感想『怪獣8号』おっさんが主人公だけど少年誌のお手本のような作品

レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。

周作twitter:DarvishShu)です。

自分は漫画は読まないのですが、「この漫画がすごい」とかいう記事で非常に騒がれていたので、このタイトルは知識として知っていました。

本屋にいくと一番目立つと場所にあったし…ビジユアルも怪獣なんで目立つし…

SNSや各漫画のレビューサイトでベタ褒めされていたのがこの「怪獣8号」

怪獣モノという世界観を伝えにくいうえに、女性人気を得にくいジャンル(と言われている)でここまで高い評価を得ている作品ってあるんだ…と感じ、いずれはアニメ化されるんだろうな…と昨年ごろから気になっていたのですが、満場一致でアニメ化となりました。

映画のような美しい世界観とアクション

まずPVを見たのですが、作画など相当力を入れているようで、これは版権の集英社さんが予算を奮発してこの作品にかけているなぁという印象を得ました。

作画がとにかく派手でキレイ。その知識くらいで見始めていったのですが…なんというかコレ、少年漫画の王道というかお手本のテンプレートを行くような作品で、これからのクリエイターの方々に向けた教材として使えるのではないかというくらいうまくできた作品だと感じました。

OPからエンディングまで何もかもが素晴らしい、緩急のつけ方も絶妙、立ち位置の描き方もとても分かりやすく、悪いところを挙げるのが難しいくらいの出来でした。

今回はそんな、少年誌テンプレートを地で行くこの作品のレビューをお届けします。よろしくお願いします。





出てくるキャラのタイミングも絶妙

主人公はやや歳くったおっさんですが、その年齢になるまでの過程がなんだか現代層の中年の方々の心に刺さるような設定になっていて、視聴者の層をここで一気に広げてくれます。

©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
それでもおそらくこの作品を見始める視聴者の大半は男性でしょう。

男性陣は怪獣を倒したりする流れのストーリーはわりと普通に受け入れます。

でも少年だけでなく中年の仕事が上手くいかなかったりという層の人間も視聴者層に巻き込んでいきます。

主人公のおっちゃんは、若い世代(Z世代くらい)と一緒にミッションに取り組みます。その構図が少し新しかったりします。

今の時代、世代間同士で憎みあっててもらちがあかん。大きな不況という名の怪獣に立ち向かうには若い世代と中年の世代が協力しあいながら解決していかにゃ世界という名の日本はダメになってしまう。

©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
こんな韻を含ませながら実にスムーズに物語は進んでいきます。




物語が進むにつれて、女性キャラも出てきます。
入隊試験の話に入って、ここで少し中だるみするかな~と思ったあたりでの女性の隊員登場なのでタイミング的にも絶妙。

その女性も家庭環境に難を抱えていて、現代にも通づる部分を覗かせます。まぁ世界観が怪獣の横行する世界ということで、無理もないですが、この辺で女性の視聴者層も意識した作りになってきています。

初めは男性視聴者を取り込んで、その後女性側にも刺さるテーマを持ってきて、物語の世界観や骨格もかなり明かされていく流れは、様々な視聴者の目線でも制作陣目線でも理解しやすく、キャラづくりや世界観の発信の仕方など「三法由し」の作りになっています。

少年誌のお手本みたいな作品ではないかと感じました。

そりゃあ制作会社もお金をかけるワケです。どの層が見ても分かりやすくて面白い。

視聴者が“入って”きて、土台が整ったところで、絶妙な“間”やキャラ一人一人の魅力がさらに物語に彩を加えます。

©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
怪獣相手ということで、生死が問われる緊迫した状況もありますが、それ以上に壮大な世界観やキャラクター達の魅力が際立ちます。

自分はイッキ見しましたが、一週間に一話ごと見ていくと続きが気になってもどかしくなるくらい見入っていまいそうですね。

不思議と魅力的に見えてくる巧妙さ

怪獣をせん滅せんとするチームのメンバーにも色んな人がいます。

©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
結構多いので、この人物一人一人にフォーカスしていくと結構尺が足りなくなるんではないかというのも初めは感じましたが、その隊員たちの魅力を伝えるやり方もうまかった。

戦闘シーンを通しながら過去の回想を流し、現実に繰り広げられるバトルに乗せる。

うまく説明できませんが、まるで二重奏みたいな演出。

©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
バトル開始時はそうでもなかったのに、終わるころにはすっかりそのキャラクターに対して感情輸入できているのに気づき、回想を交えながらうまく伝えてるなーと感心します。
©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
何もかもの表現が素晴らしく、続きを臭わせつつ物語は終わりましたたが、2期は当然出るでしょう。

そう確信できるくらいすべてのクオリティが申し分なかった。作画から音楽、演出など見入っていたらあっという間だった……

©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
作品や脚本を作っている方が居たら、この作品を視聴した後、このプロットを自分なりに作ってみると良いかと感じます。キャラの立ち位置など実によくできていますし、登場のタイミングや詰め方など実に秀逸なのが理解できます。

「この漫画がすごい!」のランクで1位になる理由も分かります。

これは今まで視聴者を選んできた“怪獣モノ”でも、女性視聴者層であっても口コミなどで瞬く間に取り込んだ大人気コンテンツになるでしょう。

原作者も凄いですが、改めてアニメーターさんや制作者チームのレベルの高さにも感心する作品です。

©防衛隊第3部隊 ©松本直也/集英社
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。