感想『SPY×FAMILY』三者三様の目指す世界平和

何故スパイになったのか

この作品は鳴り物入りでアニメ化…と言っていいくらい前評判が高かったです。

令和版の“クレヨンしんちゃん”みたいなもんかな…という感じで視聴していたのですが、アニメ化されてからの反響が無視できないくらい大きく、実際に1話を試しに視聴してみれば“よくこんな絶妙とも言える関係を考え付くなぁ”と感動してすっかりファンになったほどです。

特に「アーニャ」はその立ち振る舞いから声にかけて絶対に人気の出るキャラになるという確信がありました。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
この辺は令和版のクレヨンしんちゃんといっても過言ではないかもしれません。

レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。

周作(https://x.com/DarvishShu)です。

今回は『SPY×FAMILY』のレビューを書いてみますのでお付き合いいただければ幸いです。

何しろキャラ設定がすごくいい。

企画の段階で二重丸が出たのではないかというのは予想できます。

このアニメ自体反響が高く、様々な動画や記事でレビューが書かれています。

自分も今回やや遅れてレビューを書かせていただくのですが、少し違った視点で伝えられればと考えています。宜しくお願いします。





バラバラに見えても意外と同じ方向を向いている

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
「子どもが泣かない世界、それを作りたくてオレはスパイになったんだ。」

その志に引かれ、この作品を見始めたのが自分です。

戦争や紛争の無い世界を目指して暗躍する男…カッコいいし痺れます。

そんな日本で言う忍のような世界を生きるロイドさん。

彼の中に生きる芯のようなものを感じます。しかしスポーツや心理戦や戦闘などあまりにもすべてにおいて万能すぎるところは“まぁアニメという仕様ゆえか…”というのも感じまうところなのですが…

紆余曲折を経て妻役になってくれたヨルさんも不自然なくらいの戦闘力を誇ります。

アーニャの側近を守る父と母の強さが突出していてある意味安心できるのですが、この時点でおそらくそれを凌駕するほどの困難が待ち構えていて、お互いの正体がバレない絶妙な関係を保ちつつ解決に向かうのだろうなというのが予想できました。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
実際そのご起きる事件はその通りの流れになり、テンプレート化しつつある勢いです。

『名探偵コナン』みたいに流れや役割がテンプレ化して視聴者に定着すればあとは劇場版をシリーズ化しながら毎年こなしていけば、作画班や制作委員会側に安定したサラリーが支払われます。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
この作品にはそんなポテンシャルを感じます。

しかし作品と言うのはそう簡単にボンボン作られるわけではないのが世の常のようで、原作との折り合いをつけるのも難儀しているのではないかと予想してます。

まぁ、そんな作品の外側は置いておいて、作品の中で特に印象に残った部分を中心にレビューを書いてみます。

今日が平和で何よりだ

「…そうやって死んだ仲間を何人も見てきた」

物語の設定などは秀逸なものばかりで、その辺の魅力は色んな動画などで紹介されていますので、その部分は割愛しますが、自分が印象に残った部分は、戦争を知らない若者とスパイたちとのやり取り。ここのセリフに注目しました。

学生たちは革命を起こすんだと無茶な策略を実行しようとします。

戦争を知らないイマジネーションが貧困な人間の軽率な言動です。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
当然ロイドさんたちスパイが阻止するために出動するのですが、相手は戦争というものを肌で理解できない世代。

どう説明してどう分からせるかというところに注目をしていましたが、子どもでも言葉だけで十分伝わるような分かりやすい戦争のイメージを説明してくれます。

「大学では『戦争』を習わなかったようだな、ボウヤたち?」(第14話)

このシーンはもっと多くの人に見てもらいたいと感じてやまないです。

アニメと言う媒体は分かりやすく皆に伝えるという手段としてはトップクラスに優れていると思います。

だからこそ活字以上に伝わるものがある。

僕ら戦争を知らない世代ばかりになっている中、戦争の悲惨さリアルさなどを伝えるにはアニメなどの分かりやすい媒体でないと難しいのではないかと感じます。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
“今どきの人”なんて言いませんが、全体的にイマジネーションが貧困な人が多くなっていると感じるのです。

僕がアニメを視聴しているのは、その伝え方にヒントがあるかもしれないと感じているからでもあるのですが、とにかく個人個人が“なんとなく”ではなくはっきりと戦争の無い世界を想像し、願えば争いは無くなります。

ジョンレノンさんからの受け売りなのですが

今、どういった形でも良いので平和の大切さを伝える映像は貴重だと感じます。

ニーズが少ないのかどうかは分かりませんが、昔ヒットした戦争映画はあまり描かれなくなりました。

このアニメには他にも魅力が沢山あり、この部分だけにフォーカスするわけにもいかないのですが、大切な部分を盛り込んでくれていて大いに評価できます。

あまりネタバレはしませんが、1期の最終話で黒幕に近い人間と身分を偽って話をするシーンがあります。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
このシーン。

子どもが視聴したらあまり面白くは感じないでしょう。

しかし大人が視聴したら実に緊迫感あるシーンで見入ってしまいそうになります。

相手と話をする中での裏でのやりとり。

その奥底に秘めた思いを悟られないようにしつつも何かを掴まんと話かけていくシーンは“間の取り方”や“話し出すタイミング”“向ける表情”など、何か戦争に発展していかない為の平和的外交に近いような感覚がします。

この辺は頼むから1.5倍速とかで視聴しないでほしいと感じずにいられません。

本当に緊迫感のあるシーンでした。

会話内容以上に伝えんとする部分が詰め込まれています。

24話視聴した中で一番印象緊張感があったので、この会話シーンだけは何度か繰り返して見返したほどです。

他のサイトに書いてあるレビュー記事などは、アーニャの魅力だったりヨルさんのカッコよさ強さなどの称賛だったりとキャラクターの魅力について書かれているものが多かったのですが、スパイとしての魅力はこの瀬戸際外交ではないかと感じます。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

本当に魅力が沢山ある作品で、主人公達の生い立ちにはじまり、組織のイロモノメンバーや恋模様、アーニャの学校のゆかいな仲間達の日常など取り上げればきりがないですが、個人的にはこの作品を通して平和の尊さに気付いていただければ何よりです。

つい派手なアクションに目が行ってしましますが、ロイドさん達の本懐は平和な社会の実現です。

家族3人(+1匹)思うベクトルは同じなので、うまい具合にハマってこれからの難局も乗り越えていく事でしょう。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
とにかくキャラ達のバランスが唯一無二というかうまくハマりすぎている感すらあります。

やや無理のある設定もアニメならではの演出と受け入れながら楽しみながら見ていけるので幅広い層に支持されていくでしょう。

恐らく制作委員会としては家族で見れるアニメを目指しているのではないかと思います。

キャラの魅力が一番の作品ではありますが、平和の尊さなどもエピソード内に随所に入れつつ、楽しくも深い作品として続いていってほしいですね。

見どころが沢山あって、ついつい主人公達が動くワケを忘れがちになります。

しかしそこが深くて作品のポテンシャルを感じさせる部分でもあります。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会
アーニャをはじめとしてお菓子や文房具など色んな2次商品も販売され、人気が浸透しているのが伺えます。

この勢いを続けていって、第2の『クレしん』や『コナン君』のポジションへと登りつめるのか?

そうご期待です。