感想『負けヒロインが多すぎる!』負けヒロインのテンプレート完成

これが負けヒロインだ

レビュワーの皆さん 閲覧いただきありがとうございます。

周作x.com/DarvishShu)です。

ガガガ文庫(小学館)という、キャラの心情を特に丁寧に描くことに定評があるところから出てきた大ヒットタイトルを紹介させていただきます。

その名も『負けヒロインが多すぎる!』

いつからかは分かりませんが、世間では女性キャラクターの中で恋愛から脱落した女性を“マケイン”と呼ぶようになっていました。

ちなみに『マケイン』➡負けヒロインの略語です。

このスラングが若者だけではなく、社会全体に結構浸透してきたように感じた頃、このタイトルのラブコメが台頭してきました。

実際小説はかなり売れてますし、搭乗するマケイン達も人気が高い。

▼今回の登場で一躍人気キャラへと躍り出た悲劇と喜劇のヒロイン『八奈見 杏菜さん』

©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
そんな魅力的なマケインに声優という形の命を吹き込んでいけば、どんなマケインになるのだろう…そんな感じなのかどうかは分かりませんが、結構熱心なファンをバックに添えてアニメが放送される運びとなりました。

アニメ放送後はさらに反響があり、メディアにも頻繁に顔をだすようになったマケイン達。

その存在は日増しに強くなり、自分も“負けヒロインとはなんぞや?”と気になり始めました。

負けたヒロイン…マケイン……自分の当時のイメージでは、フラれるような子なので…“ヒステリック。嫉妬深い。スタイルは良いけど性格は悪い方。正ヒロインのライバル的存在。ライバル故相手の妨害を画策する”みたいなイメージを抱いていました。

©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
当初あんまり良いイメージは無かったです。

でも視聴していく中で“あれ?ちょっと思い描いていた負けヒロインのイメージと違うな~”と感じるようになりました。それどころか負けヒロインに対して愛着というか親近感を沸くようになりました。

だって負けても周りの目を気にして必死に強がるんです。

30代以降の女なら死ぬほどうっとおしいですが、10代の学生なら可愛いもんです。

では独特のレビューに切り込んでいきます。





一話目にして説明不要の描写

意中の彼が他の女の元へ去った後、その彼がさっきまで口にしていたストローに口をつける女。

©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
その図だけで“こういうのが負けヒロインだ!”と言わんばかりの説得力を見せつけてくれます。

この黒歴史のど真ん中を主人公の温水君に目撃され、そこから負けヒロインとの妙な関係が始まっていきます。

まず自分のような“負けヒロインって実際どんな感じなの?”というあいまいなイメージを持って視聴をはじめた人間に対して、“これが負けヒロインのテンプレの一つだ”と言わんばかりのアクション。

1話目にして非常に分かりやすかった。

何が?

これから描いていくヒロイン達のやイメージの描き方が。

とりあえず彼女たちの性格が極悪じゃなくてどこかホッとしました。それどころか“強がってんな~”という安心したような感覚。

それから後に2名のマケインも加入(?)するのですが、決して性格が悪いわけではなく、温水君に対してだけでなく誰に対しても思いやりがあって、皆やさしくていい子という印象が強かったです。

素の彼女達は活き活きしてて普通に見ててヒロインの風格を漂わせています。

なら何故“マケイン”なのか?

それは多分“ツメが甘い”からなのではないか?

©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
恋愛という初舞台ゆえに仕方がない部分もあるかもしれません。

基本イイ子ですが、肝心なところでうまく気持ちを伝えられなかったり、悪い印象を持たれないようにいい人を演じてしまったりと自分の本心とは違うアクションを取ってしまうのです。

そこが視聴者から見たら“ちょっと足りないところあるけど可愛いところあるな~”と感じてしまうのでしょうか。

つい笑ってしまう部分もあります。なかなか間抜けです。

©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
サブタイトルもまた面白い!

「約束された敗北を君に」とか「戦う前から負けている」など思わず笑ってしまいました。マケイン達には失礼ですけどタイトルを考えた人は秀逸で意地悪です。

また、「負けヒロインを覗く時、負けヒロインもまたあなたを覗いているのだ」というまるで哲学チックなタイトルもあり、こちらの表現の仕方も印象に残りました。

まぁ負けというテーマを面白おかしく書く方も狙っていると思うのですけど。

ヒロインの新しい関係の形

大抵の物語に出てくるヒロインは、主人公やそれに近い人と結ばれてハッピーエンドを迎えるのがラブコメの流れとしては王道ですが、こういう関係も悪いもんでもないなと感じます。

それが主人公・温水君とマケインとの関係。(アニメが全話終わった段階)

男と女というだけで、相棒という感じで見れば結構合ってるんじゃないかと。

©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
つき合うとかなると制約が出来たりすれ違いがおこったりと色々ややこしくなります。悪い風にこじれたら友情にも戻れません。

でもいい友達としてこれからも接していきたいと思わせる魅力をマケイン達から感じるのです。彼女達は基本優しくて良い子です。抜けてるところがあるのは魅力の一つとしてカウントすればこんなに気軽に話せる女友達がいるのはすごい良いなと感じます。

こういう緩~い付き合いが出来る女友達は正直欲しかったです。

お互いをそれなりに尊重しながら交際とまではいかないけどどっかに遊びに行くくらいはつるむ感覚。

何かを意識したらギスギスしだすのでこれくらいがちょうどいいんです。

令和ではこういう後々こじれないような関係を保ちつつ、つかずはなれずの関係が増えてくるかもしれませんね。

お互いそれぞれに“こういうのがいい”っていう心地よい関係があるはずですから。

©雨森たきび/小学館/マケイン応援委員会
しかし色々想像すればするほどこの先が気になります。

マケイン思考としては体の良いキープとして置いておくのだろうか…とか、何かのきっかけから踏み込んでいくのだろうか…とか。

小説の売り上げも絶好調のようなので、この先の展開に注目しているファンは多いと予想できます。

彼のように達観した性格ならこのまま変わらない関係が続いていくのではないかと思うのですが……まぁ男と…女ですから。…お互いうまくやっていきましょう。





今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。