レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。
周作(twitter:DarvishShu)です。
今回蓋を開けたら衝撃的だったこの作品……少しこの作品を見るに至った経緯を聞いてください。
第26回電撃小説大賞《金賞》受賞という実績を引っ提げてアニメ化されたこの作品。初めはどんな物語か分からなかったけど、ほのぼの感に好感を持ったので視聴してみることに。
この作品を見る前に実は「メイドインアビス」という作品(2期)を視聴しようと思っていたのですが、ご存じの方もいると思いますが、メイドインアビスは名作ではあるものの、見るには結構覚悟のいる作品となっております。
作品を見たことない人はまず、この作品のトビラ絵をご覧下さい。
転生して豚にされてしまった主人公。でもこの幼げな女の子に助けられながら日常をなんとか生きていくメルヘンチックな物語かな…というイメージ。
予想を大きく裏切り、手に汗握るストーリーは伊達に電撃小説大賞・金賞とった作品ではないということ。…しかしメイドインアビスが怖くてこっちを選んだのに…
今回はこの作品のレビューを書いていきますので、是非お付き合い下さい。
ほのぼのメルヘンワールドでは……なかった!?
地球で暮らしていた主人公が、ある日 豚のレバーを加熱せずに食べてしまったため、仮死状態になって意識が異世界に飛ばされます。
その世界では豚になっていた主人公。
豚として意識を取り戻し、新たな世界で目覚めます。
そこに現れるかわいい系の女の子、ジェス。
豚さんのお世話をしてくれるようで、おまけに意思疎通が出来すぎくらい出来る仕様で、もう主人公からしたら恩人以上の何者でもありません。ただ生活は大丈夫そう。
…ここまでの流れは自分のイメージしていたストーリーに近いものでした。
しかし女の子の身なりで気になる点があるのです。…それは首輪。
これが何を意味するのかはその時は全く考えず、この後、彼女のお手伝いを豚なりにドジふみながらも色々とこなしていくんだろう…そして何らかの“徳”を積んだ後、豚の神様とかにお許しを得て人間に戻してもらえる…とかいう流れになるのかな……。
こんな風に考えていました。でもそれだけの日常ストーリーなら「電撃小説大賞・金賞」とまではいかないはずです。
なにか読者の心を揺さぶるものがあるはずだ…と思いながら物語を視聴していました。
そして途中から首輪や“イェスマ”という種族の謎などがちらつき始めます。
そのあたり(中盤に入る前くらい)から衝撃の展開が待ち受けているのでした。
タイトル詐欺も甚だしい
女の子(ジェス)の秘密が判明します。イェスマという種族のたどる末路。
話の序盤の方は、ちょっと物騒な部分もあったけど自分のイメージに近いわりとほんわかした彼女との共同生活。
しかし、他のイェスマの女性の存在と、この転生してきた世界でのイェスマへの扱いが分かったとたん、自分の背中にサーッと寒気がしました。
人間に狩られたら惨たらしく殺されるってことでしょ?
怖すぎるんですけど。
この世界は日本のように法治国家でもないようですが、あまりにも惨たらしい世界でした。
実際に殺害されたイェスマの事例もあり、もうこの目の前の少女が捕まらない事を祈りながら旅をするしかありません。
ガードマンといえば、主人公である豚……
戦力にもならない…。唯一人間だったころの知恵があるものの、近年の異世界転生モノの主人公みたいな上等なスキルを持ち合わせていない…本当にただの豚。
彼女の身なりはというと、鎧兜…とかではなくどこかピクニックに行くかのようなお洒落な洋服。
…怖い…おっさん達の少女狩りが普通にまかり通る世界…
途中、一時だけ護衛する仲間が増えたのですが、2人の身代わりとなり行方不明に。
か弱い戦力のまま終盤に進むのみでハラハラしながら見ていました。
ここでもう一度この作品のキービジュアル(ノベルの表紙)を見返してほしいのです。
このほんわかした絵柄からどうしてこんな物語になった?!タイトル詐欺も甚だしい!正直滅茶苦茶怖いです!
もし自分が豚の立場だったら、どうしようもなくて情けなくて発狂しそうです。せめて人間の姿で彼女を守れたらまだ救いもあったかもしれません。
でも豚である主人公は、少ない手持ちのカードを必死にやりくりして彼女を文字通り命がけで守ります。
少女側(ジェス)の方も迫りくる恐怖はある程度分かっていたから、前もって手は打っているのですが、それでも心もとない旅が続き、目的地かどうか確証もない秘境へ退路を絶って進み続けるので目が離せなくなります。
後で振り返ってみるとこの作品……よくできてます。
一つ一つを大切にしよう
卵から孵化したサケが無事生まれ故郷の上流に戻ってこれるか…
熊に捕獲されずに無事川を登ってこれるか…
そんな緊迫感がこちらにも伝わるほどの道中は良かったのですが、ここで作画面で残念な事が起きます。
クライマックスに近づくにつれて、アニメーターさん(作画班)が力尽きたのか、描写が苦しくなってきます。
予想に反してせっかく緊迫感ある素晴らしい作品なのに、最後の方は少し別な意味で残念なことになりました。
今、1クール内で放送されるアニメは70本くらいあります。…コレ多すぎます。
この作品のレビュー記事でこういう事を書くのも違うと思いますが、もっと発信する作品数を減らして作品一つ一つを丁寧に作ってほしいです。
この作品は「電撃小説大賞・金賞」だけあって、物語の構成や見せ方、設定などかなり良くできていると感じました。だからこそもっと丁寧につくって欲しかったです。後半、作画クオリティがガクッと落ちるのは目立つし作品の出来として勿体ないです。
この物語の先は、まさかの再転生という形で主人公は再び豚の生を受け、彼女のナイトとなるべくはせ参じるようですが、1期を見た後の余韻を感じた上で、続編は是非見てみたいですね。
最後の方で判明した、イェスマを交えた世界観も気になるところです。この世界の謎がほんの少し見えてきたところで幕を閉じます。
一杯食わされたような妙な気分になりましたが、結果としてここまで感情をゆさぶられたワケです。
恐ろしかったけど出会えて良かった作品となりました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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