感想『俺だけレベルアップな件』一人で突き抜けていきたい人向け

俺だけのし上がろうとするのはマナー違反に感じる

日本のアニメ作品は例外こそありますが、皆で絆の力で乗り切っていくチームプレイの素晴らしさを説いたものが多いです。

スポーツ作品などは特にその傾向が強いです。

最近見た作品としては『ブルーロック』のような個人のエゴむき出しのメンバー達でも、一人ではネットに風穴を開けることは出来ないように皆の力も必要になります。

そんな中あくまでソロプレイでのし上がっていこうとするツワモノの覇道物語を目にしました。

ウェブトーンという媒体で人気を博しているようです。あと著者はなかなかゲーム好きだなというのも伺えました。

それが今回紹介させていただく『俺だけレベルアップな件』

これ、韓国で生まれた物語のようで、海外では人気と支持を得ているようです。そんな前評判の高いコミック作品が満を持してアニメ化されたという流れのようです。

とはいえアニメは日本で作られているのですが…

主人公はある時を堺に身体能力が超人離れしたようになります。
レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回はこの『俺だけレベルアップな件』で感じた事をレビューして皆さんと分かち合いが出来ればと感じています。

確かに日本で生まれた作品とは違うテイストを感じますし、“理不尽な社会システムにも抗い一人ででも突き抜けてのし上がっていきたい”という社会から感じる若者独特の感情が込められているように思います。

最後までよろしくお願いします。





母を助けたいという動機はすばらしい

主人公は「水篠 旬」という最弱に位置づけされているハンター(海外だと名前はまた違うようです)

途中で顔が変わってしまう「水篠旬君」どういう意図なのだろうか…
“ハンター”という設定は説明すると難しくなるので、地球に急に発生した魔物たちを狩る職業とでも言っておきます。

このハンターのチームや階級、人間関係が複雑になっていてそこはそれで勢力図を楽しめるのですが、物語の本筋というか主人公の目的は別の部分にあります。

ハンター協会の活動と水篠君の目的…この2つを軸にストーリーが進んでいく感じです。

©Solo Leveling Animation Partners
一見これだけだとあまり物語に入って行けそうにないように感じます。

実際ハンター協会には沢山の人間は魅力的でクセのつよい人物が多いのですが、回を追うごとに次々に“加入”してきますし、この業界の流れについていくだけで一苦労という感じ。

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ハンターさん一人一人のバックグラウンドにも興味はあるのですが、それを追いかけていたら尺が足りません。

でももう一つの主人公・水篠君にスポットを当ててみると、意外とだれもが共感出来て見ていきたくなる感覚になります。

彼は最弱な故、ハンターとして功績をなかなか上げられずサラリー(給料)も低い人物。それでもハンターになって命がけで戦地に赴く理由があるのです。

それは『病に倒れている母親を助けたい』というもの。これだけでも彼を応援したくなります。

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これが水篠君という人物を作り上げ、物語が芯の通ったものになっています。

…とはいえ、彼は最弱。

なかなか打開策が見いだせず生死のふちを彷徨います。

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実際このアニメは凄惨な流血シーンが結構描かれていて、見る人を選びます。しかし物語に緊張感を持たせ、主人公のいる境遇をリアルに説明するにはこういう劇薬的な作画も致し方なかったのかもしれません、。

理不尽な世界…それを嫌という程体験した後、主人公はとあるきっかけで生まれ変わります。

…実際本当に生まれ変わったような見た目になり、体を鍛えているとはいえ別人のような体格になってしまいます。ここは違和感を感じた人も多かったのではないでしょうか?

自分も見ていて“誰コレ?”って感覚になりました。作画的にも以前の彼の“面影”というものが見られないのです。

何だかもう“水篠ではない誰か”がそこにいるような感覚で、そんな肉体に関して彼の行く末は気になります。水篠君というかなんだか「君」をつけて呼びづらいような尖った顎…ではなくいで立ちがします。

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“俺だけ整形して別人になった件”の理由、気になりませんか?

この作品の爽快感をいかに魅せるか

主人公の目的、本懐がしっかりしているので物語の本筋は追いやすい。

しかしその目的に向かって彼が淡々とクエストをこなしていくだけの内容だと飽きてくる…アクションシーンは総じて迫力あって申し分ないんですけどね。

そこで「ハンター協会」の出番です。

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ハンターの動きの中に水篠君を絡めていく事で、彼の立ち位置や人間関係を描くことでタテだけでなくヨコの深みを物語に入れています。

一流のハンター(Sランク)なら水篠君の強さは察知できるしほっとかない。

ハンターとしての報酬(お金)は協会がらみになるので個人情報の登録をしないといけない。

こんな感じでどうしてもハンター協会とは切り離した生活にならないので交わりが出てしまいます。そこからひと悶着あるのは容易に想像できますが、いずれかはお互い協力して難敵を撃破せんと立ち上がるのでしょう。

あの『HUNTER×HUNTER』みたいに

この物語の一番の見所はアクションシーンです。

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2025年現在2期まで放送されていますが、恐らく今後は大規模な戦闘になっていくことが予想されます。

作品としてはそこを前面に押し出して、視聴者たちに息を飲むような攻防を見せる事を第一にしていくのでしょう。

主人公がのし上がって、強さで周りを、間違った全てを蹂躙していく姿が目に浮かびます。

それが息苦しい現代社会で生きる若者の気持ちを代弁するものだと感じるから。

▼Season 2 -Arise from the Shadow-





本懐の後の動きに注目

物語の位置的に、2期の中盤で水篠君はついいに母親の病気を治すという本懐を成し遂げます。

もうこのままどこか遠くへ引っ越して、家族と笑いあって生きていくなんて流れで物語が終わってもそれはそれでハッピーエンドっぽくていいのですけど。

水篠君の“本懐”も果たせたわけですし、もう危険なハンターから足を洗って後は平和に…と行かせてくれません。

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ここはワケ分らんモンスターが沸いてくる混沌とした世界なのです。

今の段階なら十分魔物とも渡り合える水篠君ですが、ここで気になるのが、母を無事助け出せた今“彼が何をモチベーションに動くか”という彼の「動機」が気になります。

ここまでは“母親を助けたい”というシンプルかつ分かりやすいものでした。

でもここからは何を信条に動くんでしょうか?

ゲートというところからチームで異界から湧き出る敵の駆除に向かいます
「レベルを上げていずれはこの世界のトップになりたい!」という感じで男性ならこんな憧れを持つのは理解できますが、物語の序盤の彼をもう一度振り返ってみると、彼はそんな欲深だったり野心家ではないことが伺えます。

身なりはキツイ感じになったとはいえ、家族想いで心優しい水篠君。

「俺だけレベルアップできるんなら人より抜きんでてやる!」なんて野心は芽生えなかったはずです。

もしそう思うのなら、人格が変わったのではないかと感じます。

このあたりの主人公の次なる目的がまだ見えてこないのが気になります。

お母さんも無事助かったし、あとは目立たぬ後方支援で平和的に過ごそうみたいに感じる方が彼らしいと思うのですが。

そんな主人公・水篠君のビジョン、次なる目標・目的が気になります。

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彼は目的を果たすために命を懸けて奔走してこれました。

そんな自分の命を懸けてもいいくらいの“何か”があれば人は強くなれますし人間としての魅力も出ます。

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爽快なアクションはこの作品の見せ場です。ただ、そのメインイベントに向かう人間にどれだけ魅力を加えられるのかがこの作品の出来に繋がると感じてます。

そういう意味でも水篠君を取り巻く人間関係に注意しながら見ていきたいと思います。ハンターに女性キャラもいるにはいるのですが、なかなか存在感を出せてないのも気になってます。

上手く絡めながら韓国作品の神髄を見せてほしいです。

▼EDムービー|krage「request」

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。