感想『ブルーロック 2期』最後はアドリブ力の大切さがモノをいう

目の肥えた視聴者さん達

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

今回はサッカーアニメとして非常に人気が高い作品『ブルーロック』の2期のレビューをシェア致します。


1期が終わった段階で人気が爆発的に上がり、キャラがイケメンというのもあり、グッズが沢山出たかと思えば、劇場版、そして舞台ミュージカルとしても『ブルーロック』はお披露目されました。
©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
アニメとしてもミュージカルとしても息の長い“テニプリ(テニスの王子様)”を参考にしたのかな…と感じたのですが、巷の書店を見ればブルーロックのグッズがいたるところに見られ(2024年後半特に)サッカー好きな男子だけでなく女性人気の勢いも感じられ、この勢いはホンモノだと感じていました。

グッズなどを手掛ける方々もその売上に手ごたえを感じていたのかもしれません。

“これからのスポーツアニメはブルーロックがクル!”と。

自分も1期を視聴する中でキャラ達のサバイバルゲーム、コントラマッチの中で何としてものし上がるんだというエゴむき出しの心情に惹きこまれ、気が付いたら夢中で見入っていました。

他の視聴者もおそらくこんな感じでハマっていったんだろうなというのが想像できます。

年代関係なく、勝ちたいというエゴを包み隠さず前面に出していく彼らの姿は、アニメが終わった後も強烈なインパクトとして残りました。

勝負の奥深さ、そして少しづつ固まっていく結束…

まがりなりにも1つのチームとしての形になってきた所でいよいよU-20日本代表との試合。下克上マッチが始まるという所で1期は終わりを迎えています。

©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
そして2期は勢いのまま、U-20日本代表を喰わんとするブルーロック達のデビュー戦を描いているのですが…

期待していたファンが多かったというのもあるのですが、SNSでは意外と酷評が飛び交う事になりました。

そんなファンからしたら納得いかなかった部分も含めてレビューを書かせていただきます。

2期のサブタイトルはまんま『ブルーロック VS. U-20 JAPAN』

ブルーロック(青い監獄)をまだ知らない方もネタバレはしませんので、是非お付き合いいただければ幸いです。





キャラクターに無理がある

全員フォワードのみ集めたブルーロック(青い監獄)プロジェクト。

日本をW杯優勝に導くためには圧倒的な決定力のある世界一のストライカーが必要ということで始まったプロジェクト。

日本フットボール連合のコンセプトが本当に正しかったかどうかの答え合わせとなる大事な一戦が、この2期で描かれるU-20日本代表との対戦。

ここでも死ぬ気で勝ちにいかないと運命が潰えます。

©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
この試合如何によっては彼らの運命がどうなるか分かりません。

この時点でU-20日本代表の選手達とのモチベーションが違います。

青い監獄内でストライカーとしての己のエゴを、勝利の為に次々と覚醒させていくブルーロックのメンバー達。

それに引き換えU-20日本代表の選手は……“お前は本当に日本代表として選ばれた人間か?”と想う程ナリが怪しかったり、モブっぽい目元だったり。

この作品のポイントは“眼力”だったりします。

©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
目にどれくらい強い意志が宿るか。

そう考えると、優しすぎる目だったりする選手がいて、とてもじゃないけど試合前から“お前はなんだか〇〇選手の噛ませ犬みたいになるんと違うか?”というツッコミを入れたくなります。

この試合では、とある兄弟の確執が盛り込まれていますが、完全に引き立て役で終わるような雰囲気を醸し出していました。

目に力のない選手は説得力が無い…

このエゴイスト達の中で印象薄い目をした男は生き残れないのであります。

…それでも相手はやっぱり“20歳以下での選出された日本代表”

ヤワではない筈です。

日本代表に選ばれているメンツなので、もしかしたら練習量&練習時間はお互いのチーム、そう変わらないかもしれません。

しかし自らの手で運命を変えるために死に物狂いで戦ってきた人間は、いかなる場面でも“勝ち”を掴むためのアドリブ力が違います。

©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
自分も見ていて納得した部分ですが、ブルーロック陣はアドリブに強いのです。

これはあらゆる実践に通じるものがありますのでサッカーの話に限ったものでなく、自分達の人生にも当てはまるものとして見てもらえたらと思います。

練習ではなく本番に強くなるには…もちろん猛練習も必要ですが、それ以外の要素がアニメの中から垣間見えます。

そんな勝ちにつながる要素、ゴールの嗅覚のようなものがブルーロック陣営にはここまでの戦いで備わっていったのかもしれません。

©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
その実力以外にある“差”を上手く描けていたのではないでしょうか?

しかし視聴者の見ている視点は意外にも違ったところのようです。

目の肥えた視聴者たちをどう満足させるか

緊迫感のある試合、選手それぞれの持ち味などキャラの魅力はとても分かりやすく、引き付けられるシーンも多かった2期。

各選手のサイドストーリー、自分の能力を俯瞰して見る瞬間など他には無い覚醒シーンの表現は唯一無二という感じで新鮮でした。

しかしSNSで視聴者さん達の感想を調べてみると、意外と作品に対する評価が芳しくないのです。

1期がインパクト大で良すぎたからハードルが上がってしまったのか?

青い監獄最大のポイントであるサバイバル要素が無かった分、緊張感がやや欠けたのかな…とか自己分析してみましたが、その理由はもっと単純なものでした。

©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
それは“止め絵が多い”というもの。

この作品元は漫画です。

漫画内ではどんなに躍動するシーンを描いても動きをつけるのには限界があります。

だから漫画原作からファンである視聴者からしたら“アニメになったらどんな動きになっていくんだろう”とワクワクしたのだろうと想像できます。

それが作画班の事情かどうかは分かりませんが、一枚絵だったり止め絵であるという事。

ちなみに、“止め絵”とは1カットの中で動かないで止まっている絵のことで、セリフやCGなどは動かしています。

あくまで一般的に言われている説ですが、止め絵は制作の時間と費用を節約することが出来るということで、大好きな作品の作画カロリーをカットしたという事に対してコアなファンから残念だという声が飛び交ったのでしょう。

うまくCGを駆使してフォローしていますが、やはり止め絵のシーンは1期と比べると多いというのは感じました。

それにしても、コアなファンの皆さんはじめ視聴者の皆さん……ちょっと辛口ですね~。

アニメを制作するのにどれだけ労力がかかるのか。

作り手もなかなか厳しいスケジュールの中で頑張ってくれているので、ファンの方の気持ちも分るのですが難しい所です。

期待の裏返しというのもあるでしょう。

やや2期の構成力や評価が低かっただけで、ストーリーやキャラの魅力が落ちたわけではないのですから。

魅力的でこの先の活躍が気になるキャラは沢山います。

これからはこの増えすぎてしまったキャラ達にどうバランスよく見せ場を作っていけるかという所にもフォーカスしていかないといけません。

主に主人公の潔世一(いさぎ よいち)君の視点で物語は進んでいくのですが、他にも魅力的なキャラクターが多すぎます。

SNSを見ればファンの中から“推しの選手”なるものも出てきていて、それぞれ推しがついたファン達の欲求を満たすのは大変だぞコレ…勝者がいれば敗者も出るわけなんだし…

…と別な視点でどうなっていくのか気になる部分もあります。

次のステージへ挑む者達の魅力を維持し続けながらもどういう展開へと進んでいくのか今後も注目です。





サッカーは紳士のスポーツ?

勝利を貪欲に目指すことは大事です。

作中、ナインの皆が勝つためにはどうすればよいか頭をフル回転させながら挑んでいく姿は本当に見ごたえがあります。

しかし途中、反骨心や嫉妬心が爆発したような感じになってサッカーの試合らしくない言葉が飛び交いだします。

ここには違和感を感じました。

サッカーの試合ですから当然勝ち負けが出てしまう競技です。

©金城宗幸・ノ村優介・講談社/「ブルーロック」製作委員会
でもサッカーの試合で、相手に“殺す”だとか“死ね”なんて呟くのはなんだか印象悪くなるので、そこは個性とはいえ別の表現方法にして欲しかったです。

どんなに遺恨があろうが、試合が終わればノーサイドです。

なのにアニメだから大げさに表現しているというのもありますが、殺し合いみたいな雰囲気になってしまうとどこかベクトルがおかしくなってしまいます。

我々がしているのはサッカーの試合であって殺し合いをしているのではないのですから。

とある兄弟の遺恨も、ここまでいがみあわないといけない程の理由は見えてきませんでした。

遺恨を試合の中に組み込むことで、緊迫感をエッセンスとして入れているのだと思います。

でもこの部分やや乱暴な感じがしては女性ファンとかは受け付けにくいのではないかと感じたりします。

あと、明らかに“これはいらねーだろ”と感じたのがあります。

それはEDが終わった後の『アディショナルタイムのコーナー』

確かに1期にもありました。

でも2期のアディショナルタイムは明らかにあまり目立てていないキャラの救済シーンだったり、出番がまだ少ないキャラに愛着を持ってほしいからという意味合いで登場させてる感がありました。

そして最後の方。

試合も架橋に入り、盛り上がってきた終盤。

選手それぞれの“勝利を掴み取らんとする思いが交錯せん”とする場面の後…

“バロバロキュン”とかこういう気の抜けるシーンははっきり言っていらないです。

EDまでしっかり描かれた緊迫感のあるシーンはそのまま余韻を残して終わってほしかった…。

それなのにED曲が終わった後、こんな気の抜けたコーナー&キャラに明らかに合ってない寸劇を入れるのはテンションが冷めてしまいます。

余計なお世話かもしれませんが、2期を一気見している人なんかはよけいにそう感じるのではないでしょうか?

静と動、緊張感と息抜き…そのバランスは必要ですが、変な息抜きシーンは緊迫感のある場面を白けさせてしまいます。

3期が放送されるなら、その辺のバランスは是非考えてほしいと思いました。

まぁこれは自分のイチ意見ではありますけど、既に沢山のファンがいるわけなので。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。