しかないです。

この『Key』という製作会社は、自分が今までレビューを書かせていただいた「Angel Beats!」「CLANNAD」のように、人の心を強烈に揺さぶる作品を多く残しています。

感想『Angel Beats!』大人も問答無用で涙する神作品

感想『CLANNAD』視聴者を黙らせる作品。後半から無口になった


どんなジャンルの話も最終的には人と人との関係性を描いたものです。

その心情を視聴者さんの目線に立って、毎回ハートフルに描ききっているのは素晴らしいの言葉以外思い当たらないです。

多くの社会人の心が荒んでいる今、必要なエピソードが満載です。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
アプリのノベル版からアニメまで、全てを視聴しながら紐解いていくと1週間まるまるくらいかかりますが、素敵な時間を“体験”できました。

まだ視聴されていない方、いましたら“さぁこの夏の秘密を解き明かしていくぞ~”という感じで鳥白島へとダイブしてみて下さい。

©VISUAL ARTS/Key/鳥白島観光協会
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。