感想『からかい上手の高木さん』ライバル不在、誰かが不幸になることがないラブコメ

レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。

周作twitter:DarvishShu)です。

原作漫画はかなり巻数も出ていて、人気の『からかい上手の高木さん』

アニメも見ていてストレスも感じないあったかい内容にまとめられている為、安定した人気ゆえ劇場版、実写版にもなっている作品です。

基本ジャンルはラブコメなんですが、今まで見てきた作品のセオリーと違ったものになっています。

まずラブコメなのにライバル的な存在が不在。いたずらに登場人物が増えたりせず、ほとんど主人公の高木さんと西片君の二人で進んでいく日常ドラマ。

この作品が人気と支持をえて、長く続いているその秘訣を探るべく、視聴したレビューを書いてみたいと思います。

この作品、実写版も出ています。テレビドラマの他劇場版まで。中学生の同級生同士のラブコメなのですが、アニメ好きな中学生に人気…だけでなく、思ったより支持層が広いのがうかがえます。

そして、今では漫画連載「からかい上手の(元)高木さん」が続いています。





従来のラブコメのテンプレートと全く違う

このラブコメ作品の主人公・高木さん

© 2022 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会
西片君との関係を軸に進んでいくのですが、まず高木さんの手持ち武器(?)を確認。

中学生なので、まだまだ女性の魅力を伝えるための手持ちカードは乏しいです。「色気」とか「魅惑」のようなスキルは向いてないタイプのようです。「色気」スキルに関しては属性外みたい。

でも独特の観察力・洞察力で西片君に“からかい”という名のちょっかいを入れていきます。これでガードクラッシュを狙っていきます。

© 2022 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会
作画を見てて気になるのが、高木さんの目のアップが結構出てくること。この眼で相手をしっかり観察しているんだろうな…というのがうかがえます。「私はあなたをちゃんと見てるよ」というのをこの画面で訴えているようです。
© 2022 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会
その辺の独特の攻め方(?)が従来のラブコメと違うのが特徴。
作中、高木さんの目のアップシーンがけっこう出てきます。これは“相手をきちんと見ている、観察している”という事を伝えたいのではないかと読み取れます。
他にも、恋のライバルとなる相手が出てきません。ラブコメにはライバルは必要でしょ!といった考え方が実は思い込みだったというのに気づかされます。

実際ライバル不在でも人気がある作品なわけですし。

また、高木さんの声も聴いていて「なるほどなぁ」と感じています。

© 2022 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会
演じている声優さんは高橋李依さんというベテランの方。おそらくレコーディング前に声のイメージの打ち合わせを何度も行ったのが想像できます。

どういう声に仕上がっているかというと…“男子学生が実際に好きそうな感じの女性の声”をしています。

男子がなんだか好きになるようなお姉さんトーンの声色に感じます。

こういった中学生の女の子でも世のヒロインたちと立ち回れる(?)ような立派な武器を駆使して魅力あるヒロインとして、西片君や視聴者を楽しませてくれます。

© 2022 山本崇一朗・小学館/からかい上手の高木さん製作委員会

誰も傷つかずに終われるラブコメ


一話一話完結型のストーリーが多く、見終わった後なんだか優しい気持ちになれます。

ライバルキャラがいないわけですし、誰も恋に傷つかずに終わることができるエピソード

本来こっちのほうがいいのに何故今までの古き良きラブコメはキャラ同士をやたらと戦わせてきたのだろうか?

なんでラブコメ…好きな人との幸せを望んだドラマなのに、物語の中に傷つく人が生まれてしまうんだろうか?

なんで悲しんで泣く人…嫉妬で怒る人が生まれるんだろうか?

そりゃあラブコメというか「恋の本質」は種の存続!恋は戦いなんだから当然だと感じていたのですが、それも本当だろうかと感じるようになりました。

誰もアンハッピーになる人が出てこないお話の方が…いいって人もいるってこと。

“争奪戦”とか“恋愛強者”などの言葉が暴力的に感じるくらいこの作品は平和です。

物語のアクセントみたいな感じで、時々女の子の3人組が出てくるのですが、会話の内容も実に平和。コイバナが殆ど無いのも特徴です。

令和の時代はこんなほんわかするストーリーがスタンダードになってほしいですね。

バトルアニメももちろん爽快で良いのですが、現代人はそれよりも“癒し”を求めているような気がします。この作品が今なお支持される理由が物語っています。

見ていて悪い感じがしないです。出てくるキャラ(女子だけでなく男子生徒達も)みんないいヤツばかりです。

ライバルも急展開も無しの新しいカタチが、今の疲れ切った令和の学生たちには支持されたのでしょう。

「からかい上手の(元)高木さん」もいずれかはアニメ化されるのでしょうか?癖のある夫婦を描いたドラマやアニメは近年増えてきたので、ニーズから考えても大いにアリですね。

舞台となっている小豆島は個人的にも愛着のある場所なので、今の土庄地域の様子も注目しながら見入っていました。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。