何かに導かれるように見に行った作品
レビュワーの皆さん 閲覧ありがとうございます。
周作(twitter:DarvishShu)です。
僕は一応クリエイターの端くれです。
そんな端くれでも何か作品を作ろう、残そうとチャレンジしてきた過去があります。
そんな自分に強烈に突き刺さった作品『ルックバック』のレビューをお伝えします。
この作品は、漫画でなくとも何かクリエイトな事にチャレンジしたことがある方には必ず刺さる所があります。
作品中、言葉で説明している部分は少ないのですが、本当にクリエイターとして共感できる所があったし、突きつけられた現実で物語の主人公「藤野さん」がどう生きていくかを描いていて、その背中から訴えるものを受け取れたような気がします。
アニメーションの質が高いのは勿論ですが、強烈に刺さった部分があり、これはクリエイターという何か“0から1を作ろうと試みた方”には揺さぶられるシーンとして皆さんにも残るのではないでしょうか?
何かを感じ取ることができたので、その何かをレビューとしてお伝えできればと考えています。
後になって感じたこととして“ルックバック”という題名に関しても振り返ってみれば秀逸だと感じます。
全てのクリエイターに捧げる作品
原作は漫画…ということなのですが、自分は漫画は読まないのでこの作品の存在は知りませんでした。
しかし、中田さんのチャンネルを見ていたらルックバックのレビュー動画がアップされていて、それを見た後、何かに見導かれるように映画館へ行ってました。
見に行ったのは上映最終日。タイミング的にもギリギリでした。
映画館はほとんど貸切り状態。クリエイターには刺さるけどそうでない人には良さがわからないものなんだろうか…
一時間にも満たない作品だったのですが、頑張っているクリエイターさん達への賛美みたいな印象がしました。
この作品を見たクリエイターさんたちはいくらか報われたような感があるのではないでしょうか?
自分も昔漫画作品や演劇台本などを作成していた頃があったので、夢中で何かを表現したく描いていた頃を思い出し感情輸入しながら見ていました。
クリエイターさんや絵描きというのは自分のスキルを上げたい時、作品を作り上げる時というのは誰かと群れている時間ではないのです。基本一人です。
何かを作る時っていうのは、基本孤独です。
でもそれが報われるかどうかわからない。でも描き続ける日々。
だからこそ自分の作品が誰かに褒められたり認められたりしたら、自分の中で例えようのないくらいの嬉しさを感じることができる。
逆に否定されたり、敵わないと感じるライバルが常に居て、認められることが無いと感じた時にとてもつらかったりする。
これは何もお偉いさんやプロのクリエイターさんから言われなくとも良いのです。
何気ない褒め言葉でも自分の事を肯定してくれたことが何よりも嬉しいのです。
ネタバレしないように書こうと思ったのですが、ココだけ紹介。
途中主人公の一人である藤野さんは自分の作品に対して憧れを持ってくれていた人がいたという事実を知ります。
その後、認められたという心情、嬉しさを隠せないくらい体で表現しながら家に戻っていくシーンがあるのですが、このシーンが死ぬほどよく分かります。
これはクリエイターとして頑張ってきた方なら絶対に共感できるシーンです。
この為に頑張って漫画を練習してきたわけで、それが報われたときは滅茶苦茶うれしいものです。
誰かに認めてもらえる…応援してもらえるのがこれほど幸せな気持ちとやる気を掻き立ててくれるパワーになるというのは、何かを作ったことのない人にとっては理解できない領域だと感じます。
それだけ嬉しかった藤野さん。
そしてその気持はすごく分かります。
ものすごく分かります。この時の藤野さんの気持ち。
自分が一人で漫画作品を作っていた時、誰も共感してくれなかったし母親は強烈に自分の事を滅茶苦茶馬鹿にしてきました。「絶対無理」という言葉をいの一番に言ってきました。
もう20年以上前のことなのに、その事をふと思い出して…自分もこんなふうに言われてみたかった。こんなふうに言ってもらったら…応援してもらっていたら多分自分は今も作品作りを続けていたんだろうなと感じて泣けてきました。馬鹿にされた時は自分を全て否定されたような気持ちになって死ぬほど辛かったなと。
映画の中でいくつか見せ場というか分岐となるシーンはありますが、この部分が一番刺さりました。
そこから二人で作品づくりをして、投稿してデビューしていく様子など、フィクションとはいえリアルだし何より見ていて羨ましかったです。
https://www.youtube.com/watch?v=Gi4zCux11pw
自分もこんなパートナー欲しかったなぁとかつい自分と思いを重ねてしまったりしたけど、二人で歩んでいたらいつかは方向性の違いが出てきます。ここもリアルなところです。
相手の気持ちを尊重したいという思いも分かるので辛い事もあります。
でもクリエイターの一人として、孤独ながらも自分で決断して、また進んでいくしかないのです。
たとえ孤独になってもあの時自分を認めてくれた人がいるから頑張れるのでしょう。
クリエイターは進み続ける
子どもの頃の感覚が蘇るというか、作品創りをしていた頃の想い出が強烈に蘇ったこのルックバック。
この作品は、頑張っても勝てなかった…夢が敵わなかった…そんな自分を不甲斐なく感じたチャレンジャーの気持ちにも寄り添ってくれています。
「自分はできる」と思ってチャレンジしていても、どうしても勝てない相手ってそのうち現れます。世界が広がると自分よりも上の人間はいくらでも出てきます。
この場所なら自分は輝けると思って突き進んだ道の前に出てくるどうしようもない壁。…恐怖感。今までの自分の存在意義。
そこに逃げずに必死に向き合い、立ち向かう為に努力を重ねていく姿が季節を通して描かれていきます。これは何も漫画だけでなくスポーツの世界等にも当てはまりますよね。
ずっと書きづつけるのは、自分の不安感と向き合っていくために。
それでも越えられない壁の存在。
それでもこの孤独な戦いを続けるのか…もう降りようか…どうせ誰も期待してくれてないのに…
そんな揺れ動く気持ちにも逃げずに描き続ける藤野さん。その気持ちにすごく共感できたし、諦めた時の心情もとても共感できた。
そこからあなたはどう歩んでいく?というメッセージも感じます。
その後も物語としては色々ありますが、主人公の藤野さんは結局漫画という世界線に戻っていきます。
自分自身の気持ちにけりをつけて、もう一度自分の進む道へもど戻ってきます。
どんな作品を描いているかという描写よりも、ずっと描いている「背中」を見せるという表現…これはクリエイターの視点でクリエイターに向けて描いている作品だと感じます。
だから何か思うところあって劇場に足を運んだのでしょう。
自分は…これからも創作活動は続けたい。続ける。作品を作っていきたい…作っていく。そんな自分の奥底にしまっていた気持ちを奮い起こさせてくれた作品でした。
もう一度机に向かおう。
チャレンジしてみよう。
今までの人生が無駄でないことを証明するために。
▼ルックバック予告編
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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